インビザライン Go Plusは、マウスピース型矯正装置「インビザライン」の一プランで、一般歯科医師でも扱いやすい部分矯正システムです[1]。透明な取り外し式のアライナーを使用し、前歯から第一大臼歯(いわゆる6番の歯)までの歯列を矯正できます[2]。従来のインビザライン Go(前歯~第二小臼歯〔5番目の歯〕まで、最大20枚のアライナー)では対応困難だった中等度の不正咬合にも適応し、治療オプションを拡大した革新的プランです[3]。最大までのアライナーと2セット分(合計52枚)の追加アライナー(リファインメント)が提供可能で、約の保証期間が設定されているため、細かな調整や長期フォローにも対応します。この結果、が低価格で実現でき、多くの患者に短期間での矯正治療を提供できるようになりました。臨床シーンとしては、(叢生・空隙歯列・軽度の咬合不良など)で、に有効です。例えば「前歯のガタつきとそれに伴う若干の咬み合わせズレを短期間で整えたい」「矯正再治療でリテーナー後戻りを直したい」といった患者に適しています。またとして、歯の位置を少し整える用途にも活用されており、補綴治療との併用で理想的なスマイルラインをデザインすることも可能です。
一般歯科医にとって扱いやすい設計である点がインビザライン Go Plusの大きな特徴です。導入にあたってAlign社主催の有償セミナー受講とライセンス取得が必要ですが[11]、同社は導入前後の包括的サポート体制を整えており、認定後12か月間は治療計画サポートを6症例まで無償提供する特典もあります[12]。このため矯正未経験の一般歯科医でも比較的始めやすいシステムと評価されています[1]。また、デジタルワークフローによる効率の良さも操作性を高めています。口腔内スキャナー(特にiTeroスキャナー)で患者の歯列をスキャンすると、チェアサイドで即座に治療前後のシミュレーションを表示でき[13]、患者とのコミュニケーションが円滑になります。シミュレーションは難易度が高い症例でも予測可能な範囲でBefore/Afterを示すため、本システムでどこまで治療可能かをドクター自身が判断するツールとしても活用されています[14]。さらにGo PlusではiTeroに搭載されたOutcome Simulator Proが利用可能になり、患者に治療結果を直感的に示せるので、治療計画への理解と納得が得られやすいとされています[15]。治療計画の立案には専用ソフト「ClinCheck」を用い、必要に応じ複数シナリオを比較検討しながら最適なプランを選択できます[16]。このように、直感的なデジタルツールとメーカーのサポートにより、インビザライン Go Plusは計画立案から装着指導までスムーズに行えると多くのユーザー(歯科医師)から評価されています[17][18]。患者側にとっても、マウスピース素材「SmartTrack」の柔軟性と着脱の容易さから「装着時に違和感が少なく話しやすい」といった好評の声があり[19]、従来素材より快適性が向上しています。
症例適応(適応範囲と適応外の症例)
適応範囲:インビザライン Go Plusは主として軽度~中等度の不正咬合に適応します[4]。具体的には、前歯部の軽いガタつき(叢生)やすきっ歯、軽度の前突・受け口、ディープバイト(過蓋咬合)などが挙げられます[8][20]。従来のGoが前から5番目(第二小臼歯)までのみの部分矯正だったのに対し[21]、Go Plusでは前から6番目(第一大臼歯)までカバーできるため奥歯を含む噛み合わせの調整もある程度可能です[2][22]。例えば軽度の叢生とともに小規模な奥歯の移動が必要なケースでも、Go Plusで対応できる場合が増えました[3]。また矯正後の後戻り改善にも利用されており、以前の矯正治療で前歯にズレが生じた症例の再矯正にも適しています[23]。治療可能な範囲が広がった一方で、1ケースあたり最大26枚までのアライナーという制限上、大きな歯の移動量を伴う症例は難しいです[24](マウスピース追加2セットまで対応できますが、それでも最大52ステージまで)。適応外(制限):重度の不正咬合や大幅な歯列不整はGo Plusでも適応外です[25]。具体的には、抜歯が必要となる強い叢生や上下顎の大きな前後的ズレ(骨格性 Class II・III)、顎の幅拡大が必要な症例、著しいオープンバイトなどは本プランの範囲を超えます。また、大臼歯(7番以降)の移動や複雑な咬合改善は対応困難で、そのようなケースでは上位プランのインビザライン Comprehensive(フル)や他の矯正法が選択されます[26][27]。インビザライン Go Plus自体は基本的にクラスI(骨格的に大きなズレのないケース)を想定しており、上下の顎の関係を大きく変える治療(下顎前方誘導や遠心移動など)は想定されていません。さらに垂直方向の大きな変化(大幅な開咬や過蓋咬合の改善)も、アタッチメントや補助装置が必要になる重度症例では難しくなります[28]。以上のことから、インビザライン Go Plusは「前歯中心の部分矯正では物足りないが、フル矯正ほど大掛かりではない中程度症例」に適した中間的プランと位置付けられます[29][30]。適応判断に際しては、事前のデジタル診断で動的シミュレーションを行い、Go Plusのプロトコル内で確実に動かせる範囲かどうかを検討することが重要です[14]。適応外の場合は無理に本プランに固執せず、患者と相談の上でインビザライン フル等への移行や専門医への紹介を検討する必要があります。
連携性(スキャナーやプラットフォームとの互換性)
スキャナーとの連携:インビザライン Go Plusは、デジタルスキャナーとの親和性が非常に高いシステムです。特に同じAlign社のiTero口腔内スキャナーとの組み合わせが推奨されており、スキャンデータは即時にインビザライン専用プラットフォーム(ドクターサイト)へ連携されます[31]。iTeroスキャナーを用いることで、数分以内に正確な歯型データを取得してクラウド経由で送信でき、従来の印象採得に比べ圧倒的に迅速です[32][33]。さらに前述のとおり、iTero上ではOutome Simulator機能によりその場で治療結果のシミュレーション提示が可能で、患者説明ツールとして有用です[13][15]。一方で、iTeroは必須ではありません。インビザラインは従来型のシリコン印象にも対応しており[34]、スキャナー未導入の医院でも依頼可能です。ただしアライナー製作精度やスピード、患者体験の面から、iTeroなどのデジタル導入が望ましいでしょう。実際には「インビザライン Goを導入している全ての医院でiTeroが使われているわけではない」ものの[35]、iTeroを導入した医院では患者が治療後のイメージを容易に掴めるため、治療開始への動機付けに繋がる傾向があります[35]。プラットフォーム互換性:インビザライン Go PlusはAlign社のインビザライン・ドクターサイトおよびClinCheckソフト上で管理・操作します。他社製のマウスピース矯正システムとは基本的に互換性がなく、例えばストローマン社のClearCorrectは独自プラットフォームであり相互乗り入れはできません。そのため医院がインビザライン Go Plusを導入する際は、Align社のエコシステムへの参加が前提となります。iTero以外のオープンな口腔スキャナー(3Shape社等)でスキャンデータを提供することも可能ですが、iTero使用時に比べデータ送信やシミュレーション表示に時間がかかる場合があります。なおClearCorrectではシリコン印象を受け付けておらずデジタルスキャン必須であるのに対し、インビザラインはどちらにも対応するため導入ハードルは低いと言えます[34]。総じて、インビザライン Go Plusは自院のデジタル設備と統合しやすく、既存の診療フローに組み込みやすい矯正システムです。メーカー提供のポータル(MyAligntech)で症例管理やサポート問い合わせも一括できるため、煩雑なやり取りも減らせます。逆に言えば、効果的な活用にはデジタル環境の整備(スキャナー導入や高速通信環境など)が求められる点には留意が必要でしょう。
価格帯・コスト
患者向け費用:インビザライン Go Plusの治療費用は、インビザライン フル(包括矯正)より抑えられ、インビザライン Goよりはやや高い中間的な価格設定です。具体的な費用は医院ごとに異なりますが、例として博多のあるクリニックではGo Plusが約54.8万円(税込)、基本のGoが約43.8万円、フルは88万円と設定されています[36]。一般的な相場感としても、Go Plusは50~60万円前後、Goは30~50万円程度、フル矯正は80~100万円以上になることが多いです[37]。インビザライン Lite(後述)との比較では、Liteが45~65万円程度とされており[37]、Go Plusはこれと同水準かやや低い価格帯に収まります。Go Plusの費用には通常、矯正用アライナー一式(最大26枚+追加2セットまで)と治療期間中の調整料が含まれます[38][39]。また、多くの医院で検査診断料や保定装置代が別途設定されています(初診時検査料3~5万円、リテーナー代数万円などが相場)[40]。一部医院では「調整料無料」「リテーナー込」などパッケージ化している場合もあります[39]。費用面のメリットとして、ワイヤー矯正より総額が安価になりやすいことや[41]、分割払い・デンタルローンへの対応など支払いの柔軟性を確保しやすいことが挙げられます[42]。歯科医院側のコスト:医院がAlign社からインビザライン Go Plusを発注する際のラボ費用(仕入れ価格)は公表されていませんが、フルのインビザラインに比べ低く設定されているとされています。これはアライナー枚数の上限があることと、提供サポート範囲が限定されているためです。加えて導入時には前述の認定セミナー受講費や、デジタル設備投資(iTero導入費用※機種により数百万円)も考慮する必要があります。もっとも、一度導入すれば一症例あたりの追加コストは主にアライナー代のみで、月々の利用料などは基本的に発生しません(※iTeroは保守契約費が必要[43])。コストパフォーマンスの観点では、Go Plusは追加アライナー2回分まで無料といった保証込みで治療完了まで費用が明確なので、予測しやすい利点があります[2]。初回セットの費用内である程度の調整が利くため、症例によっては想定外の費用が膨らみにくい点が患者・医師双方に安心感を与えています。総じて、インビザライン Go Plusは「比較的低コストで中等度まで対応できる矯正治療」として費用対効果が高いプランと評価できます[17]。特に「前歯だけ治れば十分」というケースではフル矯正の半額以下で治療を完了できる可能性があり[37]、経済的負担を理由に矯正を諦めていた患者層にもアプローチしやすくなっています。
品質・耐久性
アライナーの品質:インビザライン Go Plusで使用されるアライナーは、インビザライン共通の独自素材「SmartTrack」で製造されています[44]。SmartTrackは約8年の研究開発を経て導入された高性能なポリウレタン樹脂で、従来素材に比べ柔軟性・弾性が高く、歯への持続的な加力が可能なのが特徴です[45][46]。この素材によりアライナーは2週間の装着期間を通じても形状を保持しやすく、変形・ヘタリが起こりにくいため、計画通りの歯の移動が期待できます[47]。患者からは「素材が柔らかく、着脱しやすい」「はめていても違和感が少ない」といった声もあり、快適性と機能性を両立した品質が評価されています[19]。また、アライナーの透明度も高く審美的で、適合精度も優秀です。他社の安価なマウスピースと比較すると、インビザラインのアライナーは歯牙やアタッチメントに密着しやすく設計されており、歯のコントロール精度が高いと報告されています[47][48]。さらに、Go Plusでは必要に応じて歯に取り付けるアタッチメント(樹脂製の突起物)やIPR(隣接歯のわずかなエナメル質削合)など、インビザラインシステムの各種テクニックがフル活用でき、これらも最終的な治療精度を高める品質要素と言えます[48][49]。 治療結果の信頼性:Align社は全世界で1400万症例以上の治療データを蓄積しており、その巨大なデータベースとAIアルゴリズムに裏付けられた治療計画がインビザライン最大の強みです[1]。このため、インビザライン Go/Go Plusでも歯の移動予測はかなり精密で、ClinCheck上で確認した最終ゴール像に近い結果が得られるケースが多いです[50]。実際に「治療前のシミュレーション通りに歯並びが改善した」という報告も多く、患者満足度は総じて高い傾向があります。一方で、治療精度を確保するための条件として、患者のマウスピース装着時間の遵守(1日20時間以上)や適切なアタッチメント設置などが不可欠です[51]。これらの条件が満たされない場合、計画との差異が生じて追加アライナー(リファインメント)が必要になることもあり、治療期間が延びる要因となります[52]。耐久性の観点では、インビザラインのアライナーは1~2週間ごとに新しいものへ交換する設計のため長期使用は想定されませんが、1枚のアライナーが割れる・破損するといったトラブルは極めて少ないです。SmartTrack素材は薄さ0.5mmと薄いにもかかわらず引張強度に優れており、通常の使用で裂けたり穴が開いたりするケースはまれです[53][47]。万一破損した場合も、インビザラインでは破損アライナーの再発注が可能で、迅速にリカバリーできる体制が整っています。総合的に見て、インビザライン Go Plusの品質・耐久性は業界トップクラスであり、矯正装置としての信頼性は非常に高いと言えます。矯正歯科専門医からも「このシステムには他のアライナー矯正にない強みがあり、正しく使えばブラケット矯正に劣らない結果が得られる」という評価が出ており[48][18]、製品クオリティに裏打ちされた治療効果が専門家筋からも認められています。
ユーザーの声(歯科医師や患者の評価)
歯科医師からの評価:インビザライン Go Plus導入歯科医の多くは、「治療の選択肢が広がった」ことを大きなメリットとして挙げています[17]。従来インビザライン Goでは適応外だった症例にも対応できるようになり、「中等度の症例をわざわざワイヤー矯正に委ねず、自院で完結できる」点が好評です。また、「短期間で部分矯正できるので患者満足度が高い」「比較的低価格なので提案しやすい」といった声も聞かれます[54]。例えばある歯科医は、前歯だけ治したいという患者に対しGoプラスを提案し、半年ほどで希望通りの歯列を実現できたことで「患者さんにも大変喜ばれた」とブログで報告しています。インビザラインの上級ユーザー(マスタークラスの歯科医師)からは、「適切なケース選択と計画さえ行えば、ブラケット矯正が不要なのではと思うほど良い結果が得られる」との感想も出ています[18]。実際、「インビザラインの達人」と呼ばれる専門家ほど本システムに肯定的で、アライナー矯正特有の弱点(アライナー単体では動きにくい歯の存在など)を克服する工夫を凝らしながら高い治療成果を上げています[48][49]。一方で歯科医側の声として、「患者の自己管理に結果が左右される」「適応症例を見極めないと咬合が不安定になる恐れがある」という注意点も指摘されています[55][56]。技術不足のまま無理な症例に適用すると、噛み合わせの悪化や正中のズレなど計画逸脱が起こり得るため[57][58]、歯科医師自身のスキル向上と症例選択の慎重さが求められるという意見です。ただ総じて、「Align社のサポートとツールが充実しているので安心して治療を進められる」「不明点はカスタマーサポートや他のGo導入医に相談できる体制がある」といったポジティブな評価が多数を占めています[59]。 患者からの評価:患者側の口コミでも、インビザライン Go Plusに対する満足度は概ね高いようです。「装置が透明でほとんど気付かれないのでストレスなく過ごせた」「ワイヤーと違って痛みが少なく、食事も普段通りできた」といった、透明マウスピース矯正共通の長所に触れる声が多く聞かれます[60][17]。特にGo Plusは治療期間が6ヶ月~1年半程度と比較的短く済むケースが多いため、「思ったより早く歯並びが整った」「結婚式までに間に合って良かった」という声もあります[61][62]。価格面でも「100万円近くかかると覚悟していたが、半分程度で済んで嬉しい」という患者のコメントがあり、費用負担の軽減が治療を後押しした例が報告されています[37]。一方、否定的な声としては「マウスピースの装着時間を守れず計画通り進まなかった」という自己管理不足に起因するものや、「奥歯は治せないと言われて希望したところまで改善しなかった」という症例選択上の限界に対するものが見られます[51][58]。例えば「昼間外している時間が長く、治療期間が延びてしまった」というケースや、インビザライン Go Plusで治療後に「もっと奥歯のズレも直したくなり結局フル矯正に移行した」というケースも僅かながら報告されています。これらは患者の協力度や治療ゴール設定に左右される部分であり、事前説明と意思疎通が十分であれば防ぎ得る問題です。総合すると、患者の声は「手軽で目立たず、短期間で歯並びが良くなった」と肯定的なものが大半を占め、Go Plusは患者満足度の高い矯正方法と言えます。ただし、「自己管理が必要」「重度のケースには向かない」点も口コミで共有されており、適切な期待値コントロールが重要であることが窺えます[25][55]。
他社のマウスピース矯正(ClearCorrect等)との比較:インビザライン最大の競合と目されるのが、スイス・ストローマン社グループのClearCorrect(クリアコレクト)です。ClearCorrectも軽度から全顎矯正まで対応可能なシステムで、特にアメリカで2006年に開発されて以来、世界シェア第2位を誇ります[73]。相違点としてまずアライナー形状があります。ClearCorrectのアライナーは他社より薄く(素材厚さ約0.3mm台)設計されており、その分歯への適合が非常にタイト(歯肉縁から約2mm覆う)なのが特徴です[74][75]。これにより強い保持力と矯正力が発揮され、歯をしっかりホールドして効率よく動かせる反面、圧迫感や痛みはインビザラインより出やすい傾向があります[76]。実際、ClearCorrectは「フィット感が良い」「短期間で治療が終わる」という評価がある一方、「締め付けが強く最初は痛みを感じた」という声もあります。対するインビザライン(SmartTrack素材)はやや厚みがありますが弾性に富み、穏やかな力でじわじわと歯を動かすので痛みが少なく快適性が高いと言われます[77][76]。またインビザラインのアライナーは歯肉線に沿ってカットされ歯にフィットしますが、ClearCorrectは歯肉を少し覆うデザインのため装着時に縁が見えにくい利点があります。 治療システム・技術面では、両者ともデジタルシミュレーションに基づくオーダーメイド矯正という点で似ていますが、ClearCorrectは全ての症例に口腔内スキャンが必須です[34](一部提携ラボによる模型製作可能な場合もありますが基本的にデジタル前提)。インビザラインはアナログ印象でもOKな分、導入障壁が低いといえます[34]。ClearCorrectは症例ごとに「ONE(上下24枚以内)」「UNLIMITED(無制限)」などプランを選択する料金体系で、費用は概ね30万~70万円とインビザラインより安価に設定されることが多いです[78]。実際「インビザラインだと○○万円だったが、ClearCorrectにしたら数十万円安く済んだ」という事例も報告されています。ただしクリアコレクトでは追加アライナーが必要になった際にコストアップする可能性もあり、長期的な保証ではインビザライン(追加料金なしで何度でもリファインメント可能なComprehensiveプラン等)の方が手厚い場合があります。治療精度については、インビザラインは膨大な症例データと独自機能(アタッチメント、精密カット等)に支えられており、特に難易度の高い抜歯症例や複雑な歯の移動では優位とされます[48]。ClearCorrectも近年は研究を重ね性能向上していますが、現状ではアタッチメント形状のバリエーションやソフトウェアの洗練度でインビザラインに一日の長があります。実際、日本国内の主要マウスピース矯正3ブランド(インビザライン・ClearCorrect・国産のキレイライン)の中で、多くの歯科医院がインビザラインを採用しているのは、ブランド力に加え「治療実績が豊富で安心感がある」点や「難症例にも対応できる」点が理由とされています[79][73]。 その他の類似製品:国内外には他にも部分矯正特化のマウスピース矯正が存在します。例えばアソアライナー(国内技工所製)は手作業で段階モデルを製作する簡易なもので、細かな調整が効く反面、動かせる量に限界があり主に数本の軽微な移動に用います。またキレイライン(国内ベンチャー企業製)は前歯6本の極軽度な乱れの改善に限定したサービスで、1回あたり2~3万円という低価格を売りに若年層シェアを伸ばしています[80][81]。ただキレイラインは治療範囲が前歯12本に限定され[82]、症例によって回数を選べる反面、最終的な費用は症状次第でかさんだり全体矯正には対応できなかったりと制約があります。インビザライン Go Plusはこうした部分矯正サービスとも競合しますが、装置素材の質やシミュレーション精度、そして世界規模のサポート体制という差別化ポイントがあります[1][83]。マウスピース矯正自体の需要が増える中、「どのブランドを選ぶべきか」は患者の関心事項ですが、歯科医師から見ればインビザラインは依然トップランナーであり、Go Plusもその一翼を担う存在といえます[84][85]。価格重視なら他社製を検討する余地もありますが、「治療の完璧さを求めるならインビザライン」という専門家の意見も根強く[86][87]、特に歯列全体に関わる治療ではインビザライン(フル)への信頼が厚い状況です。Go Plusは部分矯正カテゴリーではありますが、そうしたインビザラインブランドの信頼性を武器に、他製品との差別化を図っています。例えば、「マウスピース矯正で抜歯ケースや深い噛み合わせまで対応できるのはインビザラインだけ」といった言及もあり[88]、この高いポテンシャルへの期待感がブランド選択の大きな要因となっています。
インビザライン Go Plusが向いているユーザー像
歯科医院側の適合:インビザライン Go Plusは、一般歯科医院で審美矯正ニーズに応えたい場合に最適なツールです。特に、普段からホワイトニングや審美補綴治療を手掛けている医院にとって、患者の「前歯だけ直したい」「笑った時の見た目を良くしたい」という要望に自院内で完結する矯正ソリューションとしてマッチします。矯正専門医ではない開業医でもAlign社の研修を受ければ扱えるため、矯正専門医不在のクリニックで部分矯正メニューを追加したい場合に導入しやすいです[89]。実際、Go Plusは「矯正専門医に紹介せずとも、自院で中程度まで対応できるので診療の幅が広がった」といった評価があり、患者の流出防止や診療収益向上にも役立つとされています[65]。また、既にインビザライン Goを導入していた医院がより多くの症例に対応するためGo Plusを追加導入するケースが多く見られます[90]。これはGoで経験を積んだ歯科医師が「もう少し奥歯も動かしたい」「症例によっては20枚では足りない」と感じる場面に応える形で、Go Plusがフィットするためです[24]。したがって、Go Plusは「部分矯正では力不足、フル矯正ではオーバースペック」という症例が一定数ある医院に向いています。例えば、小~中規模の一般歯科医院で月数件ほど矯正希望があり、その多くが前歯主体の症例である場合、Go Plus導入によって患者ニーズに応えやすくなるでしょう。逆に、重度症例が多い専門クリニックでは最初からフル矯正を選択するため、Go Plusの出番は少ないかもしれません。
患者側の適合:インビザライン Go Plusが特に適しているのは、「歯並びの一部だけを治したい」「できるだけ短期間・低コストで矯正したい」というニーズを持つ患者です[62]。具体的には、前歯のデコボコや隙間が気になる成人で、奥歯の大きな噛み合わせには問題がない方が典型です[91]。例えば「前歯の見える部分だけ綺麗に整えば満足」「結婚式や就職活動までに前歯を揃えたい」というケースでは、Go Plusの透明で目立たない装置と半年~1年程度の短い治療期間が理想的にマッチします[62]。また過去にワイヤー矯正を経験し、その後の保定を怠ったために前歯に軽い後戻りが生じた方にも適しています。「以前の矯正ほど本格的でなくていいが、もう一度前歯だけ直したい」というリクエストに対し、Go Plusなら比較的安価・簡便に対応可能です[92]。さらに、虫歯治療やセラミック治療の一環で歯列のズレをわずかに直したい患者にも有用です。例えば前歯のねじれを直してからラミネートベニアを装着したい等、美容歯科的な動機でも、Go Plusなら必要最低限の歯移動で目的を達成できます[9]。要するに、「完璧を求めないが、見た目の改善を効率よく達成したい」という大人の患者層が主なターゲットといえます[93]。年齢層では20~40代が中心ですが、50代以上でも前歯の審美改善を希望するケースには対応可能です。但し、歯周組織の状態が悪い場合や大きな補綴物が多い場合など、症例によっては慎重な判断が必要です(歯周病安定化後であれば高年齢でも問題なく適応します)。向いていない患者像としては、極端に不規則な生活で装着時間を守れない人、装置の自己管理が難しい小児・ティーンエイジャー(※10代向けには「インビザライン ファースト/ティーン」など別製品があります)などが挙げられます[51]。総じて、インビザライン Go Plusは審美優先の部分矯正を求める成人患者にとって、ニーズに合致しやすいソリューションと言えるでしょう[62][94]。
導入時の注意点(必要な知識・コスト・連携条件など)
前提知識とトレーニング:インビザライン Go Plus導入にはAlign社の公式研修を受講して認定ドクターになることが必須です[11]。この研修では症例選択の基準やClinCheck操作方法、矯正の基本力学などが学べます。矯正学の基礎知識(歯の移動原理、咬合の考え方 等)がある程度求められるため、事前に勉強しておくとスムーズです。また導入後もAlign社から症例毎の技術サポートが提供されますが、最終的な治療計画の可否判断は開業医自身に委ねられるため、適応症例の見極めスキルは重要となります[55]。経験が浅いうちは無理せず軽度症例から着手し、徐々に症例の幅を広げていくことが推奨されます。Align社は認定後1年間の初期症例について無料の治療計画チェックサービスを提供しているので[12]、これを活用してベテランの指導を仰ぐと良いでしょう。
システム連携と設備要件:インビザライン Go Plusを使うにはインターネット環境とPC環境が必要です。ClinCheck治療計画はオンライン上で行うため、高速通信回線とグラフィック性能の高いPCがあると快適です。症例データ(写真・レントゲン・STLファイル等)のアップロードも行うので、院内のITインフラを整備しておきます。また院内スタッフの協力体制も大切です。マウスピース矯正は装着指導や経過チェック等で歯科衛生士の役割が大きいため、スタッフにも基本的な知識を共有し、患者対応できるようにします。さらに、他システムとの棲み分けも考慮しましょう。既にワイヤー矯正の専門医がいる場合は、Go Plusの適応外症例はそちらに回すルールを決めておくなど、院内で治療フローを調整します。
以上のように、インビザライン Go Plus導入時には技術習得・設備投資・患者マネジメントと多岐にわたる留意点があります。しかしこれらをクリアすれば、一般歯科において安全かつ効果的にマウスピース矯正を提供できる体制が構築できます。実際に導入した多くの医院が「想定以上に患者ニーズがあり、導入して良かった」と評価していることから[65]、適切な準備と運用により十分なリターンが見込めると言えるでしょう。今後もAlign社から最新情報やアップデートが発信されるため、それらをフォローしつつ医院の矯正メニューとしてGo Plusを定着させていくことが成功のポイントです。