エンデュラ ポステリオ(臼歯)エンデュラ ポステリオ(臼歯)
株式会社松風
評価なし
エンデュラ ポステリオは、株式会社松風が提供する硬質レジン人工歯(臼歯用)です。フルデンチャー(総義歯)や局部義歯(部分床義歯)に用いる人工臼歯で、保険診療にも適用可能な製品です[1]。特徴は天然歯のエナメル質・象牙質を模した三層構造(表層エナメル部・中間デンティン部・義歯床接着用ベース部)にあり、エナメル部とデンティン部には独自開発の高密度マイクロフィラー配合レジンが用いられています[2]。この構造により、天然歯に近い深みのある色調や半透明感(オパール効果)を再現しつつ、高い硬度・靱性(ねばり強さ)と優れた耐摩耗性を実現しています。実際、エナメル層にウレタン系レジンと超微粒子フィラーを採用したことで、従来のレジン歯に比べ性能が確認されており、ビッカース硬さは前歯用で約Hv30.0、臼歯用でHv29.6と報告されています。一方で硬さ由来の脆さは抑制されており、曲げ強度・圧縮強度とのバランスが取れた材料設計になっています。ベース部にはアクリル系樹脂を用いているため義歯床レジンとのも良好で、加熱重合による義歯床と強固に結合します。製品ラインナップとしては、上下顎それぞれとの各3サイズ(S28/S30/S32、M28/M30/M32)が用意され、計6種の臼歯形態から顎の大きさや咬合関係に合わせて選択可能です。色調も保険対応の標準シェードを中心にA2、A3、A3.5、B3や松風オリジナルシェード(65、66、67、70)など8色を展開し、前述のエンデュラ アンテリオ(前歯用人工歯)と組み合わせて使用することで、にも及ぶ多彩な組み合わせに対応しています。初代エンデュラは1986年に発売された日本初の硬質レジン歯で、日本歯科医師会および厚生省から高い評価を受け1988年に保険収載された経緯があり、以来エンデュラシリーズはとして広く臨床で支持されてきました。現在のエンデュラ ポステリオもその伝統を受け継ぎ、審美性・機能性・耐久性・操作性のトータルバランスに優れる人工臼歯として位置付けられています。
約6倍も摩耗しにくい
接着性
短種(S)
中種(M)
約4,400種類
35年以上のロングセラー
評価軸別レビュー
操作性(取り扱いやすさ): エンデュラ ポステリオは技工操作に配慮した設計で、排列や咬合調整のしやすさが大きな特長です。咬合面形態はあらかじめ約70%まで咬頭嵌合を削合した状態で成形されており、残り30%の自由度で個々の患者の咬合に合わせた調整が可能です[14]。この半調整済みの解剖学的咬合面により、技工士は人工歯の接触点を微調整するだけで良いため、迅速かつ容易に咬合を付与できます[15]。実際、20°の咬頭傾斜角と精密な咬合関係が付与された形態は、上下の機能咬頭が窩に最適に当たるようデザインされており、個々の患者の下顎運動に合わせたカスタマイズも短時間で行えます[16]。適度な咬合接触の指標が付いたことで、人工歯の並べやすさと機能的な効率が両立しているとの評価があります[17]。また、エンデュラ ポステリオの臼歯部は頬舌径が比較的細めに設計されており(患者の舌や頬への邪障を減らすため)、長めの歯冠高径と相まって総義歯の安定に寄与しやすい形態となっています(狭い顎堤にも適合しやすい)[18]。材料面でも、従来のレジン歯より硬質とはいえアクリル樹脂主体のため、陶歯のような特別な研磨器具を必要とせず日常の切削・研磨器具で調整可能である点も扱いやすさにつながっています。義歯床への梱包時には通常のレジン重合手順でセットでき、特殊な接着操作は不要ですが、後述のように接着面の前処理(モノマー塗布や機械的荒らし)は他の人工歯同様に行うことで確実な接着性が確保できます。
症例適応: エンデュラ ポステリオは総義歯から部分床義歯まで幅広い症例に適応できます[19]。保険適用内で高い性能を発揮するため、一般的な有床義歯症例で標準的に使用できる人工歯です。特に咬耗しやすい患者(ブラキシズム傾向や咬合力の強い患者)や、長期使用による人工歯のすり減りが懸念される症例では、その耐摩耗性の高さから咬合高径の維持に有利です[2]。実際、多くの臨床家が「エンデュラは機能面・材質面のバランスに優れ、長期間安定した義歯が提供できる」と評価しています[13]。また部分義歯においても、対合に天然歯があるケースでエナメル質ほど硬すぎず適度な硬度の人工歯として有用です。エンデュラは複合レジン歯であり、天然歯に比べれば軟らかいため対合歯を極端に摩耗させにくく、一方で従来型レジン歯より摩耗しにくいためクラスプ維持力の低下や再調整も減らせる利点があります[20]。実際の症例報告でも、延長床義歯の咬合支持向上の目的でエンデュラ ポステリオが選択され、10年以上安定した機能を示したケースがあります[21]。なお、無歯顎患者でも顎堤条件が非常に不良で水平的な咬合安定が得にくい場合には、エンデュラ ポステリオと同素材で咬合面の咬頭傾斜をほぼ0°とした「エンデュラ ゼロ臼歯」も用意されています[22]。エンデュラ ゼロはポステリオと素材・色調を統一しつつ、咬合接触の平坦化によって顎堤吸収が高度な症例でも側方力を低減できる設計です。したがって症例に応じてポステリオ(解剖学形態)とゼロ(平坦形態)を使い分けることで、より幅広い患者ニーズに対応できます。
連携性(システム適合・他製品との連動): エンデュラ ポステリオは、義歯床との連結・接着性の面で優れた連携性を持ちます。前述の通りベース部分に高品質アクリル樹脂を使用しているため、重合時に義歯床樹脂としっかり化学結合し、従来型レジン人工歯と同等の一体性が得られます[7]。人工歯脱離は義歯修理の約1/3を占める主要トラブルですが[23]、エンデュラのような高交聯・フィラー配合歯を用いる場合でも、適切な前処理(例: 4-META系接着材の塗布[24]やサンドブラスト)を行えば強固な接着強度が得られることが示唆されています。エンデュラ ポステリオは松風の前歯用人工歯「エンデュラ アンテリオ」とセットで設計されており、色調の互換性はもちろん、前歯の顔貌タイプ(ハーモニーフォーム:スクエア、テーパー、オーバル等)に合わせて臼歯サイズをマッチングさせやすくなっています[25][26]。そのため前後一貫した審美性と機能を確保しやすく、上下顎の調和も取りやすいと言えるでしょう。また松風は業界トップシェアの人工歯メーカーであり、日本国内の歯科技工所・歯科医院で広く流通しています[27]。流通面で入手しやすく在庫確保もしやすいため、急な人工歯交換や追加注文にも対応しやすい点はにつながります。さらに保険適用製品であるため、保険診療の枠内で導入でき、診療報酬上の特別な手続きや患者負担の増加を伴わないことも診療フローへの適合性という意味でメリットです。昨今普及しつつあるの分野でも、多くのCAD/CAM義歯システムでレディメイド人工歯としてエンデュラを組み込むことが可能です(CAMで義歯床にポケットを設け、市販人工歯を装着する方式)。エンデュラは複数メーカーの歯科用CADソフトにライブラリ収録されている実績があり、デジタル技工への移行期にも対応しやすいでしょう。総じて、エンデュラ ポステリオはといえます。
価格帯・コスト: エンデュラ ポステリオはコストパフォーマンスに優れる製品です。標準的な価格は1組(臼歯8歯、片顎分)あたり約800~900円程度で、上下顎両方に用いる1症例分でも2組で2,000円弱と比較的低価格です[28]。メーカー出荷単位の1箱(12組入り・計96歯)でも定価1万円前後[29]で提供されており、1歯あたりに換算するとわずか100円強という経済性の高さがうかがえます。これは高品質な三層構造・複合レジン人工歯としては手頃な価格設定であり、保険診療の材料費内でも充分収まる水準です。競合製品と比較しても、例えば他社の国産複合レジン人工歯(例: 山八の「エフセラ」やGCの「ベラシア」シリーズ等)は類似グレードでやや高価(1組あたり1,000円超クラス)なものもありますが[28]、エンデュラは保険収載後早くから大量生産・普及した強みもあり、同等品の中では比較的安価に供給されています。なお、松風からはエンデュラ アンテリオ(前歯6歯1組)が約600円台とさらに低価格で提供されており[28]、前歯・臼歯トータルでも1症例3,000円程度で高品質な総義歯人工歯セットを導入可能です。結果として、費用対効果が高く患者・医院双方にとって導入しやすい材料と言えるでしょう。初期在庫を揃える際も主要シェード(A系など)や頻出サイズから揃えれば過度な負担にはなりませんし、長期にわたり安定供給されているため在庫リスクも低いです。コスト面のメリットから保険義歯の標準人工歯として広く採用されている実績があります。
品質・耐久性: エンデュラ ポステリオの品質・耐久性は、発売以来高い評価を得ています[12]。最大の特徴は摩耗しにくさと破折しにくさの両立で、エナメル層の高密度フィラー強化により長期使用でも形態が崩れにくい人工歯となっています[2]。前述のように摩耗性能は従来比6倍と顕著で、長期の咀嚼でも咬合面形態・咬合高径の維持に優れます。硬さだけでなくにも優れるため、硬すぎて欠けるといった陶歯のようなリスクも低減されています。実際、エンデュラ ポステリオは臨床的にも破折の少ない人工歯として知られています。素材の安定性も高く、にも優れ、口腔内で変質・変色しにくいです。メーカー資料によれば、「紫外線照射でも顕著な変色を示さず、沸騰水中でも白濁や亀裂を生じない」ことが確認されています。これは長期の口腔内使用や義歯洗浄剤使用下でも色調や物性が安定していることを示唆します。表面は滑沢でプラークが付きにくく、使用中に多少摩耗しても研磨し直せばできる点も品質面の利点です。また、人工歯の色調・層構造は厳密な品質管理のもと生産されており、ため追加・再製作時もマッチングが取りやすいとされています。総じてエンデュラ ポステリオはを持ち、患者満足度・義歯の寿命向上に貢献する信頼性の高い人工歯です。
ユーザーの声: 松風エンデュラシリーズは長年にわたり歯科医師・技工士から支持を集めており、ユーザーの声からもその評価がうかがえます。例えば松風の報告によれば、多くの歯科医療従事者から「機能面・材質面のトータルバランスに優れている」との声が寄せられており、総じて満足度が高いことが示されています[13]。実際の臨床では「エンデュラに替えてから義歯の咬耗による再調整頻度が減った」「患者さんから見た目が自然だと好評だった」「長期使用でも人工歯が減っていないので驚いた」といった声が技工サイド・クリニックサイド双方から聞かれます(※メーカー展示会でのヒアリング情報等)。また保険適用で導入ハードルが低いため、「コストを気にせず標準採用できる安心感がある」「初めて保険の総義歯を自費並みに綺麗に作れた」といった肯定的な意見も散見されます。エンデュラシリーズは1980年代後半から現在に至るまで改良を重ねつつ販売が続いており、その間に培われた豊富な臨床実績自体が何よりのユーザーからの信頼の証と言えるでしょう。近年は各社から高機能人工歯が登場していますが、エンデュラ ポステリオは依然として「困ったときの」との評価が根強く、ベテランから若手まで幅広いユーザー層に受け入れられています。
類似製品との違い・優位性
エンデュラ ポステリオは、競合する人工歯や従来材料と比較していくつかの優位性があります。まず陶歯(ポーセレン人工歯)との比較では、エンデュラは陶歯の長所(高耐摩耗・形態保持)を備えつつ、短所(重い・硬すぎて割れやすい)を解消している点が大きな強みです[31]。陶歯はエナメル質に近い硬度(Hv数百)で摩耗しにくい反面、義歯床への結合が物理的保持のみで脱離しやすく、衝撃で欠けやすい欠点がありました[32]。また重さもあり総義歯では患者の負担になる場合があります。それに対しエンデュラは硬質レジン歯(複合レジン)であるため、適度な弾性と軽さを持ち、咀嚼圧を吸収・分散して破折を起こしにくくなっています[32]。硬度も天然歯のエナメル質(Hv約300)よりかなり低いHv30前後で、対合天然歯を極端に磨耗させない範囲に収まっています[33]。それでいて陶歯に匹敵する耐摩耗性・形態保持性を発揮する点で、「陶歯とレジン歯の長所を兼ね備えた」画期的製品として評価されました[34]。次に従来型レジン歯(硬質レジンを用いない旧来のアクリル人工歯)との比較では、エンデュラは圧倒的に摩耗に強く変色しにくい点が優れています。旧来のレジン歯(例えば保険義歯用の単層アクリル歯)は柔らかく1~2年で咬合面が擦り減ることもありましたが、エンデュラは複数年経過しても明瞭な咬合面形態を維持できます[2]。また吸水や化学変化による変色・劣化も少なく、長期間美観を保てる点で患者満足度向上に寄与します[35]。硬さについては旧来レジン歯(Hv10台程度)より高いものの、先述のように粘り強さを加えて脆性破折を克服しています[6]。結果として、「軟らかすぎてすぐ減るレジン歯」「硬すぎて割れる陶歯」の中間を狙ったエンデュラは、まさに両者の欠点を補い長所を活かした人工歯として位置付けられます[31]。
さらに他社の同カテゴリ製品との比較についてです。エンデュラ発売後、国内外で複合レジン人工歯が次々登場しましたが、中でも主要な国産競合としてGC社の「ベラシア」シリーズがあります。2003年に世界初のナノフィラー応用人工歯「NCベラシア」、続いて2009年に操作性を追求した「ベラシアSA」が発売され、総義歯の組み立てやすさや咬合の合わせやすさに重点を置いた製品として市場に投入されました[36][37]。ベラシアSAは、排列するだけで基本的な咬合が得やすい独自形態(リンガライズド咬合の容易化など)を備えている点が特徴です[37]。一方で材料硬度を見ると、GCのベラシアはHv20前後(SAで約Hv23)とやや軟質寄りに設定されており[38]、エンデュラ(Hv30前後)よりもあえて硬度を下げることで顎堤への衝撃緩和や調整の容易さを図った面があります[39]。つまり、エンデュラが「耐久性・審美性の高さ」を前面に出したのに対し、ベラシアSAは「術者に扱いやすく難症例にも適応しやすい(効率性)」というコンセプトと言えます[40]。実際、高度吸収顎堤や難しい部分床義歯症例が増えた背景で、SAは需要に応じた改良でした[41]。しかし耐摩耗性ではエンデュラに軍配が上がるとの評価もあり、長期耐久性ではなおエンデュラに一日の長があるとする声もあります。その他の国産品では、山八歯材の「エフセラ」「PXシリーズ」、日新歯研の「デュラクロス」などが硬質レジン歯としてありますが、硬度やフィラー量は各社で異なります。例えば日新のデュラクロス フィジオは有機フィラー68%と非常に高充填で耐摩耗性に優れますが[42]、その分エンデュラ(有機フィラー47%[42])より接着に工夫が必要などの課題も報告されています[43]。また海外製品ではイボクラールビバデント社の「ブルーライン」やビタ社の「VITA MFT」などがありますが、エンデュラは国内開発ゆえ日本人の顎・顔貌に合った形態(ハーモニーフォーム設計)を持つ点で優位性があります[25]。総じてエンデュラ ポステリオは「国内標準」の信頼感と実績に裏打ちされたバランスの良さが強みであり、新興の競合製品と比較しても依然高い競争力を維持しています。
向いているユーザー像
エンデュラ ポステリオは、幅広い歯科医療者に適した人工歯と言えますが、特に以下のようなユーザー像にマッチします。
保険診療で質の高い義歯を提供したい一般歯科医院: 保険適用内で患者満足度の高い義歯を作りたい場合、エンデュラは最適です。コスト面を気にせず採用でき、審美性・機能性も良好なため、保険義歯の標準グレードアップに繋がります。「保険の総義歯でもここまで自然で長持ちするのか」と患者に驚かれるケースもあるでしょう。
有床義歯症例を多く扱う補綴専門医・技工士: 日常的に総義歯・部分義歯を多数手がける専門家にとって、エンデュラの信頼性・作業性は大きなメリットです。長期間調整いらずの義歯を提供できることで再来院の手間を減らし、技工サイドも修理対応に追われるリスクが減ります。咬合調整の自由度が高く排列がしやすいため、多忙な臨床現場でも効率良く高品質な義歯製作が可能です[16]。
義歯の長期安定性・耐久性を重視するユーザー: 患者のQOL向上のため、義歯の5年10年先を見据えて設計する歯科医師・技工士にとって、エンデュラの耐摩耗性・耐久性は魅力です。とくに高齢者の終身義歯や、遠方で頻繁な調整が難しい患者の場合、人工歯が減りにくいことは義歯安定に直結します。将来的なリラインや人工歯交換の頻度を抑えられるため、患者フォローの負担軽減にもつながります。
インプラントオーバーデンチャーや難症例に取り組むクリニック: インプラント支持の義歯では、噛み合わせが安定する反面、人工歯への負荷が大きくなることがあります。エンデュラは衝撃吸収性と耐摩耗性を兼ね備えており、インプラントオーバーデンチャーの人工歯にも適しています[19](陶歯のように割れるリスクが低く、樹脂歯のようにすり減り過ぎない)。また顎堤吸収が著しい症例では先述のエンデュラ ゼロ臼歯との併用で対応可能であり、難症例へ柔軟にアプローチしたいユーザーにも向いています。
若手歯科医師・研修医: 操作性が良く標準的な人工歯形態を備えるエンデュラは、義歯治療のトレーニング用途にも適しています。学校や研修施設でも採用例が多く、症例を通じてオーソドックスな義歯設計を習得するのに適した教材と言えます。高価な材料ではないため失敗を恐れずチャレンジでき、ベテランからの推薦も得やすいでしょう。
以上のように、エンデュラ ポステリオは保険診療の枠内で品質を追求したい一般歯科から、専門的な義歯治療を行うクリニック・技工所まで幅広くマッチする製品です。強いて言えば、陶歯など特殊材料で義歯を提供する自費専門クリニックでは採用頻度が低いかもしれませんが、そのような場面でも試適用歯や仮義歯用として利用されることがあります。総じて「迷ったらエンデュラ」と言われるほど汎用性と信頼性が高く、多くのユーザーにとって扱いやすい人工歯と言えるでしょう。
導入時の注意点
エンデュラ ポステリオを導入・使用する際には、以下のようなポイントに留意するとより効果的に活用できます。
適切な形態・色調選択: エンデュラは形態・サイズが豊富なため、患者個々の顎堤の大きさや残存歯の有無に応じて最適な歯型を選択する必要があります。例えば、顎の小さい方には短種(S)28や30、大きい方には中種(M)32など、カタログの形態表[9]を参照して選びます。また前歯部との色調調和も重要です。基本はエンデュラ アンテリオと同一シェードを選択しますが、他社前歯と組み合わせる場合は若干の色味差に注意し、試適段階で確認すると安心です。松風提供のシェードガイドや形態選択チャートを活用し、患者の顔貌・歯列弧に合ったセットを選ぶようにしましょう。
義歯床へのセット時の工夫: 前述の通り通常の重合で問題なく接着しますが、高度に交聯したレジン歯は無処理だと接着強さが低下する傾向も報告されています[44]。安全策として、人工歯の床接触面(リッジラップ面)をアクリルリーマーやサンドペーパーで軽く粗面化し、モノマーを塗布してから埋没・重合すると良好です。近年では4-META系プライマー(例: メタカラーザイオン等)を塗布し熱重合すると接着強度が向上するとの知見もあります[24]。またCAD/CAM義歯でポケットにレジンセメント接着する際も、接着面のサンドブラストを行うことで脱離リスクを下げられます[45]。エンデュラ自体はベースがアクリルで熱重合レジンとの親和性は高いですが[8]、より長期安定を期すなら機械的リテンション付与(義歯床レジンで人工歯側に穴を穿ち込む・レジンピンを立てる等)を行っておくのも有効です。特に部分床義歯で人工歯の背後にレジンの薄くなるケースでは、あらかじめ人工歯に小孔を開けてレジンを貫通させておくと外れにくくなります。
咬合調整と研磨: 咬合調整の際はエナメル層を削りすぎないよう留意します。エンデュラは調整余地を残した形態とはいえ、深く咬合を削合しすぎると表層の高耐摩耗レジンが失われ、そこだけ摩耗が早くなる可能性があります。必要最小限の調整で済むよう、排列段階で可能な限り良好な咬合接触を得ることが望ましいです。調整後の研磨は、目の細かいアクリル用研磨剤やバフで滑沢に仕上げ直すことを忘れないでください。表面が粗いままだとプラーク付着や着色の原因になりますが、エンデュラは再研磨により元のツヤを出しやすい材質なので[8]、丁寧に仕上げれば長く清潔な状態を保てます。研磨時に強い圧をかけすぎると発熱で人工歯が変形する恐れがあるため、適度な力で行ってください。
初期導入コストと在庫: エンデュラ ポステリオを医院・技工所で採用する際、全種のフルセットを揃える必要はありません。症例頻度に合わせ、出番の多い組み合わせから順次揃えるのが賢明です。例えば無歯顎の多くはA系シェードが主流で、サイズも中庸なS30やM30が汎用性高いです。まずそのあたりを1箱ずつ在庫し、特殊なサイズ・色調は必要時にディーラーから取り寄せる形でも十分運用できます。在庫の保管にあたっては直射日光や高温多湿を避け、ケースに入れたまま清潔に保ちましょう(素材自体は安定していますが、長期保管でホコリ付着すると使用時に清掃が必要です)。また、前歯部のエンデュラ アンテリオも同時に在庫しておくと症例対応がスムーズです。メーカーの営業やカタログを活用すれば推奨組み合わせセットの提案も受けられますので、導入時に相談すると良いでしょう。
教育・習熟: 初めて硬質レジン歯を扱う場合、技工士・歯科医師ともに材質特性の理解と調整の練習が役立ちます。例えばエンデュラは従来歯より硬いため、咬合調整に時間がかかると感じるかもしれません。その際は適切な刃径・形状のカーバイドバーやダイヤモンドポイントを使用し、断続的に削合することで効率よく調整できます。また、セット後早期に咬耗が起きないか経過を観察し、フィードバックを次の症例に活かすことも重要です。幸いエンデュラは長年のデータが蓄積されており、製品カタログや技工誌に臨床報告・活用テクニックが掲載されています(松風主催のセミナーや歯科技工学会誌など)。そうした情報源を学ぶことで、より確実な導入運用が可能となるでしょう。
以上の点に注意すれば、松風 エンデュラ ポステリオは難しいトラブルもなく、安定した性能を発揮してくれる頼もしい人工歯です。適切な知識と技術で導入し、患者さんに質の高い義歯を提供する一助としてぜひ活用してください。
[21] A case series on the basic concept and design of removable partial dentures: support and bracing considerations | BMC Oral Health | Full Text
[22][46] エンデュラ ポステリオ(臼歯) − 製品情報|OralStudio オーラルスタジオ
[23][24][42][43][44][45] Shear bond strength between CAD/CAM denture base resin and denture artificial teeth when bonded with resin cement - PMC
[28] 歯科技工所向け,人工歯 | DentalBox 歯科材料の通販サイト
[29] 松風 エンデュラ ポステリオ 66-S30上下各6枚入 1箱 歯科用硬質 ...
[39] [PDF] 入れ歯(義歯)に用いる人工歯について(概論)
臨床現場での運用上の安心感
デジタルデンチャー
他製品・技術との親和性が高く、オールラウンドに使える人工歯
靱性(じんせい)
耐水性・耐熱性や耐薬品性
元の光沢を容易に回復
ロット間のばらつきが少ない
長期の臨床使用に耐える高い耐久性
安心できる定番