Primescan 2Primescan 2
デンツプライシロナ株式会社
評価なし
1. 製品概要(用途・特徴・製品種別・臨床シーン)
Primescan 2(プライムスキャン2)は、デンツプライシロナ社が2024年に発表した最新型の口腔内スキャナーです[1][2]。前モデル「CEREC Primescan(2019年発売)」の高精度スキャン技術を受け継ぎつつ、世界初のクラウドネイティブ型ワイヤレススキャナーとして大きく進化しています[3][4]。用途は歯科治療におけるデジタル印象採得(口腔内の型取り)で、従来のシリコン印象材の代わりに患者の歯列を高速で3Dデジタルデータ化し、補綴物設計や矯正治療計画などに役立てます。臨床シーンとしては、からまで、幅広い治療分野で利用可能です。特に当日中に補綴物を製作・装着するや、精密な補綴物製作を求めるケースで真価を発揮します。製品カテゴリとしては同社のフラッグシップに位置するハイエンドIOS(Intraoral Scanner)であり、SureSmile矯正やCERECシステム、Primeprint 3Dプリンタなど同社のデジタル製品群と連携したも構築できます。
クラウン・ブリッジ等の補綴治療、インプラント補綴、矯正(アライナー)治療
デジタルデンチャーやインプラント外科ガイド製作
ワンデイトリートメント
トータルデジタルワークフロー
完全ワイヤレス&クラウド連携:Primescan 2本体はバッテリー駆動かつWi-Fi接続で動作し、スキャンデータはDS Coreクラウドに直接保存・処理されます[8][9]。専用カート型PCは不要で、インターネット接続可能なPC・タブレット・スマホなどあらゆるデバイスからスキャン操作が可能です[10]。診療室間で機器を移動したり、院外(他院や病院、技工所など)へ持ち出して使用することも想定されています[11][12]。
高速・高精度スキャン:前モデル譲りの特許取得済みスキャン技術により、1歯列(フルアーチ)のスキャンを約1分以内で完了できる高速性と、優れた精度を両立しています[13][14]。チューリッヒ大学での試験など複数の研究でその精度が実証されており、臨床的ゴールドスタンダードとの評価もあります[15]。深さ20mm程度までの深部も記録可能で、従来はアナログ印象しか難しかったケースにも対応できるポテンシャルがあります[16]。もちろん粉末は不要で、カラー3Dデータとして口腔内を鮮明に記録できます。
新デザインとエルゴノミクス:スキャナー先端部(チップ)は前モデルより細く小型化され、最大傾斜角の拡大により奥歯遠心面や開口量の小さい患者にも挿入しやすく改良されています[17]。本体は全長約29cmと大型化しましたが、タップセンサーの搭載でスキャナー本体を指でトントン叩くだけでスキャン開始・停止や画面操作が可能となり、術者がキーボード等に触れずに操作できるよう工夫されています[18]。また、交換式バッテリーを採用しており、1個のバッテリーでフルアーチスキャンを4~5症例実施可能です[19][20]。標準で3個のバッテリーと充電器(同時に3個充電可能)が付属し、連続稼働による院内ワークフロー中断を防ぎます[21]。
包括的な衛生管理:視野先端部を覆う使い捨てスリーブによって交叉感染リスクを低減しつつ、高い光学性能を確保する設計です[22]。さらに2024年Q4には繰り返し滅菌可能なステンレス製クローズドスリーブ(サファイアガラス窓付き)も発売予定で、ランニングコスト低減や環境配慮にもつながります[22]。スキャナー表面に凹凸を減らした密閉構造とし、清拭・滅菌もしやすい形状です。
以上のように、Primescan 2は「いつでも、どこでも、誰にでも」質の高いデジタル印象を提供できることを目指した意欲的な製品です[23][4]。次章では、操作性や精度、コストなどの評価軸ごとに詳細をレビューします。
Primescan 2本体。完全ワイヤレス化され、従来のカート型システムが不要に[24][10]。バッテリー着脱式で診療室間の持ち運びも容易。クラウド上のDS Coreに直接接続し、ノートPCやタブレットから操作可能。
2. 評価軸に基づくレビュー
操作性(使いやすさ・スキャン体験)
メリット: Primescan 2最大の特徴である無線化とクラウド化が操作性にも貢献しています。煩わしいケーブルや専用ワゴンが無いため取り回しが良く、院内のどのユニットでもすぐスキャンを開始できます[10]。スキャン後のデータ処理や保存もクラウド上で自動実行されるため、従来機のように長時間その場で待機したりPC操作を挟む必要がありません[25]。スキャン完了後すぐ別の患者の元へ機器を回せるため、院内のスキャナー稼働率を高めることができます[26][27]。ソフトウェアはブラウザ上で動作し、直感的な新UIで誰でも扱いやすく、ステータススキャン(口腔全体の簡易記録)と治療部位限定の詳細スキャンを選択できるシンプルなワークフローです[28]。実際にβテスト使用した歯科医は「院内のどこでも使え、基本的な補綴から複雑症例まで幅広く適用できる。もはや”単なるワイヤレススキャナー”以上の存在」と高く評価しています[29]。また、スキャンスピードの速さも特筆すべき点です。全顎を約1分で走査完了する性能は健在で、スキャン中のリアルタイム表示も極めて滑らかです[13]。ペン型のハンドピースを自然なグリップで保持しやすく、先端チップの小型化やタップ操作導入も相まって、術者の負担は少ない設計です[13][18]。
デメリット: 一方で課題となりうる点もあります。まずスキャナーハンドピース自体の重量・サイズです。Primescan 2はバッテリーや無線モジュールを内蔵した結果、市販IOSの中でも最大級の約542g(スリーブ装着・バッテリー含む)と重く[20]、長時間の連続使用では術者の手が疲れやすい可能性があります。実際、前モデル(約445g前後)でも「ワンドが重く小さな口腔内では挿入に苦労する」との声がありましたが[30]、Primescan 2はそれより100g近く重量が増しており、この点は熟練を要するでしょう[31][32]。ただ先端は細く改良されているため、挿入自体は以前よりスムーズとの報告もあります[17]。次にインターネット接続への依存です。クラウド連携ゆえにネット環境が不安定だとスキャン画面の僅かな遅延(ラグ)やデータ送信エラーが発生し、ストレスの原因となりえます[33][34]。実際、レビュアーからも「有線スキャナーではまず起きないラグが、ごく稀にだが発生する」との指摘があります[34]。この対策として50Mbps以上の高速インターネットや強力なWi-Fi環境が推奨されており[35][36]、加えてDS社は「Edgeデバイス」と呼ばれる中継用小型PCをオプション提供しています[37][38]。Edgeデバイスは院内ネットワーク上に設置して一時的にスキャンデータをバッファし、低速回線でも後から徐々にクラウド同期するものです[37]。ただしこのEdgeデバイスにも追加費用がかかるため、導入時には自院のネット環境と併せて検討が必要です[38]。最後に学習曲線として、クラウドUIや新機能に習熟するまで若干時間が必要かもしれません。従来型とは操作フローが異なるため、スタッフ全員へのトレーニングを受けることが望ましいでしょう(販売代理店による講習などが用意されるはずです)。総じて、Primescan 2の操作性は最先端機能ゆえの利便性と、先進ゆえの注意点が混在しています。環境を整え使いこなせば、非常に効率的かつストレスフリーなスキャン体験を提供してくれるでしょう。
症例適応(適している治療分野)
オールラウンドな適応力: Primescan 2は事実上あらゆる歯科治療領域に対応可能なオールラウンド型IOSです。同社によれば、間接修復(インレー・クラウン・ブリッジ)、インプラント補綴、矯正用アライナー、インプラント埋入手術計画などすべての適応症・治療に利用できると謳われています[39]。実際、ベータテストでは単冠修復からインプラントオールオンX(多数歯欠損の即時負荷ブリッジ)、無歯顎顎堤、さらに出血を伴う状態の口腔まであらゆるケースで正常にスキャンが行えたとの報告があります[40]。高精細なスキャンデータによりマージン(支台歯縁)も鮮明に捉えられるため、精密補綴や高度な審美修復にも適しています[41]。また「深い領域(~20mm)」まで読み取れる光学系は、歯肉縁下の深い支台歯やインプラントポスト部の印象採得にも有用です[16]。矯正領域では取得モデルをそのままマウスピース型矯正(SureSmileなど)に活用でき、DS Core上のシミュレーター機能で治療後の歯列変化を患者に短時間で可視化することも可能です[42]。このように一台で様々な診療を網羅できるため、医院の提供できるサービスの幅を大きく広げるポテンシャルがあります[43]。特にデジタル補綴に注力する医院・技工所や矯正/インプラント治療を積極展開する施設にとって、Primescan 2は頼もしいツールとなるでしょう。
適応上の留意点: もっとも万能とはいえ各分野特有の注意も存在します。例えば無歯顎(顎堤のみ)のスキャンは、形態の特徴点が少ないためデータ補正やログインターバル調整が必要なケースがあります。他社IOSでも無歯顎は難易度が高い傾向ですが、Primescan 2でも「従来機に比べ若干手間取る場面があった」との指摘があります[44][45]。これは主にインターネット同期の遅延で見失いやすかったことが要因とされていますが、エッジデバイス導入や有線接続で改善可能とされています[46]。またインプラント埋入手術用のガイド製作にはCTとの重ね合わせ精度も要求されますが、Primescan 2のスキャンはCanvas機能で口腔内3DとX線画像を一画面に統合表示できるため、診断や説明に有用な一方[47]、実際のサージカルガイド設計には専用ソフト(インプラントプランニングソフト)へのエクスポートが必要です。幸いデータはSTL/PLY形式で出力可能なので[48]、他社のガイド設計ソフトやラボとの連携も問題ありません。矯正分野では、Invisalign社が自社スキャナー(iTero)以外での公式対応を制限していますが、デンツプライシロナ社は自社ブランドのSureSmile™アライナーを展開しており、Primescan 2との直接データ連携が可能です[7]。そのためInvisalign専用で使いたい場合は適応に制限がある点に留意してください(※iTero以外でもSTL出力で対応可ですが公式システム連携は不可の場合があります)。総じて、Primescan 2は高精度スキャンが要求される補綴・インプラント症例から、患者説明用のスクリーニングスキャン、矯正モデル作製まで幅広く活躍しうる汎用性を備えています[49][50]。導入施設側で適切にワークフローを組み、必要に応じた他システムとのデータ連携を行えば、その適応範囲に大きな制約はないでしょう。
他システム・ソフトウェアとの連携性
DS Coreプラットフォーム: Primescan 2はクラウドのDS Coreと深く統合されており、スキャン操作からデータ保管・共有までワンストップで行えます[28]。DS Core上に患者ファイルを作成しスキャンを開始すると、データは自動でクラウド保存され、院内の他端末からすぐ閲覧・利用できます[25]。このクラウド上の症例データは、歯科技工所や他院とも招待リンクを介して共有でき、効率的なコラボレーションが可能です[51][52]。たとえば技工所には患者スキャンデータに直接アクセス権を付与でき、追加の模型輸送やメール送信を省略できます。患者説明用にはCanvasと呼ばれるビューアで、スキャン3DデータとX線画像等を1画面に並べ注釈を付すことができ、視覚的なコミュニケーションを促進します[53]。またクラウドベースゆえにソフトウェアアップデートは全自動であり、ユーザーは常に最新機能を利用可能です[54]。このように、DS Coreを中核としたシームレスなデータ管理・共有機能はPrimescan 2の大きな強みと言えます。
オープンなデータ活用: DS Core経由とはいえ、取得データはオープンフォーマット(STLやPLY形式)でエクスポート可能です[48]。そのため、他社製CADソフト(exocadや3Shape Dental Systemなど)で設計したり、院内のCERECソフトウェアやinLabソフトに取り込むことも難しくありません。実際、Henry Scheinの紹介ページでも「STL/PLYでの出力に対応」と明記されており、ユーザーが既存ワークフローに合わせて柔軟にデータを扱えるよう配慮されています[48]。同社のCERECワークフローとも当然ながら互換性があり、Primescan 2でスキャン→CERECソフトでデザイン→院内ミリングマシンで即日補綴物製作、といった一連の流れも構築できます[7]。クラウド上でスキャンしたデータをローカルPCにダウンロードする手順は追加で必要になりますが、DS CoreのUI上から簡単に行えるようです。またSureSmile®システムとは直接連携し、スキャンから矯正治療計画・アライナー発注までオンラインで完結します[7]。他の代表的IOS同様、CAD/CAM機器やソフトとの接続性は総じて高いオープンシステムと評価できます。
制約・注意点: クラウド中心設計ゆえにインターネット接続無しではスキャナーが動作しない点には注意が必要です[55]。オフライン環境で使うことは基本想定されておらず、ネット障害時はスキャンを一時中断せざるを得ません(実際、レビューでは「ネット不調でスキャンを諦め、予備の有線スキャナーで凌いだケース」が報告されています[56])。有線接続オプションとしてEthernetケーブルで直接LANに繋ぐ方法もありますが、別売アダプタや電源が必要で取り回しも煩雑になるため緊急用と考えた方がよいでしょう[57][58]。またDS Coreの使用には有料サブスクリプション登録が必要で、無料プラン(Access)は閲覧専用に近く実用的ではありません。したがって毎月一定のクラウド利用料が継続的に発生する点も、他社オープンIOSとの違いとして念頭に置く必要があります[59][60](料金プランについては後述)。しかし裏を返せば、クラウド費用に見合うだけの便利な連携機能とデータ資産管理が得られるとも言えます。例えば膨大なスキャンデータをローカルで保存・バックアップする負担が減り[61]、診療所PCのストレージ不足やデータ消失リスクも抑えられます。また各種データ活用サービス(将来的なAI解析やクラウドCADなど)が追加提供される可能性もあり、DS Coreは単なる保管庫以上の価値を秘めています。総合すると、Primescan 2は自社クラウドとの強固なエコシステムを構築しつつも、必要に応じオープンデータで外部システムとも連携できる”ハイブリッド”な互換性を備えていると言えるでしょう。既存の院内デジタルワークフローにスムーズに統合できるよう設計されています[62]。
価格帯・コスト(初期費用・ライセンスなど)
初期導入コスト: Primescan 2はハイエンド製品だけに初期費用は高額です。他社同クラスと同程度かやや高めの設定とみられ、米国価格は本体で約$25,000(約275万円)と発表されています[63]。日本国内では種々の費用(薬事承認手続や輸送コスト)を含めて350~400万円前後になる可能性が指摘されています[63]。実際の販売価格は販売店や構成によりますが、同社のこれまでの価格帯(前モデルPrimescan ACがシステム一式500~600万円)や他社競合機(3Shape TRIOS 5やiTero Element 5が300~400万円程度、Medit i700が200万円弱)を踏まえると、Primescan 2も300万円台後半~400万円台のレンジが予想されます[63][64]。なお前モデルでは「コネクト(Connect)モデル」としてソフト機能を限定し価格を抑えた構成もありましたが[65]、Primescan 2に関しては現状フル機能版のみの提供とみられます。
ランニングコスト: 大きな特徴はDS Coreクラウド利用料(サブスクリプション費用)が継続コストとして発生することです[66]。同社発表ではPrimescan 2の使用には有償のDS Core契約が必須と明言されており[66]、米国では月額\$20相当のライトプランから\$100以上の上位プランまで複数 tiers が用意されています[60]。スキャナー本体を購入しただけでは使えず、最低でもDS Core Lightプランなどに加入する必要があります。プランにより利用可能なクラウド容量や機能が異なり、たとえばベーシックなプランで1TB程度のストレージが付与されるようです[67]。1TBあれば通常数年間の全症例データを保存可能との試算もありますが[68]、高解像度のRAWデータまで含めると実質もう少し必要になる場合もあります[69]。いずれにせよ、月額費用が掛かることで長期的にはそれなりの負担となるため、導入検討時は本体価格だけでなく数年スパンでの総コストを試算することが重要です[59][70]。一方で競合の高価格帯IOSも、サービス料や保守契約費が別途発生するケースが多い点には留意が必要です。他社例では、Align社(iTero)は年間保守契約費やスキャン送信料が課金されますし、3Shape TRIOSもソフトウェアアップデートやサポートを受けるには年額数十万円の保守料が必要な場合があります。Meditは本体価格に全機能と無償アップデートを含める戦略で人気ですが[71]、その代わり初期価格が高めに設定されています。Primescan 2は本体価格+サブスク費用という形態ですが、サブスクにより最新ソフトウェアやクラウド機能が常時使え、サポートも包括されるメリットがあります[59]。前モデルPrimescan(1)を使用していたユーザーからは「購入後の月額費が不要だった点は有難いが、ソフト更新も少なく時代に取り残されつつあった」という声もあり[72]、サブスク費用で安定したアップデート提供が受けられるのであれば、一概にデメリットとも言えません。
その他のコスト要因: ランニング面では消耗品コストも考慮しましょう。使い捨てスリーブ(滅菌済みカバー)は患者ごとに交換が推奨され、1枚あたり数百円程度と見込まれます[22]。オプションの再利用可能スリーブが発売されればランニング費用は抑えられる見込みです。またバッテリーは消耗品であり、使用を重ねると容量低下します(前モデルでは数年で交換が必要になったケースもありましたが、保証内で無償交換対応との報告があります[73])。バッテリー交換費やキャリブレーション用具の更新費なども長期的には発生し得ます。保守サポート体制については、デンツプライシロナ社は世界的な大手で日本国内にもサービス網があります。おそらく年間保守契約が用意され、万一の故障時代替機の貸出やオンサイト修理などが受けられるでしょう(契約費は機器価格の数%程度か)。クラウドサービス料には基本サポートも含まれると予想されますが、詳細は販売代理店に確認が必要です。総じて、Primescan 2の価格帯・コスト面は「初期投資が大きく、継続費用も必要」というハードルがあります。しかしそれに見合う最新技術と包括サービスを得られる点を考慮し、自院の収益構造やデジタル化戦略に照らしてROI(投資対効果)を検討することが重要です[59][74]。
品質・耐久性(スキャン精度・安定性・機器の信頼性)
スキャン精度と再現性: Primescanシリーズは複数の第三者研究で最高水準の精度が証明されています。例えばチューリッヒ大学の比較試験では、微細形状の再現性や全歯列での誤差の少なさで優れた結果を示し、従来のシリコン印象に匹敵する精度が報告されています[16]。Primescan 2も基本的な光学・撮像技術は前モデルを継承しており、その「高精度・高詳細スキャン」は健在です[75]。実際、臨床で支台歯マージンの明瞭さや咬合の適合性において、ユーザーから高い評価が寄せられています[76]。加えてPrimescan 2では撮影テクスチャ(カラーリング)がより実物に近い写実的な色調へ改善されており、従来の「やや漫画的な色合い」から脱却しています[77]。この結果、患者口腔内の様子をよりリアルに再現できる一方で、クラウド表示時には若干解像度が落ち細部が前モデルほどシャープではないとの指摘もあります[78]。しかしこれは表示上の問題で、エクスポートしたデータのポリゴン密度は依然高く(STLデータサイズ約11.4MBで業界トップクラス)[41]、実用上の精度に遜色はありません。全般にスキャン品質は「Primescanの名に恥じない極めて高水準」であり、臨床で要求される精度・信頼性を十分満たしているといえます[50]。
スキャン安定性とアルゴリズム: 前述の通りクラウド処理ゆえの通信ラグが生じた場合に、一時的にスキャン位置を見失うことがあります[34]。しかしソフトウェア側で賢明にリカバリーし、再度同部位をなぞればデータは正しく補完されます[79]。スキャン中のAI補正も向上しており、ゴミデータ(指や頬粘膜の映り込みなど)を自動除去する機能は搭載されています。ただし競合のTRIOS 5やMeditほど強力ではなく、「Primescan系スキャナーは軟組織のアーティファクトをやや拾いやすい傾向」が指摘されています[79][80]。これはスキャン時に術者が軟組織排除をきちんと行えば解決する問題ですが、他社より慎重なリトラクション(排舌・排頬)が求められるかもしれません[81]。一方でスキャン中の画像ステッチング(連結)アルゴリズムは業界でもトップクラスで、「二重取り込み(ダブり画像)がほとんど発生しない」安定性があります[82]。多少の位置ズレも広い視野と高度な画像合成で補正してくれるため、多少不規則なスキャンパターンでも破綻しにくい点は安心です。ユーザーからも「日常の象牙質露出の小さな補綴症例程度であれば、ほぼ問題なく処理できる」という声が多く、ラグさえなければPrimescan 1と変わらぬ快適さとの評価です[44][83]。
機器としての耐久性・信頼性: 前モデルPrimescanは堅牢な本体と安定したソフトウェアで知られ、長期間トラブルが少ないと定評がありました[84][73]。実際5年使用したユーザーが「ソフトのクラッシュもほとんど無く、安心して使い続けられた」と証言しています[84]。Primescan 2もその系譜にあり、基本構造はシンプルで可動部も少ないためハード的な故障リスクは低いと考えられます。バッテリー運用になったことでバッテリー自体の寿命はありますが、3個付属のうち1個が劣化しても残りで運用可能ですし、交換品も入手可能でしょう。消耗品である先端スキャナーチップ(カバーガラス)は定期交換が必要かもしれませんが、これも同社が交換用パーツを提供予定です。さらに今後登場予定の金属製スリーブは耐久性に優れ、毎回のオートクレーブ滅菌に耐える設計とされています[22]。総合すると、Primescan 2の品質・耐久性は非常に高いレベルにあります。高価な投資に見合うだけの安定稼働と精密な成果物を期待できるでしょう[85]。唯一、クラウド依存という新要素だけは外的要因(ネット環境)に左右されるため、信頼性確保のためにはインフラ面の備えが重要となります[35]。しかしそれさえ整えれば、Primescan 2自体は日々の臨床で頼れる「相棒」として十分なクオリティを発揮してくれるはずです。
ユーザーの声(導入医院・技工所の評価、使用感)
ポジティブな評価: 初期ユーザーからは概ね「最先端のワイヤレススキャナー」として好意的な評価が多く聞かれます。βテスターの欧州歯科医は「Primescan 2があれば毎患者のあらゆるニーズに応えられる。特定PCに縛られず院内のどこでも使え、基本的な修復から高度なインプラントまで自信を持って適用できる」とその汎用性を絶賛しています[29]。また日本のデジタル歯科専門医からは「Primescan (初代)は当時最速・高精度で非常に快適なスキャンが可能な機種だった。5年経った今でもその速さは色褪せず、ソフトもシンプルで扱いやすい[86]。新製品のPrimescan 2もクラウド連動という尖った魅力を持ち、驚いた」との声が上がっています[87][88]。実際、クラウドスキャンというコンセプトに対して「初めは半信半疑だったが、使ってみるとリアルタイムで雲にデータが上がる様子に感動した」「有線時代とほぼ遜色ない操作感でスキャンできてしまうのは驚異的」といった反応が聞かれます[89][90]。さらにユーザーが口を揃えるのはスキャンデータの質の高さです。「一度スキャンすれば細部の修正はほぼ不要」「パウダー無しでここまで正確に取れるのは驚異的」と、精度・再現性に対する信頼は厚いようです(初代Primescan利用者の声)[91]。技工所サイドからも「支台歯辺縁が非常にシャープに捉えられており、模型レスでも精度の高い補綴物が作製できる」と高評価が寄せられています[76]。総じて「スキャン品質・スピードが素晴らしく、チェアサイドでのデジタルワークフローが格段に向上した」というポジティブな声が多く聞こえてきます。
ネガティブな指摘: 一方でいくつか改善要求や戸惑いの声も出ています。まず最も多いのが機器サイズ・重量への言及です。「ハンドピースが大きく重いため、小さな口の患者には挿入しにくい」「長時間連続で持っているとさすがに手首にくる」といった声が一部あります[30][64]。特に日本人患者は欧米人に比べ口腔が小さい傾向があるため、扱いには慣れと工夫が必要との指摘です。ただ「先端が細くなったぶん挿入自体は以前より楽」とフォローする意見もあり、評価は分かれます[17]。次にクラウド依存によるラグについて、「ごく短い遅延だが感じ取れる時がある」「ネット環境に業務が左右される不安はゼロではない」との声があります[33][34]。実際あるユーザーはバックアップとして旧型有線スキャナーを手元に残していると述べており、「万一ネット障害でスキャン不能になった時の保険」としています[56]。DS社もこの点は認識しておりEdgeデバイス等で対応していますが、慎重なユーザーは「購入前にぜひ実機を試し、自院ネット環境で問題ないか確認すべき」とアドバイスしています[36][55]。また費用面についても、「本体も高額だが毎月の支払いが発生するのが悩ましい」という声が開業医から聞かれます[59][70]。「せめてライトプランで十分使えると良いが、肝心のスキャン機能は有料プラン前提なので悩ましい」と、導入コストのハードルを指摘する意見もあります[92]。さらに細かな点では、「カラー⇔モノクロ切替ができない(常にカラー撮影のみ)」「模型モードが無い」などソフト面の仕様に戸惑うユーザーもいるようです[93]。特にモノクロモード非搭載は珍しく、「なぜオフにできないのか興味深い判断」と受け止められています[94]。もっともSTL出力すれば結果的にモノクロになるため大きな問題ではありません。また「ソフトの日本語訳が一部わかりにくい」「最初クラウドログインに手間取った」といった導入初期ならではの意見も散見されますが、これらは次第に解消されるでしょう。全体として、ネガティブな声は「サイズ重量」「通信ラグ」「コスト」の3点に集中しています。これらは製品の本質的欠陥ではなく、各医院で対策・納得できる範囲かどうかを評価の上で導入判断する材料となるでしょう。
3. 類似製品との比較とPrimescan 2の差別化ポイント
市場には多くの口腔内スキャナーが存在しますが、主な競合としてMedit i700/i900シリーズ(韓国Medit社), 3Shape TRIOSシリーズ(デンマーク3Shape社), Align iTeroシリーズ(米国Align社)などが挙げられます。それぞれ特徴がありますが、Primescan 2との比較と差別化ポイントを整理します。
Medit i700 / i700 Wireless / i900: Medit社は低コスト・オープン運用を武器にシェアを伸ばしているブランドです。i700は本体価格が約150~200万円と手頃で、ソフト更新やクラウドサービス(Medit Link)も基本無償で使えます。重量は有線モデルで約245g、無線版でも328g程度と非常に軽量で扱いやすいのが利点です[95][96]。スキャン精度・速度も近年はハイエンド機種に迫る評価を得ています[97][98]。一方で完全無線ではなく、無線版でもPCとの通信に専用USB受信機が必要、かつバッテリー持続時間もやや短めです。Primescan 2と比較すると、価格の安さ・軽量コンパクトさ・オープン性でMeditは優れていますが、クラウドネイティブ動作や統合ワークフローの面ではPrimescan 2が先行しています。例えばMeditもクラウドサービスはありますが、基本はローカルPCでスキャン処理を行います。Primescan 2はクラウド上でスキャンソフト自体が動作するため、端末スペックに依存せず軽快に使える点や、複数デバイスから同時アクセスできる点が差別化ポイントです[8][9]。またMeditはユニバーサルな使い勝手の反面、メーカーサポート体制は代理店任せな部分もあり、トラブル対応や研修体制では大手のデンツプライシロナに一日の長があります。総じて「コスト重視で手軽に導入したいならMedit、先進機能とサポート重視ならPrimescan 2」という棲み分けになるでしょう。
3Shape TRIOS 4/5: 3Shape社のTRIOSシリーズは長年精度・機能性でトップクラスの評価を受けてきた高級IOSです。TRIOS 5(2022年発売)は完全ワイヤレス運用が可能で、本体重量は約300g(バッテリー込み)と非常に軽量です[99][100]。独自のAI機能や優れたカラーリング、使いやすいソフトウェアUniteプラットフォームを備え、オープンなデータ連携も柔軟です。Primescan 2との比較では、重量・サイズの点でTRIOS 5は約半分の軽さで患者・術者負担が小さいメリットがあります[101]。またTRIOSはモバイル端末(iPad)上でスキャン操作することも可能で、手軽さでは負けていません。精度面では両者とも非常に高く甲乙付け難いですが、前述のとおりPrimescan (初代)は精度のゴールドスタンダードとも称されており[15]、Primescan 2もその系譜です。一方TRIOSも各種研究で高評価を得ており、精度・信頼性は互角でしょう。ただPrimescan 2はクラウド処理ゆえのラグが稀に指摘されるのに対し、TRIOSはローカル処理ゆえ遅延は極めて少ない安定感があります[34]。機能面では、Primescan 2はクラウド上で患者管理や画像統合など統合的なのに対し、TRIOSは独自アプリ群(Caries DetectionやTreatment Simulator等)で付加価値を提供しています。価格帯は両者とも高額で、TRIOS 5は本体+ソフトライセンスで300~400万円超とも言われます。さらにTRIOSは基本ライセンス費用に加え年次のソフト保守料が任意ですが存在し、総所有コストはPrimescan 2+サブスクと大差ない可能性があります。差別化ポイントとして際立つのはPrimescan 2のクラウドネイティブ設計で、これはTRIOSを含め他社に無い新機軸です[2][102]。例えば端末非依存でどこでもスキャン可能な点や、ソフト更新が自動な点、診療所間・ラボ間のデータ共有が容易な点などはPrimescan 2ならではのメリットです[8][25]。対してTRIOSは長年の実績による信頼性(“不具合の少なさ”)や豊富なユーザーベース、インビザライン等との接続実績が強みと言えます。要約すると「最新クラウド技術で先を行くPrimescan 2」に対し、「洗練された安定感のTRIOS」という対比になります。
Align iTeroシリーズ: Align Technology社のiTeroは、インビザライン矯正とのシームレス連携で有名なIOSです。多くの矯正歯科で採用されており、治療シミュレーション機能など矯正特化のサービスが魅力です。一方で機器自体は大きめ・重め(500g前後)で、主にカート一体型で運用するスタイルです[64]。スキャン速度はやや遅めとも言われ、日常の補綴用途では他社を選ぶ歯科医師もいます。Primescan 2との比較では、インビザライン用途なら依然としてiTeroが優位です(Align社が他社スキャンデータを公式に許容しないため)が、補綴・インプラント用途ではPrimescan 2の方が高速高精度で使い勝手が良いでしょう[14][7]。価格はiTeroも高額でリース提供が主流、かつ毎年の保守料やケース送信料などランニングコストも大きいです。Primescan 2はそうした囲い込みビジネスモデルではなく、オープンデータで他社ラボワークにも対応できる点が差別化になります[48]。またiTeroには現状ワイヤレスモデルは無く、持ち運びや院間移動といった点でもPrimescan 2に軍配が上がります[10]。ただiTeroは矯正シミュレーション等で患者説明ツールとして強力であり、Primescan 2もCanvasやSureSmile Simulatorで追随を図っています[103]。総合すると、「矯正特化・Align独自路線のiTero」と「補綴も矯正もオールマイティなPrimescan 2」という性格の違いが明確です。
その他の類似製品: 上記以外にも、例えばPlanmeca Emerald S(フィンランド)やCarestream CS3800(米国)などのIOSも市場にありますが、シェアや性能面で上記3ブランドほどの存在感はありません。それぞれ特長はあるものの、Primescan 2が明確に劣る点は少ないです。強いて言えばPlanmecaは自社CAD/CAMとの連携、Carestreamは医科画像との統合など独自の強みがありますが、Primescan 2もDS Core Canvasで統合ビューを提供するなど対抗しています[51]。
以上を踏まえると、Primescan 2の差別化ポイントは次のようにまとめられます:
クラウドネイティブ&ワイヤレス: 世界初のクラウド動作IOSであり、完全ワイヤレス運用を実現[2][102]。他社は基本ローカルPC依存で有線/半無線のため、この点で先行。
オールインワンのDSエコシステム: DS Coreを中心に院内・ラボ・患者コミュニケーションまで包括する統合環境[25][103]。他社は部分最適(各機能別アプリ)だが、Primescan 2は統合度が高い。
デンツプライシロナのブランド力とサポート: 歯科大手によるグローバルサポート体制、研修プログラム、将来のアップデート提供など安心感が大きい。
卓越したスキャン技術の継承: 初代Primescanから定評ある精度・速度・視野の広さを継承し、「精度の神」と称された実績[15]。一方で最新ソフトによりテクスチャなど改善。
逆に劣る点は、機器の大きさ重さ(TriosやMeditに負ける)[101]、インターネット依存(完全オフラインでは使えない)[55]、初期費用の高さ(Meditの数倍)などです。これらを総合し、ユーザーは自院ニーズに合った機種を選定することになります。Primescan 2は先進的機能を持つぶん要件も多いですが、それを満たせば他にないメリットを享受できる点が差別化の核心と言えるでしょう。
4. この製品が向いているユーザー像
Primescan 2の特徴を踏まえると、特に以下のようなユーザー層・施設に適していると考えられます。
自費診療中心の歯科医院: 保険診療主体の医院に比べ、自費治療中心の医院は高度な審美補綴やインプラントなど精度重視の治療が多く、また収益的にも機器投資を回収しやすい傾向があります。Primescan 2は高精度スキャンにより補綴物適合精度を高め[91]、患者満足度向上に直結します。また最新機器の導入自体が医院のブランディング(先進的イメージの訴求)につながり、高額な自費治療を提案する際の説得力ともなるでしょう。自由診療中心で質の高い治療を追求する医院にとって、Primescan 2はそのコンセプトと合致します。特にセラミック修復やインプラント上部構造のフィットにシビアなドクターに適しています。
ワンデイトリートメント対応医院(CAD/CAM即日補綴導入医院): 即日治療(One Day Dentistry)を掲げCERECなど院内CAD/CAMを運用する医院には、Primescan 2は理想的なスキャナーです。チェアサイドでスキャン・設計・加工まで完結するワークフローでは、スキャンの速さと正確さが診療時間短縮の鍵となります[13]。Primescan 2はフルアーチ1分のスキャン速度により患者の負担を減らしつつ、高精度データで削合や調整を最小限に留める補綴物製作を可能にします[91]。またワイヤレスで診療チェア間を移動しやすいため、同日に複数患者のスキャン→製作を効率よく回せます[26]。即日補綴ではタイムマネジメントが重要ですが、Primescan 2ならスキャン後すぐ次患者へ渡せるため複数台スキャナーを持たずとも高い回転率を実現できます[26]。さらに患者説明用に術前スキャンと術後補綴物をCanvasで比較提示するなど、治療価値を実感してもらうツールとしても有用です[14]。よってCEREC等を用いたワンデイトリートメントを売りにする医院に強くマッチします。
高精度補綴に強い歯科技工所: デジタル技工に積極的なラボにもPrimescan 2は検討価値があります。近年、技工所が歯科医にIOSスキャンサービスを提供したり、逆に歯科医から送られたアナログ印象をラボ側でIOS読み取りするケースも出てきています。Primescan 2の精度の高いデータは、CAD上での補綴物設計をスムーズにし[76]、調整の少ない補綴装着を実現できます。特に高精度が要求されるフルマウス補綴やインプラント複数本症例でその恩恵は大きいでしょう。ユーザー権限共有により、歯科医のDS Coreにラボ技工士がアクセスして直接設計することも可能で、双方向のコラボレーションがしやすい点もラボにメリットです[51][52]。また最新機器を導入することで、デジタルに積極的な歯科医へのアピールにもなります。もっともラボ自体がIOSを購入するケースは多くありませんが、精密な補綴物製作をウリにする大型ラボや、歯科医にスキャナー貸出・出張スキャンサービスを行うような先進的ラボには適した投資と言えます。
複数診療室や分院を持つ大型クリニック: Primescan 2はクラウドベースでデータを一元管理できるため、複数ユニット・複数医院を展開する法人にも適します。一台のスキャナーを本院と分院で持ち回りしたり、各院で撮ったデータをクラウドで共有して本院技工センターで設計する、といった運用が容易です[11][9]。またチェーン展開する医院で院内標準プラットフォームとして導入すれば、スタッフ教育やデータ共有もスムーズになります。患者さんにとってもどの分院に行っても同じクオリティのデジタル印象が得られる安心感があります。さらに在宅・訪問歯科診療を行う施設でも、Primescan 2は有用かもしれません。ノートPCと本機を持参すれば往診先や病院でもその場で口腔スキャンができるため[11]、従来困難だった訪問先でのデジタル印象が可能になります。以上より、大規模多拠点展開の歯科医療法人や訪問診療を含む幅広いフィールドで活用したいユーザーにも適したソリューションです。
デジタル歯科の先進性を患者PRしたい医院: 最後に、最新機器を導入することで差別化を図りたい医院にも向いています。患者から見るとワイヤレススキャナーで口腔内をスキャンし即座に3D画像を見せられる体験はインパクトが大きく、「この医院は最先端の治療をしている」という信頼感や安心感につながります。高額な自費治療の場合でもデジタル技術の説得力で付加価値を感じてもらえるでしょう。例えば審美歯科やインプラント専門で集患に力を入れている医院が、マーケティングの一環として最新IOSを導入するのも有効です。「当院はPrimescan導入済みです」と掲示すれば、デジタルに敏感な患者や紹介元にもアピールできます。よって技術リーダーシップを取りたいクリニックにとって、Primescan 2は投資する価値のある機器と言えます。
以上をまとめると、Primescan 2が真価を発揮するのは「高度な治療クオリティとデジタル効率を追求するユーザー」です。逆に言えば、保険診療主体でCAD/CAM即日修復も行わず、コスト重視で最低限デジタル化したいだけのケースにはオーバースペックかもしれません。その場合は廉価なスキャナーや型取りスコープ等でも目的を果たせるでしょう。しかし、今後の歯科医療のデジタル化を見据えて先行投資したいという医院・技工所には、Primescan 2は将来的な拡張性も含め非常に頼もしいツールとなるはずです。
5. 導入時の注意点(前提知識・初期学習・運用条件・保守サポート)
Primescan 2を導入する際には、スムーズに活用するために以下のポイントに留意する必要があります。
十分なインフラ整備: 最大の注意点はネットワーク環境の構築です。クラウド型スキャナーゆえに、医院のインターネット接続は高速かつ安定していることが絶対条件となります。デンツプライシロナ社は上り下り50Mbps以上を推奨しており[35][36]、有線・Wi-Fiともその帯域を確保する必要があります。具体的には、高速光回線を引き、診療室に強力なWi-Fi6ルーターやメッシュWi-Fiで電波を行き渡らせる対策が望ましいです[104][105]。ネットワークが弱いとスキャン時にラグが生じたり、最悪クラウド接続が切れてスキャン中断となる恐れがあります[55]。郊外などで回線不安がある場合は、Starlink衛星インターネット等のバックアップ回線を用意する選択肢も検討されます[105]。どうしてもネット環境が難しい場合は、前述のEdgeデバイス導入をDS社担当と相談しましょう[37]。Edgeは一時保存&後追いアップロードでネット負荷を平準化してくれます[37]。いずれにせよ、ネットワーク整備は導入前に必ず対策しておくことが重要です。
前提となるデジタル知識: Primescan 2自体の操作は直感的ですが、デジタルワークフロー全体への理解があると活用の幅が広がります。導入前にCAD/CAMやデジタル印象の基礎知識を院長以下スタッフで共有しておきましょう。具体的には、口腔スキャナーの原理・特性(例えば光学的に苦手な素材や角度など)、データ形式(STL, PLY, DXDの違い[48])、クラウドの使い方、取得データのCADソフト連携方法、といった事項です。また従来法との違い(石膏模型が無いことによるチェックポイント等)についても認識合わせが必要です。メーカーや販売代理店が開催する導入講習・ハンズオントレーニングには必ず参加し、操作方法だけでなくトラブルシューティングやベストプラクティスも学びましょう。スタッフ間ではスキャン練習を事前に十分行い、誰がスキャン業務を担当するか(歯科医師だけでなく歯科衛生士等へタスクシフト可能[106])も決めておくと良いです。Primescan 2は「簡単に誰でも使える」が売りですが[62]、やはり習熟による精度・スピード向上が望める機器です。導入初期は模型やスタッフ同士で練習し、臨床投入後もユーザー同士の情報交換や症例検討会等でスキルアップを図ると良いでしょう。
必要な機器・レイアウト: Primescan 2本体以外に準備すべき機器にも注意します。まずスキャン操作用の端末(PC/タブレット)が必要です。クラウドUIなので高スペックPCは不要ですが、現実的にはある程度の画面サイズ(患者と一緒に見るなら大画面が望ましい)や入力デバイスを備えた端末が使いやすいです。例えば診療チェア毎にノートPCを設置する、もしくは持ち運びできるタブレットPCを用意し都度Wi-Fi接続する、といったスタイルが考えられます。Windows/macOSどちらでもブラウザ対応していますが、動作検証済みのChromeなどが無難でしょう。タブレットの場合、iPadでもSafariで動作報告がありますが、細かな操作性はPCに軍配が上がります。またバッテリー充電設備も必要です。付属の充電クレードルを置く場所を決め、常に予備バッテリーを満充電にしておきます[19]。1回のスキャンで1本消費することを想定し、院内ルーチンに組み込んで電池交換することが大切です。カート型PCが無い分、スキャナー本体やバッテリー、スリーブ類の収納・運搬方法も検討します。専用の収納ボックスやカート(オプションのPrimescan 2カート)を使えば移動や保管が安全に行えます。診療室レイアウト上、Wi-Fiルーターの配置も重要です。ユニットから遠いと電波が弱くなるため、可能ならユニット近傍の天井などにAPを設置しておくと良いでしょう[107]。
保守点検とサポート: 高価な機器ですので、トラブル時のサポート体制を事前に確認・整備しておきましょう。購入時にメーカー保証が通常1年付与されるはずです。延長保証や保守契約プランがあれば加入を検討します。内容としては、故障時の代替機貸出やオンサイト修理対応、ソフトウェアサポートなどが含まれるでしょう。クラウドサービスのDS Core自体はアップタイムの高いサーバで運用されるはずですが、万一のシステムダウンに備えバックアッププランを考えておくのもリスク管理です(最悪その日は従来法で印象採得するなどの手順をスタッフと共有)。また定期的なキャリブレーションも欠かせません。付属のキャリブレーションツールで所定の頻度(例えば週1回や移動後など)で校正し、精度を保ちます[108]。スキャナーチップ(先端光学部)は消耗し傷がつくと精度低下するので、取扱いに注意しつつ定期交換します。衛生面では使い捨てスリーブを患者毎に交換し、再利用可能スリーブの場合も推奨の滅菌プロトコルに従います[18]。サポートに関しては、デンツプライシロナ社あるいは販売代理店のトレーナーによる初期導入支援を活用しましょう。スタッフ向け操作説明や実地トレーニング、初症例での立会いなどをお願いできる場合があります。また導入後も不明点はメーカー技術サポートに問い合わせ、アップデート情報や不具合情報をキャッチアップします。幸いDS社は世界中で実績があり、オンラインのユーザーフォーラムやFAQも充実していくと考えられます。日本では症例ユーザー会なども開催される可能性があるので、積極的に参加して情報共有すると良いでしょう。
院内ワークフローへの組み込み: 導入にあたっては、Primescan 2を院内の既存業務フローにどう組み込むか綿密に計画する必要があります。例えばアポイントのスケジューリングでは、従来より印象採得時間が短縮される分、他の工程に時間を充てるのか、あるいは患者回転を早めるのか方針を決めます。またデータの保管・活用ルールも定めます。どのタイミングでクラウドからダウンロードしてカルテに添付するか、あるいはクラウド上のみで管理するか、データ整理のプロトコルが必要です。さらに技工所への発注フローも見直します。DS Core共有を使う場合、ラボごとに共有方法を打ち合わせ、必要ならラボ側にもDSアカウント取得を依頼します[51]。院内LANセキュリティポリシーによってはクラウドへのアクセス制限がある場合もあり、IT担当者と調整が必要です。患者への同意取得も考慮します。クラウドにデータ保存することを患者が懸念しないよう、プライバシーポリシーの説明や同意書への記載などを行います(医療情報をクラウド管理する旨)。以上のように、新しい機器を中心に院内ルール・フローをアップデートすることが円滑な運用のカギです。
スモールスタートと検証: 可能であれば、導入当初は徐々に適用範囲を広げるのがおすすめです。いきなり全患者でデジタル印象に切り替えるのではなく、まずは補綴の一部症例から始め、スタッフが慣れてきたら矯正やインプラント、そして全患者へ、と段階を踏むと失敗が少ないです。最初の症例では必ず予備で従来印象も取っておくなど、慎重に進めます。患者への説明も「新しい機器でデータを取ります」と断りを入れ、理解を得ると安心です。得られたデータを実際に補綴装着や矯正装置適合で検証し、問題ないことを確認してから適用範囲を広げてください。メーカーも初期は改善アップデートを頻繁に出す可能性があるため、適用を広げつつも不具合情報には目を光らせましょう。
以上、Primescan 2導入時の注意点を挙げました。要約すると、「環境を整え、知識を身につけ、計画的に活用し、継続サポートを受ける」ことが成功の秘訣です。最初は多少の戸惑いがあっても、適切に準備すればPrimescan 2は強力なパートナーとなって医院のデジタル診療を次のレベルへ導いてくれるでしょう[102]。各種レビューやユーザーの声にも耳を傾けつつ、万全の体制で導入に臨んでください。
[3] Dentsply Sirona Launches Primescan 2
[16] 〖新製品紹介〗 口腔内スキャナー「Primescan(プライムスキャン)」 | Doctorbook academy (ドクターブックアカデミー)
[60] Cloud Solution for Dentists - DS Core - Dentsply Sirona
[64] 【2025年最新】口腔内スキャナー5機種を徹底比較!導入メリットは?
[95] Medit i700 Intraoral Scanner | Universadent Inc
[96] Medit i700 Wireless Intraoral Scanner Review + Medit Apps
[97] Medit i700 - Now $13500 With 3 year Warranty +$1500 Visa Gift Card
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