iTero Element 5D Plus シリーズiTero Element 5D Plus シリーズ
インビザライン・ジャパン合同会社
評価なし
1. 製品概要(用途・特徴・タイプ・臨床シーン)
iTero エレメント 5D プラスシリーズは、米国アライン・テクノロジー社(インビザラインのメーカー)が開発した次世代の高性能口腔内スキャナーです[1]。従来の印象材による歯型採取に代わり、ペン型カメラで口腔内を短時間にスキャンし、高精度な3次元デジタルデータとして記録します。インビザライン(マウスピース矯正)の公式スキャナーとして位置付けられており、歯科矯正の診断・治療計画や補綴治療(クラウン・ブリッジ等)のデジタルワークフローで広く活用されています。スキャンデータはクラウド経由でインビザラインシステムに直接送信でき、物理的な模型の発送を省略することでアライナー作製までの時間を大幅に短縮します。また取得したカラー3Dデータはその場で画面表示でき、患者への治療説明用ツールとしても有用です(後述のシミュレーション機能や虫歯検出補助機能など)。
主な特徴: iTeroエレメント5Dプラスは前世代モデルの成功を踏まえて開発され、従来の矯正・補綴デジタル機能に加えて処理速度の高速化(従来比20%スキャン速度向上)や高度なビジュアライゼーション機能を備えています[8][9]。専用のAIプロセッサとAI技術を搭載し、リアルタイムのデータ処理や新機能に寄与しています[10][11]。例えば近赤外光画像(NIRI)技術による隣接面虫歯の検出補助が可能で、エックス線を使わずに歯と歯の間の初期う蝕を可視化できる点は画期的です[12][13]。スキャン時に通常のカラー3Dデータと同時にNIRI画像も取得し、微細な内部構造の変化を確認できます。さらにアウトカム・シミュレーター(治療結果予測シミュレーション)機能を搭載しており、インビザライン矯正後の歯並びをその場で予測表示することで患者に治療ゴールのイメージを持ってもらうことができます[14][15]。加えてタイムラプス機能によって経時的な口腔内変化を記録・可視化でき、定期検診時に歯列や歯肉の変化を患者と一緒に確認することも可能です[16][17]。これらの機能により、単なる印象採得機器に留まらず診断・コンサルテーションツールとしても活躍します。
製品バリエーション: 5Dプラスシリーズには一連のモデルがあり、据え置き型の「カートタイプ」と持ち運び可能な「モバイルタイプ」が提供されています[18]。カートタイプは21.5インチ大型タッチスクリーン一体型のユニットで、スキャナー本体と高解像度モニターが一体となったスタンド式です。広視野角でも鮮明な色調と高画質を保持する新スクリーンを採用しており、患者と一緒に画面を見ながら説明する用途に適しています[19]。一方、モバイルタイプはコンパクトな本体にスキャナー「ワンド」とノートPC等を組み合わせた構成で、院内を移動して複数の診療室で使用したり、限られたスペースでも設置しやすい柔軟性があります[18]。いずれのタイプでも取得できるスキャンデータの品質や精度は同等であり、高精細なカラー3Dスキャンを実現します[20]。ただしモバイルタイプのうち廉価版の「5Dプラス Lite」モデルではNIRI機能(近赤外光による虫歯検出)はハード的に搭載されておらず利用できない点に注意が必要です[21]。
主な臨床シーン: iTeroはインビザラインをはじめとするマウスピース矯正で真価を発揮するよう設計されています。スキャン後すぐにインビザライン用ClinCheckソフトと連動して治療シミュレーションを行い、その場で患者に術後の笑顔を見せることができます[14]。これにより患者の治療意欲向上やケース受諾率アップに繋がるとの報告があります[22]。また歯列矯正以外にも、被せ物や詰め物の製作のためのデジタル印象採得(補綴治療)、インプラント治療のためのモデル作製やサージカルガイド設計、さらには定期検診時の口腔内記録(タイムラプスによる経年変化モニタリングや虫歯の早期発見)など幅広い用途があります。特にNIRI搭載によりレントゲンではなく光学的に隣接面の虫歯チェックができるため、予防歯科やメンテナンス分野での新たな検査ツールとしても期待されています[13]。
2. 評価軸に基づくレビュー(操作性/症例適応/連携性/価格/品質/ユーザーの声)
操作性 (使いやすさ・ユーザーインターフェース)
iTeroエレメント5Dプラスシリーズの操作性は、従来モデルからの改良により概ね良好ですが、競合機種と比較していくつか特徴があります。スキャナーのワンド部分の重量は約0.47kgで、これは他社のTRIOS3(約0.34kg)やMedit i700(有線: 約0.245kg)より重めです[23][24]。そのため長時間スキャン時には手の負担を感じる場合がありますが、人間工学に基づいた新デザインによりバランスよく保持できるよう工夫されています[4]。スキャン速度は専用AIプロセッサ搭載により高速化され、前モデル比20%アップを実現しており、口腔内をスムーズかつ短時間で撮影できます[10]。実際の運用では上下顎フルアーチのスキャンが数分以内で完了し、取得したデータは自動で補完・整合されるため、操作自体は直感的で習熟すれば短時間で精密な印象を採得可能です[25][26]。ソフトウェアのUIはタッチスクリーンで大きなアイコンとわかりやすい指示が表示され、スタッフも比較的短期間のトレーニングで使いこなせるようになります。スキャン中はリアルタイムに3Dモデルが構築され欠損部位は色表示で警告されるなど、ミスを防ぐ支援機能も備わっています。総じて、機器自体の物理的な大きさ・重量以外は操作性に大きな欠点はなく、デジタルデバイスに不慣れなユーザーでも比較的容易に運用できるでしょう。
症例適応 (対応できるケースの幅)
症例適応という観点では、iTeroは矯正歯科症例に特に強みを持っています。インビザライン公式スキャナーであるため、マウスピース矯正全般(インビザラインGOや他のクリアアライナーにも応用可)での使用頻度が高く、矯正専門医・認定医の標準ツールになりつつあります[27]。一方で補綴領域にも十分対応可能で、支台歯の精密印象からクラウン・ブリッジの設計用データ作成、インプラントのアバットメントスキャンやガイド製作なども問題なく行えます。実際、iTeroで取得したSTLデータは提携ラボやCADソフトに出力できるため、セラミック修復物の製作精度にも寄与します[28]。スキャン精度は20ミクロン台とも言われ(口腔内スキャナー全般の文献値)、従来のシリコン印象に匹敵する精度で補綴物適合が得られるとの報告があります。加えて5Dプラスの特徴であるNIRI機能により、う蝕リスクの高い患者の定期観察(虫歯の進行モニタリング)や、従来レントゲンが必要だった隣接面の診断補助も行えるため、予防・メンテナンス用途にも適しています[29][13]。一方、完全無歯顎の患者への適用(総義歯製作など)は口腔内スキャナー全般の課題ですが、iTeroでも無歯顎顎堤のスキャンは難易度が高く、症例によっては従来法が必要になります。また、小児や開口困難なケースではスキャナーヘッドのサイズがネックになる場合もありますが、一般的な成人の局部~全顎スキャンは概ね対応可能です。総じて、矯正・補綴・診断と幅広い症例に活用できる汎用性を備えています。
連携性 (他システムとの連携・ワークフロー統合)
iTeroの連携性は、インビザラインとのシームレスな統合が最大の強みです[30]。スキャン後ワンクリックでデータをクラウド送信し、即座にClinCheck上で治療計画作成に取りかかれるため、従来のように物理模型を発送したりスキャンデータを手動アップロードする手間がありません[5]。このインビザラインとの親和性の高さにより、アライナー作製のリードタイム短縮や誤送リスクの低減につながっています[31]。一方、他社製クリアアライナー(例えば国内メーカーのマウスピース矯正)にiTeroデータを活用する場合は、データをSTL形式でエクスポートして各社プラットフォームにアップロードする必要があります。iTeroは基本的にオープンSTL出力に対応しており[28]、提携の技工所や他社CADソフトとの連携も可能ですが、運用上は一度Align社のクラウド「iTeroクラウド」にデータを保存し、そこからエクスポートするフローになります。したがって、完全に独立したローカル保存よりもクラウド環境への依存度が高い点は留意が必要です。補綴分野では、iTero対応を謳う歯科技工所が増えており、Align指定の認定ラボネットワークを通じて直接データ連携が行えるケースもあります[32]。ただし、他社スキャナー間のデータ互換性(例えば3Shape TRIOSとの双方向連携)は限定的で、各メーカーのクラウドプラットフォームが分立しているのが現状です。そのため医院側ではiTeroを中核に据えたデジタルワークフローの構築(院内LAN環境や十分なインターネット帯域の確保、データ管理体制の整備)が求められます。総じて、インビザライン治療を主軸とする医院にとってiTeroの連携メリットは極めて大きい一方、マルチベンダー機器との汎用的な互換という点では限定的な側面もあります。
価格 (導入コスト)
導入費用はiTeroエレメント5Dプラスシリーズの検討において大きなハードルの一つです。他のハイエンドスキャナー同様に本体価格は数百万円単位となります。日本国内の正規価格は公表されていませんが、一般的な報道では本体価格500~700万円程度と推測され、競合する3Shape TRIOS4(有線モデル約506万円、ワイヤレスモデル約644万円[33])やDentsply Sirona Primescan(推定600万円超)と同等の水準です。さらにiTeroの場合、月額サブスクリプション費用が必要であり、保守・クラウド利用料として毎月約4万円のランニングコストが発生します[34]。年間にすると約48万円で、3Shape TRIOSの年間更新料30万円[35]より高額です。競合製品では、Medit i700のように本体約250万円・ソフトウェア利用料無料[36]といった安価なモデルも存在するため、価格面だけ見るとiTeroは割高と言えます。しかし価格にはハードウェア費だけでなく、導入研修やサポート、ソフトウェアアップデート(機能追加含む)費用も含まれているため、特にインビザライン症例で活用する場合は投資に見合うリターンが期待できます。実際、iTero導入によりインビザライン症例数が増加した、印象採得の外注コスト(シリコン代や技工代)が削減できた等の声もあり、高額な初期投資を長期的には回収できるケースも少なくありません。なお、リースや分割払いによる導入も可能で、Align社や販売代理店が期間限定プロモーションを行うこともあります。導入時は本体費用だけでなく、月額費用や消耗品(スキャナーのチップやキャリブレーション用具)の費用も含めたトータルコストで検討することが重要です。
品質 (スキャン精度・データ品質・耐久性)
スキャン精度およびデータ品質の面で、iTeroエレメント5Dプラスシリーズは業界トップクラスに位置します。メーカー発表では解像度精度20μm台の高精細スキャンが可能で、肉眼や従来印象では捉えきれない微細な歯面形態までデジタルデータ化できます。実際の臨床でも、境目のはっきりしないマージンや複雑な補綴形態であっても鮮明なスキャンが得られ、追加のパウダリングなしで光沢のある歯面も高精度に記録できています。取得データの出力形式は標準でSTL(モノクロ3D形状データ)となります[28]。カラー情報付きのPLY形式には現状対応していませんが、iTeroクラウド上ではカラー画像と3D形状が統合表示されます。つまり、ラボや他システムへはSTLで渡しつつ、院内や患者説明にはクラウド上のカラー3Dモデルを活用する運用になります。スキャンデータ上で直接咬合接触部を色分布表示する機能や、クリアランスを計測するツールも備わっており、データ品質を活かした分析が可能です[37]。耐久性については、カート型は堅牢な医療グレード筐体で診療室での移動にも耐える設計ですが、重量があるため段差の多い環境では慎重な取り回しが必要です。モバイル型はノートPCとスキャナーハンドピースの組み合わせで、ハンドピース自体はIP分類の防塵防滴設計となっておりアルコール清拭消毒にも耐えます。ただし精密光学機器ゆえに定期的なキャリブレーションやメンテナンスが推奨され、Align社指定の校正用ツールでの自己点検や必要に応じたメーカー校正サービスを受けることで、長期にわたり精度を維持できます。総じてiTeroの品質は価格に見合ったハイレベルなものであり、正しく運用すれば安定して精密なデジタル印象を提供してくれるでしょう。
ユーザーの声 (導入医院の評価・患者の反応)
実際にiTeroエレメント5Dプラスを導入した歯科医院からは、患者説明やコミュニケーションが大きく向上したとの声が多く聞かれます。例えば、スキャン直後にその患者本人の歯並びデータを用いて「インビザライン治療後の笑顔」をシミュレーション表示できるため、「治療後のイメージが掴みやすくモチベーションが上がった」と患者から好評です[22]。ある導入医院のブログでは「従来は鏡では見えにくかった口腔内の状態も3Dデジタル画像でしっかり確認でき、予防歯科への意識向上にも繋がっている」と報告されています[38]。また「シリコン印象材を使わない快適な型採りのおかげで嘔吐反射の強い患者さんも安心して治療を受けられるようになった」という声もあります。医院側のメリットとしては、「データ送信後の待ち時間に別の診療を並行できるので効率が上がった」「クラウン等の補綴物の適合精度が上がり、補綴治療の再制作が減った」といった評価があります[25][39]。一方でユーザーから指摘される注意点として、「スキャナーの操作に習熟するまでは補綴物製作に若干時間を要した」「機器が高価なのでROI(費用対効果)を考えると十分に活用する必要がある」といった意見もあります。しかし総じて、「最新のデジタル機器による付加価値が患者満足度向上につながる」「インビザライン症例では導入必須とも言える」との声が多く、現場からの評価は概ね良好です[40]。
3. 類似製品との比較と差別化ポイント(3Shape TRIOS、Medit i700 など)
現在市場にはiTero以外にも様々な口腔内スキャナーが存在しますが、その中でも3Shape社のTRIOSシリーズやMedit社のi700シリーズはiTeroの有力な競合製品です。以下、それぞれとの比較と差別化ポイントをまとめます。
3Shape TRIOSシリーズとの比較: 3Shape社のTRIOSは世界的に高い評価を得ている口腔内スキャナーです。最新モデルのTRIOS4ではiTero同様にう蝕診断支援機能が搭載され(近赤外線による齲蝕検知機能を備える)点で類似しています[41]。またTRIOSはハンドピースが軽量(約375g)で、長時間のスキャンでも扱いやすい設計です[42]。さらにワイヤレススキャナーのオプションがあり、診療チェア周りの取り回しが良いのも利点です[43]。スキャン精度やスピードはiTeroと同等のトップクラスで、実際どちらもフルアーチの高精度印象が可能です。ただし最大の違いはインビザラインとの連携で、TRIOSからインビザラインへのデータ送信には別途認定手続きや互換ソフトが必要になるなどやや煩雑です(過去には提携が発表されましたが、現在はAlign社が自社スキャナーを推奨する体制です[27])。一方、TRIOSはiTeroよりオープンプラットフォーム寄りで、取得したデータを3Shapeコミュニケート経由で様々なラボやソフトと連携しやすいメリットがあります[44]。価格面ではTRIOSはモデルにもよりますが非常に高価で、TRIOS4ワイヤレス版が約820万円[45]とiTero以上の設定です。ただし年間保守費用は30万円程度[35]でiTeroより安価、そしてソフトウェア面のアップデートが頻繁で3Shape独自のCAD/CAMエコシステム(補綴設計や矯正モデル分析など)との親和性が高い点も特徴です。総じて、インビザライン主体ならiTero、マルチユースならTRIOSという選択になるケースが多く、医院の方針に応じた使い分けがされています。
Medit i700シリーズとの比較: Medit社(韓国)のi700およびi700 Wirelessは近年シェアを伸ばしているコストパフォーマンスに優れた口腔内スキャナーです。最大の特徴は価格の安さと更新料無料であることで、本体価格約250万円とiTeroの半額以下、ソフトウェア使用料も不要で維持コストを抑えられます[36]。それでいてスキャン性能は侮れず、1秒間に70コマの高速スキャン(秒間70fps)に対応し[46]、カラーの高精細データ(OBJ/PLY含むマルチフォーマット出力)を扱えます[47]。本体も小型軽量(有線モデル約245g)で取り回しが良く、先端のチップを180度反転装着できるリバーシブルデザインなど細かな使い勝手も考慮されています[47]。一方、iTeroと比較した際の差別化ポイントはインビザラインとの非連携です。MeditはAlign社との公式なデータ提携がないため、Meditでスキャンしたデータをインビザラインに用いる場合は一度模型を介するか特殊な手順が必要で、実質的にインビザライン用途には向かないのが現状です(そのため日本ではマウスピース矯正専用機としてiTeroかOrthoScannerを選ぶ医院が多い状況です[27])。またMeditはソフト面のサポートがオンライン中心で、トラブル時の対応やエンドユーザー向けサポートは大手メーカーに比べると限定的という意見もあります。しかし頻繁なソフトウェアアップデートで新機能(AIによる自動スキャン補正やクラウドサービス連携など)が追加されており、低コストで最新技術を試せる点は魅力です。総合すると、と言えます。
※その他の製品: 上記以外にもDentsply Sirona社のPrimescan(旧CERECオムニカムの後継)や、Carestream Dental社のCS3600シリーズ、Shining3D社のAoralscan、Planmeca社のEmeraldなど多数の製品があります。Primescanは補綴即日製作システム(CEREC)と直結したエコシステムが強みで、操作性・精度は優れるものの価格が極めて高額です。一方、Aoralscanなど中国系メーカーの製品は価格が抑えめで基本性能は高いものの国内サポート体制に不安がある、といった具合に一長一短があります。iTero 5Dプラスシリーズの差別化ポイントとしては、やはり「インビザライン公式スキャナー」であること、近赤外光による虫歯検出機能(NIRI)を有すること、患者説明ツールの充実(アウトカムシミュレーションやタイムラプス等)が挙げられ、ここに価値を見出すかが導入判断の分かれ目となるでしょう[48][49]。
4. この製品が向いているユーザー像(適した医院・治療スタイル)
iTeroエレメント5Dプラスシリーズは、特にインビザラインなどマウスピース矯正治療を積極的に行っている歯科医院に適した製品です。インビザライン公式のスキャナーであるため、認定医やダイヤモンドプロバイダーなどインビザライン症例数が多いクリニックでは、治療ワークフローの効率化や患者プレゼンテーションで大きなメリットがあります[31]。矯正専門クリニックはもちろん、一般歯科でも矯正担当医が定期来院するような医院で導入が進んでいます。実際、日本全国の歯科医院でiTeroエレメントシリーズを導入しているのは数%程度という普及率ですが[50]、都市部の矯正歯科や自費率の高いクリニックを中心に採用が増えています。
またデジタル歯科診療に積極的な医院にも向いています。例えば最新設備をアピールしたい大型の総合歯科や、インプラント・補綴にデジタル技術を取り入れている医院では、iTeroの高精度スキャンと各種分析機能(咬合チェックや経時変化の可視化)を活用して診療の質を高めることができます[37]。患者に対しても「うちの医院ではこんな最先端の機器で精密検査をしています」と説明でき、医院のブランディング向上に繋がります。特に予防歯科に力を入れるクリニックでは、NIRIによる非侵襲的な虫歯チェックや定期検診時の比較データ提示によって、患者のケア意識向上やリコール率アップが期待できます[29][51]。
一方、コストに見合う活用が難しいケースもあります。例えばインビザライン症例をほとんど扱わない小規模医院や、保険診療中心で自費治療比率が低い場合、数百万円の投資を回収するのは容易ではありません。そのような場合は低コストなエントリーモデル(MeditやCarestream等)から検討する方が現実的かもしれません。ただし将来的にデジタル矯正を取り入れたいと考えている医院であれば、早めにiTeroを導入してデジタル診療に移行する先行投資と捉えることもできます。実際、ある医院では「iTero導入を機に矯正治療に本格参入し、自費率が向上した」といった成功例も報告されています。
総じて、「インビザライン等のマウスピース矯正を主力に据え、高度なデジタル診療で差別化したい」という医院や、「患者説明や予防にデジタルツールを活用して付加価値を提供したい」という医院に最適な製品と言えるでしょう。逆に言えば、それ以外の医院ではオーバースペックになり得るため、自院の診療スタイルや将来展望に照らして導入検討することが重要です。
5. 導入時の注意点(導入コスト・Invisalignとの連携要件・設置スペース・トレーニング等)
導入を検討する際には、以下のポイントに注意が必要です:
初期費用とランニングコスト: 前述のとおり本体価格は数百万円規模であり、さらに毎月のクラウド利用料・保守料(約4万円/月)が発生します[34]。リースを利用する場合でも月々の支払いが生じます。導入前にROI(投資対効果)シミュレーションを行い、自院でどの程度活用すれば元が取れるか計画を立てましょう。また法人成りしている医院であれば、設備投資として減価償却計画も検討が必要です。
Invisalignとの連携要件: iTeroを最大限活用するには、インビザライン認定ドクターであることが望ましいです。スキャンデータをインビザラインに送信するにはAlign社のDoctor Siteアカウントが必要で、未認定の場合はまず認定コースを受講する必要があります。導入自体は認定医でなくても可能ですが、インビザライン症例が皆無であるとiTeroの真価を発揮できません。また導入後もソフトウェアアップデートに伴うClinCheckやシステムの変更点の把握など、Align社からの情報収集が欠かせません。定期的に開催されるユーザー向けウェビナーや講習会に参加し、最新機能(例えば新しいシミュレーション機能や分析ツール)が追加された際に使いこなせるようにしておくと良いでしょう。
設置スペースと院内環境: カートタイプの場合、21インチモニター付きの本体を診療室内に常設できるスペースが必要です。フットプリントがそれなりに大きいため、ユニット間が狭いクリニックでは動線を妨げない配置を工夫する必要があります。モバイルタイプであればノートPC一式を載せるワゴン程度のスペースで済みますが、それでもスキャナーの置き場・充電場所は確保しましょう。いずれにせよスキャン時にはユニットサイドに機器を近づける必要があるため、ある程度の空間的余裕が求められます。また院内ネットワーク環境も重要です。クラウド連携には高速で安定したインターネット接続が必要なため、Wi-Fi環境や有線LANの整備、通信速度の確認を事前に行ってください。場合によってはITインフラのアップグレード(ルーターの高速化や回線増強)も検討しましょう。
スタッフトレーニングと運用フロー: 機器導入時にはメーカーまたは販売代理店による現地トレーニングが行われるのが一般的です[52]。歯科医師だけでなく歯科衛生士や助手スタッフもスキャナー操作を習得できるよう、複数名で研修を受けることを推奨します。初めはモデルを使った練習や院内相互実習を重ね、スキャンに要する時間やコツを体得しましょう。特に補綴目的のスキャンではマージンの明瞭化や唾液・舌の排除など細かなポイントがあります。製品マニュアルやオンラインのチュートリアル動画(Align社提供の教育サイト「iTeroEd」など)も活用し、導入初期の習熟期間を十分に確保してください[52]。また運用フローとして、スキャンしたデータの管理方法(患者IDとの紐付けやクラウド上のフォルダ分類)、技工所へのデータ送信手順、患者説明に使うタイミング(診療チェア上で即時説明するか、カウンセリングルームで改めて説明するか)などをあらかじめ決めておくとスムーズです。
その他の留意点: 機器の保証期間やサポート体制も確認しましょう。通常iTeroにはメーカー保証が付帯し、故障時の代替機貸出などのサービスがあります。定期的なソフトウェアアップデートに備えてPCのスペック要件や容量にも余裕を持たせておくと安心です。また、患者への周知も大切です。院内ポスターやホームページで「iTero導入」をアピールし、最新機器によるメリット(苦痛の少ない型取りやシミュレーション提示など)を発信することで、患者側の理解と協力を得やすくなるでしょう。
以上、Invisalign対応口腔内スキャナー「iTeroエレメント5Dプラスシリーズ」の詳細レビューを述べました。高性能ゆえのコストや運用上のポイントはありますが、適切に導入・活用できれば診療のデジタル化と患者満足度向上に大きく貢献する製品です。ぜひ本レビューを参考に、導入判断にお役立てください。
[6][30] 3D光学スキャナー【iTero(アイテロ)】について | 春日市の歯医者
[19][21] 最新機器!iTero5Dプラスライト! - ARTE DENTAL CLINIC
[27] 口腔内スキャナ―(iTero)とは | 東京都千代田区の矯正歯科専門医院
[32] iTero エレメント口腔内スキャナー | インビザライン・ジャパン
[44] 口腔内スキャナー比較Comparison of IOS - デンタルバイオビジョン
[48] Align Technology and 3Shape Announce New Workflow Integration ...
[49] 【2025年最新】口腔内スキャナー5機種を徹底比較!導入メリットは?
[50] 芦屋市の歯医者 NAKANISHI DENTAL OFFICE(中西歯科医院)
[52] Mastering iTero™ Program - iTeroEd
Medit i700は主に価格重視・汎用デジタル印象用途に適し、iTeroはインビザライン連携と包括的機能を求める場合に適する