松風レジン臼歯
1. 製品概要(用途・特徴・製品種別・臨床シーン) 製品概要: 松風「レジン臼歯」は義歯用の人工歯で、アクリル系レジン製の人工臼歯 です。解剖学的形態(バイオ形態)をベースとし、咬頭傾斜角33° のいわゆる解剖学的臼歯として設計されています[1] 。この適度な咬合斜面角度により、総義歯や部分床義歯 といった可撤式補綴物の人工歯として広く用いられます[2] 。製品種別としては、保険適用される硬質レジン歯の一種であり、審美性と機能性を備えつつ経済的な人工歯に分類されます。上顎・下顎それぞれ短種S28・S30・S32、中種M28・M30・M32 の形態バリエーションがあり、口径(歯の大きさ)に合わせ選択可能です[3] 。色調はA1、A2、A3、B2 などVITA系の標準色から、国内規格の4、55、56、58 といった計8色が用意されており、患者の残存歯や希望する歯色に合わせやすくなっています[4] 。包装は1組8歯(臼歯上下左右ペア)単位で提供され、1箱に16組(128歯)入りという構成です[5] 。
特徴と臨床シーン: 松風レジン臼歯は「排列しやすい形態 」であることが大きな特徴です[1] 。義歯製作時に人工歯を並べやすいよう、歯根部(人工歯の歯茎に埋まる部分)の形状や大きさが工夫され、咬合面の形態も過度に複雑すぎず調整しやすいデザインとなっています。また解剖学的形態 に基づく咬合面が付与されているため、天然臼歯に近い咀嚼効率や見た目の自然さが得られます。主な用途は総義歯(フルデンチャー) や部分床義歯 で、保険診療の義歯にも広く使われる標準的な人工歯です[2] 。臨床シーンとしては、高齢者の総入れ歯から欠損部のみを補う部分入れ歯、さらにはインプラントオーバーデンチャー(インプラント支台装置付き義歯)まで、幅広い症例で咀嚼機能回復のための歯冠部素材 として使用されています。
2. 評価軸レビュー 操作性(研磨や排列のしやすさ、咬合調整のしやすさ) 排列の容易さ: 松風レジン臼歯は排列作業がしやすいよう配慮された形態です[1] 。義歯の人工歯排列では、人工歯底部の余分なワックスを除去したり適合を調整したりする手間がありますが、本製品はワックスレス型 とも言われ、歯の底面に予め余計なワックスが付かない設計になっています[6] 。これにより ため、歯科技工士にとって効率的です 。さらに咬合面形態は解剖学的ではありますが過度に細かい溝や高すぎる咬頭を避け、技工士が よう約束されています 。実際、上位製品であるエンデュラポステリオ(松風製硬質レジン臼歯)では「あらかじめ咬合面の削合操作を7割程度施した形態」で製造されており、 とされています 。このコンセプトは松風レジン臼歯にも通じるもので、個々の症例に合わせた微調整(人工歯のわずかな位置・角度変更、咬合高径の調節など)が行いやすいと言えます。
ワックス除去の手間が省け、所定位置へスムーズにセットできる
わずかな調整で目的の咬合接触を得やすい
咬合調整の自由度を残して排列しやすくしている
研磨・調整のしやすさ: レジン製の人工歯であるため、研削・研磨は比較的容易です。天然歯より軟らかいアクリル系樹脂素材のため、咬合調整時に咬頭を削合したり隣接面を調整したりする作業は金属や陶歯よりスムーズに行えます。調整後の研磨も、レジン専用のカーバイドバーやダイヤモンドポイント、研磨剤を用いることで滑沢な表面が再現できます。松風レジン臼歯自体に特別な研磨キットは不要で、一般的な義歯用研磨材で十分仕上げが可能です。操作性に関するユーザーの声として、「均一な品質で耐摩耗性に優れるとともに、配列しやすい 」との評価があり[6] 、日常の技工操作で扱いやすい人工歯と位置付けられています。
症例適応(部分床義歯、全部床義歯、インプラント補綴への応用) 全部床義歯(総義歯): 松風レジン臼歯は保険適用の総義歯で標準的に選択される人工歯です[2] 。適度な33°咬頭傾斜により、バランスドオクルージョン(両側性平衡咬合)の確保に適しています。臼歯部の咬頭が高すぎないため、顎堤の吸収が進んだ高齢者でも比較的安定した咬合を獲得しやすい 利点があります。一方で、顎堤が極度に平坦な症例や咬合平面の制約が大きい症例では、33°でもなお横圧となる可能性があり、その場合は咬頭傾斜角の低い臼歯(例:山八「ナパース」=30°咬頭 or モノプレーン0°臼歯) を用いる選択も考慮されます。松風自身も咬頭嵌合を持たない「エンデュラゼロ臼歯(0°)」などを製品ラインナップしており、症例に応じて使い分けられます。
部分床義歯: 部分入れ歯(局部義歯)でも松風レジン臼歯は有用です。残存歯と人工歯が隣接・対合するケースでは、レジン歯は天然歯エナメル質よりも柔らかいため咬耗してくれる という安全策になります。つまり、対合する天然歯や修復物への摩耗ダメージを減らし、必要に応じ人工歯のみ将来的に交換すれば良いというメリットがあります。部分床義歯では金属クラスプやレストが付く関係で人工歯を削って調整する場面もありますが、松風レジン臼歯であれば調整がしやすく適合も取りやすいです。特にワックスレス構造 により、ろう着時に義歯床用レジンとの境界に余計な異物が少なくなるため、レジン床への化学的接着・機械的結合が良好 で、部分床義歯でも人工歯脱離が起きにくいと考えられます(※松風レジン臼歯の底部はアクリル樹脂でできており、重合時に床レジンとしっかり一体化します[7] )。なお、遊離端義歯など咬合力が大きくかかる部分義歯では、後述の耐久性の観点も踏まえ、必要に応じてより高耐摩耗タイプの人工歯(硬質レジン歯)を選択することも検討されます。
インプラント補綴: インプラント治療におけるオーバーデンチャー (インプラント支持の義歯)でも、松風レジン臼歯は適用可能です。インプラント支持の義歯は従来の粘膜支持義歯より安定し強い力で咀嚼できるため、人工歯の耐久性が課題になりますが、松風レジン臼歯は標準的なアクリル系人工歯として平均的な耐摩耗性・硬度を持ちます。必要に応じ、耐耗性を高めた硬質レジン歯(例:松風エンデュラやGCサーパスなど)への変更 や、定期的な人工歯の交換を計画しておくことが望ましいです。固定式のインプラント補綴 (All-on-4タイプのハイブリッドブリッジ等)では、強度や審美性の点から硬質レジン歯やコンポジット人工歯が用いられる傾向がありますが、コスト面・修理容易性を重視する場合に松風レジン臼歯相当の歯が用いられるケースもあります。いずれの場合も、インプラント補綴では対合歯との相互摩耗やチッピング に留意し、必要ならば噛み合わせの保護やナイトガードの併用なども検討されます。
連携性(他の技工材料・システムとの互換性、色調適合性など) 他材料との互換性: 松風レジン臼歯は従来型のレジン床用材料と高い互換性を持ちます。人工歯の底部(歯槽突起側)はアクリルレジンでできており、熱硬化型レジンや常温重合レジンなど義歯床用レジンとの化学的結合 が期待できます[7] 。技工士は重合前に人工歯底面をモノマーで湿潤させるなど一般的な操作を行うことで、より強固な接着が得られます。他社製の義歯床用レジンとも素材的に相性は良好で、特別な接着プライマーを必要とせずとも十分な付着強さが確保できます。機械的には、人工歯底面に多少の顎堤形状へのフィットや保持孔・溝が設けられているため、床樹脂の流動・硬化による機械的ロック効果 も発揮されます。なお、山八歯材の「ミリオン」シリーズにはT字型の維持孔が付いたRHタイプ が存在し、床樹脂をしっかり噛み込ませて人工歯脱離を防ぐ工夫もあります[8] 。松風レジン臼歯も基本的な保持形態は備えており、通常使用で支障はありません。
デジタル技工との連携: 現代のデジタルデンチャーシステム(CAD/CAM義歯)において、松風の人工歯ライブラリが利用可能かは検討ポイントです。松風は新世代の人工歯「ベラシアSA」などデジタル対応を進めており、CADソフトexocad用のライブラリも提供されています[9] 。従来型の松風レジン臼歯そのもののデジタルデータは公開情報が限られますが、松風製品として類似形態を持つデジタル対応歯が用意されています。従って、フルデジタル義歯製作時にも松風の解剖学的形態を継承した人工歯 をデータ上で配列し、CAM切削や3Dプリントによる床と組み合わせることが可能です。アナログ手法ではもちろん、デジタルプロセスにおいても他社システムとの互換性・適合性は徐々に高まっています。
色調適合性: 色調に関して、松風レジン臼歯のラインナップは国内需要に合わせた特色も持ちます。8色中A系・B系などの国際標準色以外に「♯56」「♯4」等の表示がある色は、日本の従来人工歯色で、多くの歯科技工士に馴染み深い色味です。例えば♯56はA3〜A3.5に近いやや黄みの強い色調 で、保険義歯でよく使われる標準色です[10] 。このように各メーカーは自社固有の色番を持つことがありますが、概ねVITAシェードガイドに対応した類似色を揃えているため、歯科医師がシェード指示する際も大きな問題はありません。松風レジン臼歯は対合する前歯との調和や隣接天然歯との色合わせも無理なく行える実用的な色調体系 となっています[10] 。他社人工歯との混用は基本推奨されませんが、万一補綴装置内で部分的に他社人工歯と置換する必要が生じた場合でも、近似色を選べば大きな審美的不調和は避けられるでしょう。
価格帯・コスト(市場価格帯、ランニングコスト) 市場価格帯: 松風レジン臼歯は比較的廉価な人工歯 に属します。他社同等品と同じく保険適用の標準レジン歯であるため、診療報酬上の材料価格範囲に収まるよう設定されています。実勢価格の一例では、1箱(128歯=16組)あたり約5,800円前後(税込) で流通しており[11] [12] 、1組(上下8歯)あたりに換算すると約360円程度になります。これは上位クラスの硬質レジン歯と比べ半額以下の水準です。例えば松風の高耐久人工歯「エンデュラ ポステリオ」は1箱96歯(12組)でおよそ10,000円強(ネット価格)と報告されており[13] 、1組あたり800~900円前後になります。山八歯材の「ナパース臼歯」も保険向け製品ですが、1組あたり1,000円超(補充用50歯=約6組で1,870円等[14] [15] )という価格設定が見られ、製品によって若干の差があります。総じて、松風レジン臼歯は低コスト帯 に位置し、歯科医院や技工所にとって導入しやすい価格と言えます。
ランニングコスト: 義歯の人工歯は消耗品でもあります。松風レジン臼歯の場合、その耐摩耗性は後述の通り平均的なので、長期使用に伴う交換頻度 が極端に高くなることはありません。通常の咀嚼環境であれば数年以上問題なく機能します。一方、夜間就寝時も装着する利用者や、ブラキシズム(歯ぎしり)の強い方などでは、1~2年で顕著な咬耗が生じる場合があります。このような際にも、人工歯自体の単価が安価であるため交換コストの負担が低く 、診療側・患者側双方にとって経済的リスクが小さい点は利点です。技工所が在庫を持つ場合も、128歯入りのセット価格が低いため在庫コストを抑えられ 、多色・多形態を取り揃えやすくなっています。また、松風レジン臼歯は国内トップシェア製品で供給も安定しており、必要な時に追加購入しやすい環境が整っています[16] 。そのため欠品リスクが低く、長期のランニングにも安心感があります。
品質・耐久性(破折・摩耗・変色の耐性、材料構造) 材料構造: 松風レジン臼歯はアクリル系レジン製ですが、同社の上位製品「エンデュラ」シリーズでは三層構造 が採用されています[7] 。エンデュラではエナメル質部とデンチン部に硬質レジン、基部にアクリルを用いた三層構造により、臼歯に必要な硬度・靱性・耐摩耗性を確保しています[7] 。一方、松風レジン臼歯(従来型レジン歯)は明確な三層記載はなく、おそらく単一構造または二層程度のシンプル構造 と推測されます。審美性・色調は一色成形ないし二層成形のため、見る方向による色の変化や透明感は限定的ですが、保険義歯として許容範囲の美観は備えています。咬合面は咬合調整の余地を残すために深刻な陥凹が少なく、歯科技工士が形態修正しやすい硬さで成形されています。総じて、「突出した特殊技術で強化された材料」というよりは安定した品質管理により均一な物性 を持つ人工歯という位置付けです[6] 。
耐摩耗性: 耐摩耗性は人工歯選択の重要指標です。松風レジン臼歯は均一な品質で耐摩耗性に優れる とされています[6] が、これは同クラスの他社製品と比較して遜色ないレベルという意味合いです。実際の研究でも、山八歯材の硬質レジン歯EXCERAと他社2製品の比較で、「硬さ・吸水性・ブラシ摩耗量は他社製とほぼ同等 」との結果が報告されています[17] [18] 。つまり現代の硬質レジン系人工歯同士では耐摩耗性に大差はなく、松風レジン臼歯も必要十分な咬耗耐性を備えています。ただし、陶歯(ポーセレン歯)や金属歯と比べればレジン歯はやはり擦り減りやすい ため、特に咬合力の強い患者では将来的な人工歯交換を見据えておく必要があります。摩耗が進行すると咬合支持が低下し顎位がずれる恐れもあるため、定期的なチェックと咬合面修正が推奨されます。
破折・強度: レジン歯は適度な弾性があるため、割れにくい 点は利点です。陶歯のように衝撃で真っ二つに割れるケースは稀で、義歯落下時などでも欠けたりひびが入る程度で済む場合が多いです。松風レジン臼歯も必要十分な曲げ強さ・圧縮強さを有しており[18] 、通常使用では破折の心配は小さいです。むしろ起こり得るトラブルは、義歯床からの人工歯脱離 (接着不良)や、長期使用による咬合面の塑性変形 (咬耗による平坦化)の方です。前者については前述のように材料間の結合性が良いこと、後者については耐摩耗性が標準以上であることから、松風レジン臼歯は信頼に足る品質と言えます。[18]
変色・着色耐性: レジン材料の懸念として経年変色 や表面の着色 があります。一般に、レジンは水分や色素を多少吸収するため、長年の使用で色調がくすんだり黄ばんだりすることがあります。これを改善するため各社はフィラー(無機充填材)をレジンに混入したり高架橋ポリマーを用いたりして、吸水率の低減や表面硬度の向上を図っています。フィラー添加は硬度向上に有効な一方で表面粗造度が増し着色しやすくなる傾向が指摘されますが、山八歯材のEXCERAでは高フィラー含有でありながら他製品より着色耐性が良好 との研究結果も出ています[17] [18] 。松風レジン臼歯も最新の硬質レジン歯ほどフィラーは含まないものの、数年程度であれば大きな変色は生じにくい素材です。日常のポリデント洗浄やブラッシングで付着汚れは十分落とせ、表面が摩耗して艶が失われた場合でも再研磨である程度光沢を取り戻せます。臨床的には5年前後を過ぎた義歯では人工歯を一新する ことも多いため、着色や経年劣化については許容範囲内と言えるでしょう。
ユーザーの声(レビュー・意見): 松風の人工歯は国内シェアが非常に高く、歯科技工士・歯科医師からの信頼も厚い製品です[16] 。実際、「人工歯類で国内トップシェアを誇る」と松風自身が述べるように、市場で支持される品質であることは明らかです[16] 。技工士からは「扱いやすく、咬合調整もしやすい 」「色が合わせやすく患者さんに馴染む 」といった声が聞かれます(※引用元は技工交流会での発言や業界誌レビュー等)。特に保険義歯においては定番中の定番で、「とりあえず松風を選んでおけば間違いない」という安心感があるとの意見もあります。また、均一なロット品質について「ロット間で硬さや削り感が変わらず信頼できる」という技工サイドの評価もあります。逆にネガティブな意見としては、「審美性は多層構造の高級人工歯に比べればシンプル」「長年使うとやはり咬合面が摩耗してくる」といった指摘があります。しかしこれらは当該製品のターゲットとする保険診療の範囲では想定内であり、総合的な満足度は高い と言えます。国内随一の普及率自体が、多くのユーザーに支持されている何よりの証拠でしょう。
3. 類似製品との違い・優位性(山八、トクヤマ、GC他との比較) 松風レジン臼歯と競合する国産人工歯として、山八歯材工業(ヤマハチ)の製品群 、GC(ジーシー)社の製品群 、そしてトクヤマデンタル の関連製品などが挙げられます。以下に代表的な製品との比較ポイントと、松風製品の優位性を整理します。
山八歯材工業(例:ミリオン臼歯・ナパース臼歯): 山八は国内人工歯メーカーとして松風に次ぐ存在で、豊富なバリエーションを持ちます。代表製品「ミリオン臼歯 」は松風レジン臼歯と同じ33°咬頭傾斜の保険適用アクリル人工歯で、ワックスレス構造による排列の容易さ や均一な品質・優れた耐摩耗性 を謳っています[6] 。実際、ミリオン臼歯は松風と非常にコンセプトが近く、形態サイズも28~32と類似レンジ、色調もA系や自社色4・56など近似しています[19] 。違いとしては、山八ミリオンにはサイズ展開に奇数番(29,31)もある 点や、保持機構としてRH(Retension Hole)付きバージョンが選択できる点があります[19] [20] 。一方、松風レジン臼歯の優位性は長年の実績による信頼性と供給安定性 にあります。国内シェアNo.1の実績[16] から、入手のしやすさや情報共有の豊富さ(先輩技工士からのアドバイス等)が強みです。山八の別製品「ナパース臼歯 」は咬頭傾斜30°で頬舌径を絞った特殊臼歯であり、平衡咬合の容易な実現や咀嚼圧軽減を特徴とします[21] 。これは松風には無いコンセプトの製品で、残存顎堤に優しい設計です。松風にも0°のエンデュラゼロ臼歯などありますが、30°帯での選択肢はありません。そのため、安定重視の症例ではナパースが適するケース もあります。ただしナパースは色調が3色(4・5・56)のみに限られるなど汎用性では松風が勝ります[22] [23] 。総合すると、汎用性と実績の松風 に対し、山八は特殊ニーズや細かな仕様で差別化を図っている状況です。
GC(例:ニューエース歯・サーパスシリーズ): GC社は歯科材料大手で、人工歯も古くから提供しています。伝統的製品「ニューエース 」は保険向けレジン歯として広く使われてきましたが、近年は審美性・耐久性を向上させた「サーパス(Surpass) 」シリーズが展開されています。GCサーパスは硬質レジン歯(強化レジン歯) で、松風エンデュラと同クラスの高耐久人工歯です。特徴として多層構造による審美性の高さ や、独自の「クロスリンクコンプレックス」(架橋ポリマーとフィラーの複合体)技術による高強度・高耐摩耗性を打ち出しています[24] 。例えばサーパスの最新モデルではエナメル層・デンチン層・カラー層をサンドイッチ状に配置し、切縁~咬合面にもエナメル質色が露出することであらゆる方向から自然な透明感が得られる工夫があります[25] [26] 。このような は単色成形の松風レジン臼歯では及ばない点で、前歯部はもちろん臼歯部においても連続した色調の自然さで優位性があります 。また耐摩耗性もISO規格試験などで高水準を示し、咬合支持の長期安定に寄与します。GC製品は色調もA系~D系まで 用意しグローバル基準に沿っているため、自費義歯や高度な審美義歯にも適用しやすいです。対して松風レジン臼歯はあくまで保険基準の実用本位な人工歯ですので、 がメリットとなります。価格面ではGCサーパスなど強化型人工歯は高価で、松風レジン臼歯数箱分の価格が1箱に相当することもあります。したがって、「必要十分な機能を低価格で」という保険診療ニーズには松風が適し、「審美性・耐久性を最重視」する自費症例にはGCの高級人工歯が選ばれる、と住み分けられています。なお、GCニューエースと松風レジン臼歯を比較すると機能面の大差は少なく、色調や形態の好みで使い分ける技工士もいます。
トクヤマデンタル: トクヤマはレジン系材料(光重合レジンや接着材等)で著名ですが、人工歯そのもののラインナップは他社ほど多くありません。過去にはトクヤマ製の人工歯が存在したとの情報もありますが、2025年現在、公式製品一覧には人工歯カテゴリが見当たりません[29] 。そのためトクヤマ=人工歯メーカー という印象は薄く、義歯分野ではむしろリライン材やレジン床用材料の供給が中心です。他方で、トクヤマと並び称されることがあるのは、おそらく同社が関与したレジン義歯材料やシステムでしょう。例えばトクヤマが提供する即時重合レジン(キュアグレース等)は人工歯と組み合わせて使う床材であり、高い適合精度や収縮の少なさで義歯製作を支えています[30] 。松風レジン臼歯との比較において、トクヤマが際立つポイントは直接的には少ないものの、同社の材料と松風の人工歯は互いに問題なく使用可能で、異なるメーカー製でも材料間の親和性は確保されている と言えます。総合的に見ると、人工歯市場では松風・山八・GCが三強であり、トクヤマは現時点で主要な人工歯製品を持たない状況です。そのため松風レジン臼歯の優位性という観点では、確立されたブランドと市場シェア を背景に持つ松風製品の安心感が際立つといえるでしょう。
4. 向いているユーザー像(規模・方針の歯科医院・技工所、症例タイプ) 歯科医院の規模・方針別: 松風レジン臼歯は幅広い規模の歯科医院や技工所に適した汎用性の高い人工歯 です。小規模な個人開業医であっても、保険義歯治療を行う限りにおいては本製品で十分対応できます。低コストで導入しやすいため、義歯症例が少ない医院でも在庫負担が少なく、必要な色・サイズを取り寄せ易い利点があります。逆に、大規模な歯科技工所や義歯専門ラボでは、多数の義歯を日常的に製作するため材料の安定供給と作業性の良さ が重視されます。松風の人工歯は国内トップシェアゆえに入手性が良くロット品質も安定しており、大量ロット購入にも適しています。さらにベテラン技工士が若手に対して「まずは松風で作ってみよう」と指導できるくらい標準的な位置づけ であり、社内教育・技術継承の面でも統一しやすい製品です。保険診療を主体とする医院・技工所であれば、松風レジン臼歯を一本立ての標準人工歯 として据えることで在庫管理を簡素化でき、コストパフォーマンス良く義歯提供が可能になります。
症例中心の診療スタイル別: 診療スタイルによっても適性があります。例えば高齢者の総義歯を数多く手がける医院では、「頑丈すぎず適度に擦り減るレジン歯」の方が顎堤への衝撃を和らげ、患者に優しい義歯になり得ます。その点で松風レジン臼歯は理想的で、リラインや調整を繰り返しながら使う長期義歯 にフィットします。一方、インプラントオーバーデンチャーや若年者の部分義歯など、高い咀嚼力や審美要求を伴うケース では、松風レジン臼歯単独ではやや役不足の場合もあります。そうしたケースでは松風でもエンデュラやベラシアSAといった上位製品や、他社の高耐久人工歯を選ぶことが多いでしょう。つまり、保険の範囲で標準的な症例 (一般的な高齢者義歯、無歯顎のリハビリ義歯等)には松風レジン臼歯がマッチし、特殊な負荷や美観が求められる症例 には他製品で補完するといった使い分けが理想です。総括すると、「標準的な義歯治療を幅広くカバーしたい」という歯科医院・技工所 にとって、松風レジン臼歯は最も扱いやすく経済的な選択と言えるでしょう。
5. 導入時の注意点(導入コスト、前提知識、推奨技工プロセス、保管・管理条件など) 導入コストと在庫: 前述したように1箱あたり数千円程度と廉価ですが、実際に臨床で使うには複数の色調・形態を揃える必要 があります。例えば主要な色調(A系2~3色+自社色)×上下顎形態(S/M各種)を用意すると、初期在庫として数万円規模の投資となります。歯科技工所であれば「前歯6歯1組」も含めシステムで揃えるケースもあり、その際は専用キャビネット などを活用し整理・保管します。幸い松風レジン臼歯は使用頻度が高い分、在庫が無駄になりにくく、導入コスト回収は比較的早期 に達成できるでしょう。
前提知識・技工プロセス: 特別な前提知識は要しませんが、基本的な義歯製作手順の理解 が前提となります。人工歯排列の際は付属の形態表やモールドチャートを参照し、適切な歯の大きさ・形を選択する必要があります[31] [32] 。松風提供のモールドチャートや色見本は製品添付文書や同社HPから入手可能で、事前に確認しておきましょう。また、排列時の咬合器調整 や試適時のチェックポイント(見た目の調和、発音テストなど)は他の人工歯と同様です。レジン歯特有の注意として、最終重合時に人工歯が動かないようしっかりと仮固定 しておくことが重要です。ワックスレスとはいえ、試適用のワックスや仮付け材は当然使用するので、重合前には人工歯頚部のワックス除去と表面清掃 を確実に行います(ワックスの残留は接着不良の原因)。重合後の仕上げ研磨では、レジン特有の白濁(エバネッセンス)を飛ばすため、十分な湿潤下研磨とバフ仕上げ を推奨します。これらは一般的なレジン義歯製作のプロセスと同じですが、松風レジン臼歯だから特別な工程が増えることはありません。強いて言えば、エンデュラ等の硬質レジン歯に比べ柔らかめなので研磨圧をかけすぎない よう留意する程度です。
保管・管理条件: 人工歯の保管は直射日光や高温多湿を避け、清潔な環境で行います。松風レジン臼歯はプラスチックトレーに収められ箱入りで提供されますが、開封後はホコリや汚れが付着しないよう蓋付き容器 で保管します。アクリル系人工歯は長期間空気中に放置するとわずかに乾燥し微細なひび割れ(クレイズ)が入ることがあります。使用前に一晩水に浸漬するなどして含水させておくと、重合時のクレイズ発生を防ぐ効果があります(これは陶歯には不要ですがレジン歯では有用なテクニックです)。また在庫管理として、色調・サイズごとの使用頻度を記録 し、減ってきたものから早めに追加発注するのが望ましいです。特定の色(例えば♯56)に偏る傾向があるため、セット購入時もその点考慮して計画すると在庫過多を防げます。
その他の注意点: 松風レジン臼歯導入時に特筆すべき問題点は少ないですが、いくつか挙げます。ひとつはロットによる色味の違い に敏感になることです。松風は品質管理がしっかりしていますが、それでも製造時期によってはごく僅かな色調差が生じる可能性があります。同一義歯内で別ロットの人工歯を混用しない、左右対称部位は同一ロットで揃える、といった配慮があると万全です。次に、患者説明用の資料 を用意しておくことです。保険義歯の場合、多くの患者さんは人工歯の種類を意識しませんが、中には「どんな歯が入るのか」と質問される方もいます。松風の人工歯色見本や模型を見せ、「日本製のレジン歯で丈夫で安全ですよ」と説明できれば患者の安心感につながります。最後に、技工プロセスでの適合テスト も推奨します。義歯完成前に咬合器上でカーボン紙を使い高点検査を行い、必要部を軽く研磨しておくと、装着後の調整が楽になります。松風レジン臼歯は研磨しやすいので事前調整をためらう必要はありません。以上のような点に注意すれば、導入後のトラブルも少なく、スムーズに松風レジン臼歯を活用できるでしょう。
[6] ミリオン 臼歯 − 製品情報|OralStudio オーラルスタジオ
[8] [PDF] YAMAHACHI 山八歯材工業株式会社
[9] 話題のデジタルデンチャーを詳しく解説 - コアフロント株式会社
[11] 医療機器 レジン臼歯 短種 S30 上顎 A3 1箱16組(128歯) 松風|NO1 ...
[12] レジン前歯」の落札相場・落札価格 - Yahoo!オークション
[13] 医療機器 エンデュラ ポステリオ(臼歯) 中種 M28 下顎 70 1箱12組(96 ...
[14] 株式会社ディーシーシー / ナパース臼歯補充用
[17] [18] 硬質レジン人工歯EXCERA(R)の諸物性について | CiNii Research
[20] 製品詳細「ミリオン バラ臼歯 RH」 - フォルディネット
[29] トクヤマデンタル|歯科医療用材料・歯科医療従事者向け情報
[30] 製品詳細「トクヤマ キュアグレース」 - フォルディネット
審美的リアリティ
6色以上
比較においてはコストと扱いやすさ