TruNatomy
TruNatomy デンツプライシロナ株式会社
評価なし
製品概要(用途・特徴・製品構成・臨床シーン) TruNatomy(トゥルーナトミー) は、デンツプライシロナ社 が2020年に発売した最新の根管治療用NiTiファイルシステム です[1] 。従来のWaveOne GoldやProTaper Next/Goldといったシステムの長所を融合させ、歯の解剖学的形態を重視した最小侵襲(MI:Minimal Intervention)の根管形成 を実現するよう設計されています[2] 。根管内の感染組織除去に必要な範囲だけを削り、不要な切削をしない ことで歯質を可能な限り温存し、治療後の歯の強度・寿命を維持することがコンセプトです[2] [3] 。TruNatomyシステムには (オリフィスモディファイヤ、グライドパスファイル、シェーピングファイル各種)に加え、 といった根管洗浄・充填器材が含まれており、 するトータルソリューションになっています 。臨床的には (単根管から複雑湾曲根管まで)に使用可能で、特に などで威力を発揮します 。開発には歯内療法の専門医であるOve Peters博士やGeorge Bruder博士らが参画し、「できるだけ多くの象牙質を残したい」という臨床ニーズに応えて生まれた製品です 。
回転根管治療用のニッケルチタン製ファイル
専用の洗浄用ニードル(根管洗浄針)やペーパーポイント、ガッタパーチャポイント
根管形成~洗浄~充填の全工程をシームレスにサポート
あらゆる根管治療症例
湾曲が強い根管、石灰化した細い根管、開口部へのアクセスが困難な臼歯部の根管
TruNatomyファイルのラインナップ は大きく3工程に分かれます[11] 。まず根管入口拡大用のオリフィスモディファイヤ (Orifice Modifier)は、先端サイズ20、テーパー.08 の器具で長さ16mmと短く設計されており、歯冠部構造をあまり削らずに根管口を拡大 するために用います[12] [13] 。柔軟性と径の小ささ(直径0.8mm)によりコロナル部の形態を維持しつつ、根管入口へのスムーズなアクセスを可能にします[14] [15] 。次に、グライドパス形成用ファイル (TruNatomy Glider)は先端サイズ17、テーパー.02 相当で、ステンレス#10の手用Kファイルで根管の初期ネゴシエーションを行った後に使用します[16] [17] 。このTruNatomyグライダー により、手用ファイルから本格的な根管形成用ファイルへの移行を滑らかにし、再現性の高いグライドパス を確保します[16] [18] 。そして主役となるシェーピングファイル(根管形成用ファイル) は、Small(スモール) ・Prime(プライム) ・Medium(ミディアム) の3種類の先端サイズ・テーパーバリエーションがあり、それぞれ21mm、25mm、31mm の長さが用意されています[19] [20] 。標準的な症例では先端サイズ26(テーパー4%変化)のPrimeファイル 1本で根管全長の拡大形成が完了し、より細い根管では先端サイズ20(.04v)のSmall 、より太い根管では先端サイズ36(.03v)のMedium を選択することで、必要に応じて過不足ない拡大径に調整 できます[21] [22] 。なおTruNatomyファイルはいずれも熱処理済みの金色NiTiワイヤー製で、500rpmの高速回転・低トルク(1.5Ncm) で使用するよう推奨されています[23] 。この高速・低トルクセッティングにより切削効率が高まり、NiTiファイル特有の捻れ破折のリスクを最小限に抑える ことができます[24] 。
評価軸に基づくレビュー
操作性 操作性の面では、TruNatomyは非常に扱いやすくスムーズな切削フィーリング が得られると評価されています。実際に使用した歯科医からは「根管形成中の感触がなめらかで、器具が根管内で働く様子がとても良い 」との声が聞かれます[25] 。メーカーのFAQによれば、本システムは最新の熱処理技術によりNiTiファイルの柔軟性と耐疲労性が飛躍的に向上 しており、その結果「操作時に滑らかな触感 」が得られるとされています[26] 。ファイルの中心軸をずらした独自のオフセンター断面形状も寄与し、削りカスの排出がスムーズなためデブリで目詰まりしにくく、抵抗感の少ない操作 が可能です[27] 。さらに回転スピード500rpmという高回転 で切削できるため切れ味が良く、ブラッシングモーション(側方圧をかけて削る動作)が不要 な点も操作が簡便な理由です[28] 。臼歯遠心部などアクセスが難しい部位でも、TruNatomyファイルは業界最短クラスの9.5mmショートハンドル を採用しており、コントラアングルとの組み合わせで指先のスペースに余裕が生まれます[29] [8] 。加えてNiTiワイヤー自体が極めて柔軟なので使用前に手で予め湾曲(プレカーブ)をつけることも可能 であり、直線的な挿入経路が確保できないケースでも根管の方向に合わせてファイルを挿入できます[30] [31] 。以上の特長から、「狭小・湾曲根管でもファイルが根管の中心に沿って進み、形態を乱さずスムーズに操作できる 」との評価が得られています[32] 。実際、多くの場合でOrifice Modifier→Glider→Primeシェーピングファイル という3本の器具交換だけで根管形成が完了 するため(通常、追加のSmallやMediumはケースによって必要な場合のみ使用)、ステップが少なくシンプル であることもオペレーションの効率性に繋がっています[33] [34] 。総じてTruNatomyは扱いやすさと確実性を両立したシステム であり、術者のストレスや患者の負担も軽減するとの声が聞かれます(切削効率の向上による処置時間の短縮が患者の快適性向上につながる[26] )。
症例適応 症例適応の広さ という観点でも、TruNatomyは非常に汎用性の高いシステムです。メーカーは「様々な歯内療法症例に使用でき、特に高度な精度・コントロールが要求される複雑症例にも対応可能 」と謳っており[6] 、ユーザーからの報告でも簡単な症例から極めて複雑な症例まで日々の臨床をフォローできる との評価があります[35] 。具体的には、細く湾曲した難症例であってもTruNatomyファイルの高い柔軟性とスリムなワイヤーデザイン が威力を発揮し、強いカーブや石灰化した根管にも追従可能 だとされています[36] 。実際の研究においても、TruNatomyシステムは根管偏位(輸送)の少ない整形が可能で薄い根管壁を残す歯質保存効果が高い ことが示されています[37] 。ラインナップ上もSmall・Prime・Mediumという3種類のシェーピングファイルが用意されているため、根管の太さや形態に応じて適切なサイズを選択できる柔軟性 があります[22] 。例えば若年者で根管が太い場合 にはMedium(先端#36)まで拡大して十分な洗浄スペースを確保し、逆に狭窄や強湾曲でPrime(#26)では大きすぎる場合 にはSmall(#20)で根尖まで到達するといった使い分けが可能です[21] 。このように必要最小限の切削で目標とする形成が行えるため、症例ごとに“削り過ぎ”にも”拡大不足”にもならない 柔軟な対応力があります。特に矯正治療歴などで根管が細く脆弱な歯や、根尖付近がS字カーブ状の難航下カナル でも、安全に拡大・清掃できる点がTruNatomyの大きな強みです[36] 。ただし、極端に広大な根管(例:加齢変化の少ない若年者大臼歯など)でより太い#40以上の仕上げが必要なケース では、TruNatomyの最大径(#36)では物足りない場合もあります。そのようなケースではProTaper Ultimateのような他システムの太径ファイルを併用 したり、追加の拡大が必要になる点は留意が必要でしょう。しかし総じて、TruNatomyは日常臨床で遭遇するほぼ全てのケースをカバーできる汎用性 を備えており、特に複雑で高難度な根管治療において本領を発揮する システムと言えます[38] [36] 。
連携性 連携性(ワークフローの統合や他機器との適合性) の点でも、TruNatomyは優れた設計がなされています。まず製品構成として前述の通り根管形成~洗浄~充填まで一貫した専用ツールが揃っている ため、異なるメーカーの器材を組み合わせる必要がなくスムーズに治療工程を進められます[5] 。例えば、TruNatomyシェーピングファイルで形成した根管形態にフィットする専用の可変テーパーガッタパーチャポイント (Conform Fit™ GP)やペーパーポイントが用意されており、カラーコードもファイルと一致しているためサイズ選択やマッチングが容易 です[39] [40] 。また、根管洗浄に用いるTruNatomy洗浄針 は柔軟性に富むポリプロピレン製で先端側面に2つの排出孔を持つ特殊デザインとなっており、湾曲根管の深部まで挿入して洗浄液を均等に行き渡らせる ことができます[41] 。このように各工程に最適化された器材が相互に連携することで、根管形成から充填までシームレスなワークフロー が実現されています[5] 。さらに、TruNatomyシステムは他の補助機器との組み合わせ にも柔軟です。例えば洗浄工程では超音波や音波による洗浄液攪拌器具(SmartLite Pro EndoActivatorなど) との併用が推奨されており、実際メーカーもTruNatomy洗浄針とEndoActivatorを組み合わせた洗浄プロトコルを提案しています[42] 。充填工程でも、付属のCFガッタパーチャポイントを用いたシングルコーン充填はもちろん、ガッタコア(Thermafil系のキャリア付き加熱ガッタパーチャ) による温熱垂直加圧充填にも対応可能で、一回のインサートで容易に高密度充填が行えるとされています[43] 。このようにユーザーの好みや治療スタイルに応じて多様な器具と連携できる柔軟さ を持ちながら、トータルでは一貫性のあるシステム として統合されている点がTruNatomyの大きな強みです。エンド用モーターとの適合性についても、TruNatomyは一般的な回転式エンドモーターで使用可能 であり(推奨設定500rpm/1.5Ncm)、特にデンツプライシロナ社のX-Smart PlusやX-Smart IQなどではプリセットプログラムが用意されているため即座に使用を開始できます[44] 。実際、TruNatomy導入キットとしてX-Smart IQモーターとファイルのセット販売も行われており、システム全体での円滑な導入を支援 する体制が整っています。総じてTruNatomyは自社内製品や他機器との親和性が高く、臨床ワークフローへスムーズに組み込める連携性 を備えていると言えるでしょう。
価格帯・コスト 価格・コスト面 では、TruNatomyは高機能な最新システムらしく比較的高価な部類 に属します。ただし製品寿命や治療効率を考慮すると妥当なレンジ とも言えます。日本国内での定価(税込)は、例えばTruNatomyシェーピングファイル(Small/Prime/Medium各サイズ) が3本入り1パックで7,100円 、根管口拡大用のオリフィスモディファイヤ(16mm) も3本で7,100円 、グライダー も3本7,100円 と設定されています[45] 。また基本セット(シークエンス) としてOrifice Modifier+Glider+Primeを1本ずつ組み合わせた3本パックも7,100円で提供されており[46] 、1症例あたりこのセット1パックで治療を完結できれば症例コストは実質7千円程度 になります。実際の臨床では難易度によってSmallやMediumを追加使用したり、ファイルを破損リスク低減のため症例ごとに新品交換する 可能性もあるため、一概に1症例あたりのコストを断言はできませんが、平均して数千円台後半~1万円弱 の範囲に収まることが多いでしょう。これは他社の高品質NiTiロータリーファイル(WaveOne GoldやProTaperシリーズ等)と概ね同水準であり、著しく高額というわけではありません 。むしろTruNatomyは1症例で使用する本数が抑えられる (通常3本程度)ため、例えば従来のProTaper Universalで6本使っていたケースと比べると総コストはトントンかむしろ安くなる場合もある と考えられます。消耗品である洗浄針(25本入り程度で7,700円) やペーパーポイント(約100本入で4,600円) 、ガッタパーチャポイント(60本程度で3,900円) も別途必要ですが[47] 、これらは一般的な価格帯と言えます。総合的に見れば、TruNatomyは高度な技術と臨床メリットに見合った適正価格 であり、術者のコスト投資に見合う価値を十分提供する システムだと評価できます。もちろん1本あたり単価 でみれば安価なステンレスハンドファイル等と比べ高額ですが、治療の品質向上 や時短による医院経済への貢献 (回転率向上)を考え合わせれば納得できる範囲でしょう。
品質・耐久性 ファイルの品質と耐久性 に関して、TruNatomyは最新世代の熱処理NiTiファイル らしく非常に高い水準にあります。材質には弾性と靭性に優れたゴールドワイヤーNiTiが用いられ、独自の熱処理プロセスにより弊社従来品(例えばProTaper Nextなど)に比べ最大で柔軟性3倍・耐疲労性4倍 という飛躍的な性能向上が実現したと報告されています[48] 。これはつまり、屈曲疲労によるファイル破折のリスクが著しく低減 したことを意味し、臨床でも「TruNatomyにしてからファイルの破損不安がかなり減った 」という声が聞かれます。また高い柔軟性は根管内での偏心削り(輸送)やステップ形成を起こしにくい ことにも繋がり、実験でもTruNatomyは対照のProTaper Goldより中間部での根管偏位が小さく中心化能力が高かったと報告されています[49] [50] 。一方で、ファイル自体の切削性能も優れており、0.8mmというスリムなワイヤー径ながら効率よく切削できる刃部設計(オフセット断面・リグレッシブテーパー)によって無駄な力をかけずとも短時間で所定の拡大が可能 です[51] [52] 。これにより術者が強い荷重をかけてファイルを押し込む必要がなく、過度な応力がファイルや象牙質に加わりにくい ため、歯根破折やマイクロクラックの誘発を抑制 できると考えられます[37] 。実際、「TruNatomyで形成した歯は削り過ぎによる弱体化が少なく、根管治療後の歯の破折抵抗性が高い 」との研究結果も示されています[49] 。象牙質の温存量が多いほど修復後の歯は長持ちすることが知られており[7] 、TruNatomyはまさに歯の構造を最大限残すことで治療後の歯の寿命を延ばす という品質目標に合致したシステムと言えるでしょう。なお耐久性という観点では、「ファイルの繰り返し使用にどれほど耐えるか」も気になるところですが、メーカーは基本的に1症例ごとのディスポーザブル使用 を推奨しています[3] (高い耐久性により複数根管に用いても折れにくいですが、感染や金属疲労リスクを考慮すると使い捨てが望ましい)。しかし実際には、TruNatomyの高い耐疲労性ゆえに複数症例での再利用にも耐える との報告もあり、各術者のリスク判断である程度リユースしてコスト効率を上げているケースもあるようです。総じてTruNatomyの品質・耐久性は申し分なく、信頼して使用できる高品質な器具 であると評価できます。その安全性・柔軟性から「TruNatomyは従来よりも安全でシンプル、スピーディかつ効果的 だ」[53] とのユーザーテストも得られており、安心感のあるシステムです。
ユーザーの声 ユーザーからの評価や声 としては、TruNatomy使用経験者の多くがその歯質保存性と操作性 を高く評価しています。実際の臨床家のコメントをいくつか紹介すると、例えば「TruNatomyは保守的で柔軟な根管形成システムだ。もしもっとテーパーの大きな器具を使っていたら歯を弱くしていただろう 」とか「形成後の根管は滑らかで、このファイルの動き方がとても気に入っている 」といった声が挙げられています[25] 。また別のユーザーからは「TruNatomyは歯を削りすぎずに深部まで洗浄できる 」「解剖学的形態を尊重しつつ洗浄能力を損なわない 」といった点が称賛されています[54] [55] 。実際、細い根や複雑湾曲にも追従できるため「TruNatomyは薄い根(細い根管)に理想的な保守的アプローチを提供する 」との声もあり[56] 、小児や若年者の歯のように可能な限り歯質を残したいケースで選択する術者もいるようです[57] 。操作性に関しても「直感的で習得しやすく、スムーズに使える 」との評価が多く、切削時間の短縮や破折リスク低減による患者メリットも指摘されています[26] [53] 。総合的には、「TruNatomyを使うと今まで以上に安心して根管治療が行える 」とか「歯の長期保存に自信が持てる 」といったポジティブなフィードバックが大半を占めています。一部には「最終的な拡大径が小さいので本当に充分に洗浄・充填できているのか不安だったが、実際は問題なくうまくいった」といった声もあり、従来の常識を覆す細径コンセプトに最初は戸惑いつつも使ってみると良さが実感できる というケースもあるようです。ユーザーの声を総合すると、TruNatomyは「歯に優しいけれどしっかり治せる」画期的なシステム として概ね高い満足度を得ているといえるでしょう。
類似製品との比較と差別化ポイント 現在市販されている根管治療用ファイルシステムの中で、TruNatomyとしばしば比較されるものにWaveOne Gold (デンツプライシロナ)やProTaper Ultimate (同社)、その他例えばMaillefer社系のProTaperシリーズやサードパーティ製の類似NiTiファイルがあります。それら競合製品との比較とTruNatomyの差別化ポイント について整理します。
WaveOne Gold(ウェーブワンゴールド) : WaveOne Goldはシングルファイルでの根管形成 をコンセプトとした製品で、レシプロ(反復左右回転)運動により1本のNiTiファイルだけで根管全長を形成できる手軽さが特長です。特にエンド治療初心者や一般開業医でも扱いやすいシンプルさ を重視したシステムで、ほとんどのケースはPrimaryファイル(#25/.07テーパー)1本で形成が完結 します[58] 。WaveOne GoldもTruNatomyと同じくゴールドワイヤーNiTi製で柔軟性・耐久性に優れ、切削効率も高いファイルですが、テーパー(太さの傾斜)が大きめ(7%) なため根管全長にわたり比較的多くの象牙質を削る 設計になっています。一方TruNatomyは前述の通り4%前後の細身テーパーと0.8mmのスリム径 で、必要最小限の拡大 に留めるミニマルデザインです[14] [52] 。つまりWaveOne Goldはシンプルさと即効性 (一本で一気に拡大できる)を優先し、TruNatomyは歯質保存と柔軟な追従性 を優先したコンセプトと言えます[59] [60] 。またWaveOne Goldは専用モーターでのレシプロ運動が必要ですが、TruNatomyは汎用の回転モーターで使える点も差異です。まとめると「初心者でも扱いやすい手軽さ」を取るならWaveOne Gold、「歯への優しさと対応症例の幅広さ」を取るならTruNatomy という棲み分けになります。
ProTaper Ultimate(プロテーパーアルティメット) : ProTaper Ultimateはデンツプライシロナ社の最新世代多本数ファイルシステム で、TruNatomyと同時期に発表されました。滑沢用ファイル・根管形成用ファイル・仕上げ用ファイル と段階的にファイルを使い分ける伝統的なプロテーパー手法を踏襲しつつ、最新の熱処理NiTiや改良設計で高い柔軟性・切削力を両立しています。高度に湾曲した根管や複雑な形態の根管 にも対応できる汎用性が謳われており[61] 、各ファイルが用途ごとに最適化されたプログレッシブなシーケンス(Slider→Shaper→Finisher) で効率良く形成を完了できるようになっています[62] 。ProTaper Ultimateの差別化ポイント は、やはり最終的な拡大形態がしっかり大きい (十分なデブライドメントを行える深い形態)ことにあります[63] 。TruNatomyがあくまで「必要最低限の拡大」に留めるのに対し、ProTaper Ultimateは「可能な限りしっかり拡大して洗浄する 」という思想に近く、術者のテクニック次第ではかなり大きく根管を開けることもできます。これは例えば感染根管の再治療やポスト(土台)を入れるケース などで有利となるでしょう。一方でTruNatomyほどの歯質温存はできないため、歯の残存強度という点ではTruNatomyに一日の長があります[49] 。柔軟性に関してはProTaper Ultimateも改良されているとはいえ、TruNatomyの方がワイヤー径自体が細くオフセット設計 のため、細い湾曲根管での追従性や偏心防止 はTruNatomy有利という報告もあります[50] 。まとめると「あらゆる根管形態に一本で挑む万能選手」 がProTaper Ultimateであり、「歯を極力削らずに安全に治療する繊細な職人肌」 がTruNatomyという対比になります。メーカー自身も「包括的で高度なケースにはProTaper Ultimate、制御された最小侵襲アプローチにはTruNatomy」と位置づけており[61] 、両者は競合と言うより術者の志向に応じた使い分け の関係とされています。
その他の類似製品 : 上記以外にも各社から様々なNiTiロータリーファイルが出ています。たとえばFKG社のXP-endoシリーズ (細径ワイヤーが根管内で拡張しながら削る特殊形状ファイル)や、真っ直ぐな状態から回転でS字に広がるSelf-Adjusting File(SAF) 、EdgeEndo社のEdgeFileシリーズ (他社互換の熱処理NiTi)などが挙げられます。これらと比較してのTruNatomyの特徴は、複雑な可変構造を持たずオーソドックスな回転ファイルでありながら、最新の材料工学とデザインで操作性・柔軟性・歯質温存を高水準で両立している 点にあります[49] 。一部の新奇なファイルシステムは特殊な機材やテクニックを要するのに対し、TruNatomyは従来法に則った形で「次のレベルの安全性と保存性」を提供してくれる ため、移行のハードルが低く実用的です。例えばXP-endoシリーズは極めて柔軟で歯質削除量も少ない反面、形状記憶特性の利用や高回転が必要でテクニックセンシティブですが、TruNatomyであれば通常の回転モーションで似たような「必要最小限の拡大効果」が得られます[37] 。またTruNatomyはシステム全体で整合性が取れている (専用GPや器具を完備)のに対し、廉価版ファイル等では他社製品と組み合わせが必要になる場合も多く、その点でもTruNatomyは一日の長があります。総合すると、TruNatomyは他システムとの明確な差別化ポイントとして「歯を守る」という思想を全面に出し、それを高次元で実現した点 が評価でき、これが現在市場における独自のポジションと言えます。
この製品が向いているユーザー像 TruNatomyが特に向いているユーザー(歯科医師・医院)像 としては、まず「歯質の保存を最優先に考える」エンド治療志向の歯科医 が挙げられます。MIコンセプトに共感し「削れば削るほど歯は脆くなる」という認識を持っている臨床家にとって、TruNatomyの象牙質温存設計 は大きな魅力でしょう[64] 。例えば保存修復に力を入れている医院 や歯内療法専門医 で、「根管治療後もできるだけ歯を長持ちさせたい」「将来の再治療や修復まで見据えて歯を残したい」というポリシーを持つ先生には最適なツールです。また、マイクロスコープを用いた精密根管治療 を実践しているような医院では、TruNatomyのメリットを最大限活かせます。マイクロ下では従来より小さいアクセスでも視認性を確保 できるため、TruNatomyの保守的なアクセス設計(CEC:Conservative Endodontic Cavity) との相性が抜群です[9] 。実際、「TruNatomyは細い根管や若年者の症例において非常に有用 で、若い患者の歯をできるだけ残すためこのシステムを選択した」との声もあります[57] 。したがって、小児歯科や若年成人の根管治療が多い医院にも向いているでしょう。
同時に、複雑な根管治療ケースを日常的に手掛ける ユーザーにもTruNatomyは向いています。湾曲や分岐の多い根管を扱う際、その高い追従性と破折リスクの低さ は術者の安心材料となります。「TruNatomyのおかげで難しい2根管・3根管の臼歯でも自信を持って治療できる ようになった」という報告もあり[53] [56] 、ベテランの先生が難症例用に併用するケースもあるようです。特に根管治療専門クリニック では、複数のシステムを症例に応じて使い分けることもありますが、TruNatomyは高難度ケース担当の切り札 として重宝されるでしょう。一方で、開業医で根管治療の経験が浅い先生 にとっても、TruNatomyは選択肢になり得ます。WaveOne Goldほどワンステップ完結ではありませんが、基本シーケンスはOrifice Modifier→Glider→Primeの3本のみでシンプルですし、破折しにくい柔軟ファイルなので従来のProTaperのように複数回交換やテクニックが必要なシステムよりむしろ安心 との声もあります[65] [53] 。加えてTruNatomyはデンタルユニットや器具への大掛かりな投資が不要 (汎用エンドモーターで使用可)なので、これからハイエンドな根管治療に取り組みたい一般歯科医院 にも導入しやすいと言えます。
まとめると、TruNatomyが向いているのは 「歯の構造を最大限残しつつ、安全かつ確実な根管治療を行いたい 」と考える歯科医師 であり、具体的にはMIコンセプト重視の医院 、マイクロスコープ等を活用した精密治療志向の医院 、難症例を多く扱う歯内療法専門医 、さらには根管治療の質を向上させたい一般開業医 まで幅広く該当します。患者目線では、治療後の歯の寿命や強度を気にする方、高齢で歯を長持ちさせたい方などに適した治療を提供できるという利点もあり、そうした患者層を抱える医院にもマッチするでしょう。
導入時の注意点(前提知識、導入コスト、運用条件など) TruNatomyを導入する際の注意点や必要事項 について、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
まず前提知識・トレーニング の面では、TruNatomy自体は「直感的で習得しやすいエンドodonticソリューション」であるとメーカーも謳っており[66] 、基本的な使用方法は従来のロータリーファイルに準じています。しかし、最大限の効果と安全性を得るためには適切なテクニック を身につけることが重要です。例えばステンレス製ハンドKファイルによる初期のグライドパス形成(#10のネゴシエーション) は従来通り必須ですし、TruNatomyファイルの使用時にはブラッシングせずに軽いペッキングモーションのみで進める といった推奨手技があります[67] 。またファイル先端を強く押し込まない 、切削中はこまめに引き抜いて洗浄液でフラッシングする など一般的なNiTiファイルの基本も遵守する必要があります。これらのポイントを踏まえ、メーカーは短期間で習得可能とは言いつつ、TruNatomyを効率的に使いこなすため専門的トレーニングの受講を推奨 しています[68] 。実際、デンツプライシロナ社はオンライン動画や実習コースなど様々な研修プログラムを提供しており、導入にあたってはそうしたリソースを活用するのが望ましい でしょう[68] 。特に根管形成のMIコンセプト(CEC=保守的アクセス)について理解を深め、従来より小さいアクセスでも適切に根管治療を完遂できる という自信を持つことが重要です[9] 。場合によっては導入前にエンド専門医の意見を聞いたり、抜去歯でシステムをテストして感覚を掴むのも良いでしょう。
次に導入コスト・運用条件 の面では、基本的にTruNatomyは専用エンジン等の大掛かりな機械は不要 で、既存のエンドモーター(回転数とトルクを指定できるもの)があれば追加ハードは不要です。推奨条件の500rpm / 1.5N·cm に対応するエンドモーターであればそのまま使用できます[24] 。近年市販の多くのエンドモーター(X-Smartシリーズや他社モーター)でこの範囲はカバーされていますが、もし旧型で速度設定が300rpm固定などの機種をお使いの場合は、モーターの買い替え を検討する必要があります。幸いデンツプライシロナ社からX-Smart IQ TruNatomyスターターキット (モーターとTruNatomyファイルセットのパッケージ)も発売されています[69] [70] ので、新規導入の場合はこれを利用するとスムーズでしょう。運用上はファイル等の消耗品コスト を見込む必要がありますが、前述した価格帯から1症例あたりの費用を試算し、保険診療/自費診療における収支バランスを検討しておくことが大切です。保険診療での根管治療 にTruNatomyを使う場合、術者の持ち出しコストがある程度発生する可能性もありますが、治療時間短縮や成功率向上による間接的メリットと天秤にかけて判断すると良いでしょう(自費の精密根管治療であればコスト転嫁もしやすく問題ありません)。また専用の紙ポイント・ガッタポイントや洗浄針 も同時に在庫しておく必要があります[47] 。特にTruNatomyのGPポイントは可変テーパー仕様 でファイル形成形態に一致するよう作られているため、可能な限り純正ポイントを使用 するのが望ましいです。他の規格のGPポイントを流用するとフィット感が異なったり根尖部のタッグバック(引き抜き抵抗)に影響する恐れがあるため、導入時にはポイント類も十分に揃えておくべきです[39] 。
運用上の留意点としては、感染対策と使い回しの判断 があります。TruNatomyファイルは基本ディスポーザブル推奨とはいえ高価なため、院内感染防止策を徹底した上でオートクレーブ滅菌しての再使用 を検討する医院もあるでしょう。その場合でも、各ファイルの使用回数を管理 し(例:症例2本目で交換などルール化)、過度な再利用による破折リスク を避けることが重要です。また、破折ファイル除去 に関する備えも一応考えておきます。TruNatomyは折れにくいとはいえゼロではないため、万一根管内で破折した際のリトリーバーや超音波チップ等の用意、あるいは専門医紹介フローを整えておくと安心です。さらに、臨床フローへの定着 にも注意が必要です。スタッフにもTruNatomy導入の意図や扱いを周知し、アシスタントワーク(ファイルの順番管理や洗浄、使い捨て品の準備など)を円滑にすることで、せっかくの効率向上効果を最大限に発揮できます。特に術者が複数いる医院では、院内で使用プロトコルを統一 し、誰が使っても同じ手順で安全に使えるよう教育することが望ましいでしょう。
最後に、患者説明や治療計画への組み込み についても一言触れておきます。TruNatomyを導入した際は、そのメリット(歯を多く残せる・成功率が上がる・痛みや不快感が減る可能性がある等) を患者さんにも分かりやすく説明すると良いでしょう。例えば「当院では最新の器具でできるだけ歯を削らない根管治療を行っています」といったPRは、患者さんの安心感や医院の信頼性向上につながります。実際、TruNatomyで治療を受けた患者は術後の経過が良好で「痛みが少なかった」「歯を抜かずに済んで良かった」といった感想を述べるケースもあるようです。そのようなポジティブな結果をフィードバックしながら運用することで、導入効果を医院全体で実感できるでしょう。
以上のように、TruNatomy導入に際してはいくつか留意点がありますが、適切な知識と準備をもって運用すればその恩恵は非常に大きい システムです。最新の根管治療技術を取り入れることで得られる臨床成績の向上や患者満足度の向上は、必ずや医院の価値につながるはずです。TruNatomyの特長を正しく理解し、ぜひ日々の臨床に役立てていただきたいと思います。
[1][72] TruNatomy − 製品情報|OralStudio オーラルスタジオ
[24] [PDF] TruNatomy | Scientific Manual - Dentsply Sirona
[37] Comparative Evaluation of TruNatomy, XP Endoshaper and Hand K ...
[44] Comparison of postoperative pain after instrumentation with ...
[49] [50] Comparative evaluation of shaping ability of trunatomy and protaper gold files in curved canals using cone?beam computed tomography: An invitro study - IP Indian J Conserv Endod
[69] Dentsply TruNatomy Sequence Pack For Endo 21mm/25mm ... - eBay
[70] [PDF] TruNatomy™ - True, Natural, Anatomy