ProTaper Next
ProTaper Next デンツプライシロナ株式会社
評価なし
製品概要 ProTaper Next は、根管治療に用いるニッケルチタン製のエンド用ロータリーファイルシステム です[1] 。従来のProTaperシリーズ(UniversalやGold)の性能と信頼性を継承しつつ、次世代テクノロジー による改良を加えた製品で、効率的かつ安全な根管形成を目的としています[2] 。主な用途は根管形成(根管拡大・清掃) であり、手用ファイルやグライドパス形成後にエンジン併用で使用します。臨床では、一般的なう蝕や失活歯の根管治療から、湾曲や細径の難しい根管の形成まで幅広く活躍します。
特徴: ProTaper Next最大の特徴は、ファイルの断面形状と運動特性 にあります。断面が長方形のNiTiファイルで、中心からずれたオフセンター回転 を採用しており、ファイルが揺れるように動いてデブリ排出スペースを拡大します[3] 。この非対称運動(Swaggering運動)は特許技術で、常に根管壁に接する点が2点だけとなるため摩擦が減少し、自己中心的に根管内を進んでいく 自己誘導性を発揮します[3] [4] 。さらに、ファイル素材にはDentsply Sirona独自の熱処理技術によるM-Wire Ni-Ti合金 が使われており、従来NiTiより柔軟性と疲労抵抗性が向上 しています[5] 。これらにより、 と相まって、湾曲や複雑な根管でも追従性良く効率的に形成できる設計となっています 。
可変テーパー設計
ProTaper NextのNiTiロータリーファイル(X1~X5各種)。断面は長方形で、軸をオフセットさせた設計により根管内で独特の揺れる動きを実現している [3] 。各ファイルはカラーコードされており、X1(黄色)からX5(オレンジ)までサイズが揃う。
製品ラインナップ: ProTaper Nextシステムは全部で5種類のファイル で構成されます(X1~X5)[7] 。通常の根管形成シークエンスでは、X1(先端径#17/.04) とX2(#25/.06) の2本で充分な拡大が可能で、多くのケースでこの2本のみで最終形成まで完了します[8] 。より太い根管やさらなる拡大が必要な場合には、X3(#30/.07) , X4(#40/.06) , X5(#50/.06) と順次大きいサイズを選択します[9] [10] 。必要に応じて、根管口拡大用のXA(#19/.035) というアクセサリーファイルも用意されており、二次象牙質が多い症例でのオリフィスの拡大やストレートラインアクセス確保に使用できます[11] 。ファイル長は21mm、25mm、31mmのバリエーションがあり、根管の長さや部位に合わせて選択します[12] 。また、形成後の根管形態にマッチした専用のペーパーポイントやガッタパーチャポイント も色分け付きで提供されており、システム全体で根管充填までスムーズに行えるよう設計されています[13][14] 。
使用シーン: ProTaper Nextは電動エンドモーター に装着して使用し、連続回転法 で根管を拡大します(※レシプロ運動では使用しません)。臨床シーンとしては、グライドパス確保後 の根管形成段階で主役となります。例えば、あらかじめ#10~15程度の手用Kファイルやグライドパス専用ファイル(ProGlider等)で根管長と滑走路を確保した後、X1→X2と順次使用して根尖まで拡大します[15] 。湾曲や狭窄のある難しい根管でも、柔軟性と揺れる動きによって根管形態を尊重しつつ効率よく拡大できる ため[16] 、一般歯科医の根管治療から歯内療法専門医の高度なケースまで幅広く活用されています。
評価軸に基づくレビュー 操作性(ハンドリング・切削感): ProTaper Nextの操作性は総じて良好です。自己中心的に根管を進む 特性があり、適切にグライドパスが確保されていればファイルが根管内を「吸い込まれる」ように入り込んでいく感覚があります[4] 。切削効率が高く、デブリ排出も良好なため、軽い力で根尖まで到達 しやすいです[4] [17] 。実際、ユーザーからは「PTNは勝手に先へ進んでくれる 」という声もあり、操作の負担軽減につながっています。一方でその自己進行性の強さ ゆえに、慣れないうちは急速に進みすぎてしまうと感じる場合もあります。とくに未熟な操作ではスクリューイン効果 に注意が必要で、軽い揺り戻し(ブラッシング)動作を交えながらコントロールすると安全です。また、高い切削力 ゆえに比較的短時間で形成が完了しますが、その反面「切れ味が良すぎて怖い」という意見も一部あります。総じて、滑らかな切削フィーリングとスムーズな進入性 で評価は高く、複雑な根管形態にも対応しやすい操作性と言えます[6] 。
症例適応(適応範囲・ケースの広さ): ProTaper Nextは汎用性が高く幅広い症例に適応 できるシステムです。細い根管や大きく湾曲した根管に対しても高い追従性を示し、根管形態を大きく削りすぎることなく形成できます[6] 。実際、メーカーも「多用途で柔軟なシステムを求める歯内療法医にとって効率的なソリューション 」と謳っており、大部分の根管治療ケースに対応可能 としています[16] 。X1・X2の2本で#25まで到達できるため、通常の単根管から中等度に湾曲した大臼歯根管まで、多くの症例で標準使用可能です。さらにオプションのX3~X5を揃えておけば、大きな根管(太い根尖径が必要なケース)や、よりテーパーを付けたいケースにも対応できます。ただし、極度の石灰化や屈曲 があるケースでは、事前のハンドファイルでの十分な予備拡大や、場合によっては他のより柔軟性の高いファイル(例:HyFlex CM等)との使い分け も検討すべきです。実際の臨床では「ステンレス製の手用ファイルで根管長を通せないほど硬い根管では、根管口付近の拡大明示だけPTNに頼ることもある」などの声もあり[18] 、症例に応じて部分的にPTNを活用する方法 も取られています。総じて、通常の根管治療から難症例の補助的活用まで、適応範囲は広い と言えます。
連携性(システムの一貫性・他製品との協調): 本製品はDentsply Sirona社のエンドエコシステム の一部として設計されており、関連製品との連携がスムーズです。例えば、ProTaper Nextで形成した根管にフィットする専用ペーパーポイント やガッタパーチャポイント が用意されており、色コードもファイルと対応しているため識別が容易です[13][14] 。これにより、形成から根管乾燥、根管充填まで一貫したワークフローを構築できます。また、同社製エンドモーター(X-Smartシリーズ等) にはProTaper Next用の推奨設定がプリセットされており、適切な回転数・トルクで安全に使用できます[19] [20] 。推奨回転数は概ね300rpm前後、トルクは各ファイルで約2~4N·cm程度とされ、専用設定によりモーターが自動制御します。さらに、グライドパス形成用のProGlider との組み合わせも推奨されており、ProGlider一本で滑走路形成→PTNで根管形成という効率的な連携も可能です[21] 。他社の汎用エンドモーターでも使用できますが、レシプロ専用機では使えない (連続回転機能が必要)点に注意が必要です。総じて、同社のポイント類・デンタルモーターとの親和性が高く、トータルシステムとして運用しやすい のが利点です。
価格帯・コスト: 価格帯はニッケルチタン製ファイルとして標準的~やや高め です。メーカー希望小売価格では、ProTaper Nextファイル各種(X1~X5)の6本入パックが1箱あたり約12,600円(税込抜) に設定されています[22] [10] 。1本あたりに換算すると約2,000円強となり、例えば一般的な治療でX1とX2の2本を使用するとケース当たり4,000円程度 のファイルコストになります。ただし、これはあくまで定価ベースであり、実売価格やまとめ購入割引によって多少低減する可能性があります。メーカーは「ワンファイル・ワンペーシェント」 コンセプトを推奨しており、患者ごとに新品を使用して使い捨てることで常に最高の切削効率を維持しつつ感染リスクを無くす方針です[23] 。そのため再利用しない前提では症例ごとのランニングコストは発生 しますが、滅菌再処理の手間や破折リスク低減を考慮したコストパフォーマンス と捉えることもできます[24] 。競合のWaveOne Goldなどレシプロ単一ファイルシステムも1症例あたりのコストは類似 しており、大きな差はありません。一方、HyFlexなど再使用前提のシステム と比べると、使い捨て運用の分だけコスト増になる可能性があります。その場合も、破折によるトラブル回避や院内感染防止策 への投資と考えれば、許容範囲との評価が多いようです。医院の保険請求や自費設定にもよりますが、標準的な価格帯 であり大きなコスト障壁にはなりにくいでしょう。
品質・耐久性: ProTaper Nextは品質面でも信頼性の高い製品 です。精密な機械加工と熱処理技術によって、各ファイルの寸法精度や切削エッジのシャープさが保たれています。素材のM-Wire NiTi は通常のニッケルチタンより疲労破折耐性が向上 しており、湾曲下での耐久性も優れます[5] 。実験的な比較では、HyFlex CMなどの最新柔軟ファイルには及ばないものの、従来型のNiTiファイルに比べ折れにくく長持ち することが確認されています(ある研究ではHyFlex CMがProTaper Nextよりも有意に高い耐疲労性を示しました [25] が、臨床範囲での差は大きくありません )。ProTaper Next自体は基本的にディスポーザブル設計 (単回使用推奨)ですが、破折リスクの観点から言えば連続回転ファイルとしては安全性が高い 部類です[26] 。非対称設計で根管壁との過度な接触が避けられるため、トルク負荷やスタックによる破折が起きにくい 構造上の利点もあります[27] [28] 。ただし無理な圧をかければどんなNiTiでも折れるため、使い方次第で寿命は左右 されます。繰り返し使用する場合は微小亀裂の進行に注意し、変色や変形の兆候 があれば即時交換が推奨されます。総合すると、「適切に使えば折れにくく信頼できる品質 」との評価が一般的であり、ProTaperブランドに恥じない耐久性を備えています。
ユーザーの声: 実際にProTaper Nextを使用している歯科医師からは、概ね高い満足度 が報告されています。多く聞かれるのは「根管形成の時間が短縮できた 」「ファイル交換の手間が減り治療が楽になった 」といったポジティブな声です[29] 。X1→X2の2本で完了するケースが多く、手技がシンプルになる点を評価する意見があります。また「曲がった根管にも素直に入っていく 」という追従性の高さや、「毎回新品だから切れ味が良い 」といった使用感の良さも好評です[6] 。一方で、ユーザー間の比較では他製品との好みの差 も語られています。例えば、ある歯科医は「WaveOne Goldに切り替えたら根管治療が嫌いになった。Protaper Nextの方が勝手にアペックスまで引き込んでくれて楽だったのに、WOGだと押し込まないと進まないし曲がりでレッジになりやすい」といった趣旨の感想を述べています[4] 。逆に「Protaper系は食い込みが強すぎて怖い 、WaveOne Goldの方がコントロールしやすい」と感じるユーザーもおり[17] 、切削感の好み は分かれるようです。価格面では「WaveOne Goldは高価でコロナル部がアグレッシブ すぎるので、今はProtaper Nextに切り替えた」という声もありました[30] 。総じて、Protaper Nextは「信頼できるオールラウンダー」 との評価が多く、初心者でも習得しやすい一方で経験豊富な術者にも応える性能 を備えている点が支持されています[28] 。ユーザーの口コミからも、そのバランスの良さ と高いパフォーマンス が伺えます。
類似製品との比較と差別化ポイント
WaveOne Goldとの比較 WaveOne Gold (以下WOG)は同じDentsply Sirona社から提供されるレシプロ(反復回転)型の単一ファイルシステム です。ProTaper Nextとの最大の違いは、動作モードと使用ファイル本数 にあります[31] 。WOGは専用モーターでレシプロケーティング運動 (正逆交互回転)を行い、通常1本(Primaryファイル) で根管全長の形成を完了するコンセプトです[31] 。一方PTNは連続回転運動 で複数ファイル を順次使用するシステムです[31] 。
切削性能と安全性: 一般に、PTNは連続回転ゆえの高い切削効率 を持ち、素早く根尖長まで到達 しやすい傾向があります[15] [28] 。対してWOGはレシプロ運動によりファイルへの負荷を分散 するため折れにくく安全ですが、その代償として切削効率がややマイルド (進みが遅い)と指摘されます[15] 。実際、あるユーザーは「WaveOne Goldは形成効率が低いが破折は少ない。強く押し込む必要を感じたら止めるべきだ」というアドバイスを述べています[32] 。また、WOGは先端テーパーが約7%と大きめ で、根管の口径によっては「コロナル(三分割の上部)で剛性感が高く、歯質削除量が多い 」と懸念する声もあります[30] 。PTNは可変テーパー設計ですが基本は#25で6%テーパー程度であり、形成形態は従来型に近い です。
使用感: WOGはシングルファイルで手順が簡便 なため習熟は容易で、「一本で完結する手軽さ」 が魅力です。対するPTNは2~数本のステップ が必要ですが、その分各段階での制御性が高い とも言えます。実際、PTNユーザーには「WaveOneは押し込みが必要でレッジを作りやすい」としてPTNの自動進行性を好む 声がある一方[4] 、WOG支持者からは「Protaper系は引き込まれすぎて怖い、WaveOneの方が少しずつペックしながら進めるので安心だ」との意見もあります[33] 。また、WOGはGold-wire合金 による柔軟性で湾曲追従性が高く(初代WaveOneより改良)、ある程度の事前カーブ付与も可能 です。一方PTNのM-wireも十分柔軟ですが物理的に曲げて形を付けること(プリカーブ)はできません 。この違いから、強湾曲への対応ではWOGが有利な場面もあります。
機器・コスト: WOG使用にはレシプロ対応の専用モード/モーター が必要であり、既存モーターにその機能が無ければ導入コストが増えます。PTNは汎用のロータリーモーターで使用可能です。コスト面では、WOGも基本は1本1症例使い捨て であり、ファイル自体の価格帯もPTNと同程度です。システム全体 で見ると、グライドパス用のProGlider併用や本数の違いはあるものの、大きな費用差はありません。
総合的な差別化:「シンプルさと安全性のWOG」 に対し、「切削効率と多用途性のPTN」 という対比になります。初心者や根管形態が比較的単純なケースではWOGの方が失敗が少なく習得しやすいかもしれません。一方で、複雑な根管をより迅速に形成したい 場合や連続回転のフィーリングに慣れている 場合、PTNは強力なツールとなります。実際、多くのエンド専門医はいまだ連続回転式(Protaper系含む)を主力 としており、その信頼性を支持しています[28] 。両者は同社製品として補完関係 にあり、症例に応じて使い分けることで診療効率と安全性を両立できるでしょう[34] 。
HyFlex CMとの比較 HyFlex CM (Coltene社)はControlled Memory特性 を持つNiTiロータリーファイルで、その最大の特徴は極めて高い柔軟性と自己調整能 にあります。材料の特殊熱処理により形状記憶効果が抑えられ、手で曲げてプリカーブを付与できる ほど柔軟なため、急カーブ根管への追従性 は市販ファイル中でもトップクラスです[35] [36] 。対するProTaper Nextも柔軟性は高いものの、プリカーブ不可 なため物理的なカーブ追従はHyFlexが優位 といえます。
切削性能: HyFlex CMは柔軟性重視設計のため、切削力や自己進行性は控えめ です。他社比較では、ProTaper系(Universal/Next)の方が切削効率や根管拡大能力が高い と報告されています[37] 。つまり、歯質除去量はPTNの方が多く短時間で拡大 できますが、そのぶん保存的形成(ミニマルな拡大) を求める場合はHyFlexの方が適しています。また、HyFlexは連続回転用 である点はPTNと同じですが、Coltene社独自のトルク制御モード(トルク依存型レシプロなど) とも併用可能で、しなやかながらも切削性を補う工夫が可能です。
耐久性・使い捨て運用: HyFlex CMは繰り返し使用が前提 となっており、滅菌オートクレーブ後に元のストレート形状に戻る特性があります(変形したら新品交換の目安)[38] 。そのため、複数症例で1本を使い回す ことも技術的には可能で、結果としてランニングコストを抑えやすい メリットがあります。ただし繰り返し使えば疲労は蓄積するため、使用回数の管理 は必要です。一方PTNは基本的に1症例1回 の使い捨て推奨であり[23] 、常に新品の性能 が得られる代わりに症例当たりコストは増 えます。耐久試験的には、HyFlex CMの耐循環疲労性能はPTNより高い との報告があり[39] 、ファイル自体の折れにくさはHyFlexが勝ります。しかし、PTNも1症例限りで使う限り疲労が蓄積しないため臨床破折は稀で、安全性は確保されています。
システム構成: HyFlex CMは様々なテーパー・サイズのファイルを組み合わせて使うマルチファイルシステム で、場合によっては一本で完了も可能 とされる「OneFile」アプローチもあります[35] [36] 。しかし実際には細径用・中間拡大型など複数本をシークエンスで使用 するのが一般的です。PTNは前述の通り基本2本で完了するシンプルシステムで、手順の明快さがあります。プリカーブの要否 については、強湾曲ではHyFlexの方がスムーズに入る利点がありますが、PTNもオフセンター設計ゆえ2点接触で絡みにくく、実際には十分に湾曲へ入っていける ケースが多いです[6] 。つまり、高度な湾曲・複雑根管にはHyFlexの安心感、平均的な湾曲までならPTNの手軽さ といった棲み分けになります。
総合: 両者を比較すると、「柔軟性と繰り返し使用のHyFlex」 vs 「切削効率と単回使用のPTN」 という対照的な特徴があります。難易度の高い湾曲根管をできるだけ歯質を残して安全に拡大したい 場合にはHyFlex CMが適しています。一方、標準的な根管を効率よく形成し治療時間を短縮したい 場合や、毎回新品の確実な切れ味を求める 場合にはPTNが優れた選択です。臨床現場では、たとえば「細く鋭角なMB根(上顎大臼歯近心頬根)にはHyFlexを使い、それ以外はPTNで素早く形成」といった併用戦略 を取る歯科医もいます。各システムの強みを理解し、症例に合わせて使い分けや併用 を検討すると良いでしょう。
この製品が向いているユーザー像 ProTaper Nextは、その汎用性と扱いやすさ から幅広いユーザー層に適した製品 です。具体的には以下のような歯科医師・医院に向いていると言えます:
一般歯科で根管治療を行う歯科医師: 多くの開業医にとって、様々な根管形態に1つのシステムで対応できるPTNの汎用性は魅力です。基本2本で完結 する手順は分かりやすく、研修医~中堅の先生でも比較的習得しやすい でしょう。「どの症例でもとりあえずPTNで対応できる」というオールマイティさ が、日常臨床における器材選択の悩みを減らしてくれます[16] 。感染対策を重視する一般歯科でも、使い捨て運用で患者ごとの清潔 が保てる点は安心材料です[24] 。
根管治療の効率アップを図りたい医院: 忙しい診療スケジュールの中で、治療時間短縮 やチェアタイム軽減 を求める医院にも適しています。PTNならファイル交換回数が少なく (2~3本程度)[8] 、スムーズに形成できるため1根管あたりの処置時間を短縮 できます[29] 。これは複数根管の大臼歯治療でも顕著で、全体の施術時間短縮による周回効率向上 につながります。他の処置(洗浄や根管充填)に割ける時間も増えるため、トータルの予後向上 にも寄与します[40] 。効率重視の医院にとって、少ない手数で結果を出せる PTNは理想的なツールと言えます。
エンドモーター設備が整ったクリニック: 既に連続回転式のエンドモーター を保有しているクリニックや、マイクロスコープ下で精密根管治療を行っている施設などでは、PTNの性能をフルに活かしやすいでしょう。Dentsply Sirona製のモーターならプリセット設定 もあり導入がスムーズですし[20] 、他社モーターでも汎用モードで使用可能です。逆に、レシプロ専用モーターしか無い 場合はPTN導入のために機材追加が必要になりますので、既存設備との相性を考慮するとロータリーファイル環境がある医院 に向いています。
根管治療の感染管理を重視する医院: 患者ごとに新品を使い捨てる運用が前提のため、他の患者との交叉感染リスクを排除 できます[41] 。滅菌・洗浄プロトコルの煩雑さも無く、スタッフの負担軽減やミス防止にもつながります。特に院内感染対策に敏感な昨今では、ディスポーザブル器材で安心感を提供したい医院 に適したシステムと言えるでしょう。
ある程度NiTiファイル使用経験のある術者: 完全なNiTi初心者でも使えないことはありませんが、基本的な根管治療手技(グライドパス確保やトルクコントロール)の理解がある術者 の方がメリットを活かせます。PTNの高い切削力は魅力ですが、その分繊細なタッチ も要求されます。経験豊富な術者であれば、「切れるNiTi 」を使いこなして思い通りの形態に短時間で誘導できるでしょう。一方、初心者であれば事前練習や講習 を受けた上で導入すれば、安全かつ早期にスキル習得できるはずです。
要約すれば、「日常の根管治療を効率化したい全ての歯科医院」 が導入候補と言えます。特に標準的な症例が多い医院 や滅菌管理を徹底したい医院 、そして根管形成に時間をかけられない医院 には、ProTaper Nextは強い味方となるでしょう。
導入時の注意点 導入にあたっては、以下のポイントに注意し準備することが重要です:
前提知識・トレーニング:NiTiファイル全般の取り扱い に関する知識と技術を身につけておくことが必要です。具体的には、グライドパスの確保 (少なくとも#15程度の手用ファイル通過)や、モーターのトルク&回転数設定 、ファイル破折の兆候の見極め などを理解しておきます。メーカーの提供する取扱説明書や講習資料では、「ProTaper Nextファイルは、再現性のある滑沢なグライドパスが確保された根管内で使用すること 」が推奨されています[42] 。使用前に模型や抜去歯で練習を行い 、ファイルの挙動(自己進行性やブラッシング動作など)に習熟してから本臨床に臨むと安全です。また、根尖までの適切な作業長測定 と豊富な洗浄 も成功には不可欠なので、導入前に根管治療全般のプロトコルを再確認しておきましょう。
導入コスト: 機材面では、対応するエンドモーターの有無 を確認します。既に市販の歯内療法用エンドモーター(低速ハンドピース+トルクコントローラ)があれば新規購入は不要ですが、無い場合は専用モーターの購入 が必要です。ただしPTNは特殊な機能を要さず汎用的な連続回転モーターで使えるため、例えば<strong>日本国内で普及しているモリタ社やNSK社のモーターでも利用可能</strong>です。費用的には、ファイル本体の価格以外に初回在庫 として各サイズ数パックずつ揃えるコストが発生します。1サイズあたり数万円程度の初期投資となりますが、セット購入割引やキャンペーンを利用できる場合もあります[43] 。また、使い捨て前提のため継続的なファイル補充費用 も見込んでおく必要があります。患者一人あたり数千円のファイルコストがかかる計算なので、保険診療で使う場合は医院の収支バランス を考慮し、必要なら自費治療への移行や別途コスト回収策(例えば根管治療加算)を検討します。総じて、導入・維持コストは適切に管理 すれば大きな負担にはなりませんが、術式全体の中でどう組み込むかを計画しておくことが大切です。
運用条件・注意事項: 運用に際しては、メーカー推奨の使用条件 を守ることが安全に繋がります。ProTaper Nextでは回転数300rpm前後 、ファイルごとの最大トルク値 (例: X1で2.0N·cm程度、X2で2.5N·cm程度など)が設定されていますので、エンドモーターで正確にプログラムします[19] 。連続回転専用 でありレシプロモードでは使用不可 なのでモード設定ミスに注意してください[17] 。実際、WaveOne Gold用モードのままPTNを使用しようとしてうまく切削できなかった例も報告されています(当然ながら通常回転以外では切削できない設計 )[17] 。また、ファイルの滅菌再利用は原則しない ことが望ましいです[23] 。万一再使用する場合も1~2回まで に留め、肉眼でのファイル状態チェック (先端のカケやねじれ、巻き込みクラックが無いか)を厳重に行います。根管の複雑さに応じて無理をしない ことも重要です。たとえば強い湾曲で進まない時は無理に押し込まず、一旦ファイルを抜いて手用ファイルで再疎通・リキャピチュレーション してから再度挿入することでファイルへの過負荷を避けられます[44] 。術中はこまめな灌漑とデブリ除去 を行い、ファイルがジャミングしないように心掛けます。加えて、根管ごとに適切な終点サイズを見極める ことも肝要です。無闇にX3・X4と拡大しすぎると歯質を失いすぎる可能性があるため、症例に応じて必要十分なサイズで止める判断 も必要でしょう。最後に、スタッフ教育 も忘れずに行いましょう。アシスタントが器具準備・廃棄を適切に行えるようトレーニングし、破折ファイルの緊急対処法などもチームで共有しておくと安心です。
以上を踏まえて準備・運用すれば、ProTaper Nextは強力な武器となります。基本を守りつつ適切に活用することで、安全かつ効率的な根管形成が実現できる でしょう。
[18] プロテーパー・ネクスト − 製品情報|OralStudio オーラルスタジオ
[25] [39] A comparative investigation between ProTaper Next, Hyflex CM ...
[30] Endodontists and general dentists on here. What system do you use (rotarty and obturation). : r/Dentistry
[31] WaveOne Gold エンドファイルシステム | デンツプライシロナ 日本
[37] Analysis of cutting capacity and apical deviation occurrence after ...
[38] Effect of Repeated Simulated Clinical Use and Sterilization on the ...
[42] [PDF] Dentsply Sirona Endo Procedure