inLab ProfireinLab Profire
デンツプライシロナ株式会社
評価なし
Dentsply
Sirona『inLab Profire』セラミック焼結炉 徹底レビュー
製品概要(用途・特徴・使用シーン)
inLab
Profire焼結炉の外観。ジルコニアなどのCAD/CAM補綴物を高温焼結して最終強度を得るために用いられる[1]。
inLab
Profire(インラボ・プロファイヤー)は、デンツプライシロナ社の歯科技工用セラミック焼結炉です。主にジルコニアセラミック製のクラウンやブリッジなどを高温で焼結する用途に設計されており、必要に応じてコバルトクロム合金(非貴金属)の焼結にも対応します[2]。本製品はデンタルラボ向けCAD/CAMシステム「inLabシリーズ」の一部であり、スキャナー(inEos
X5)や5軸ミリングマシン(inLab MC
X5)と組み合わせて使用することで、デジタルワークフローによる補綴物製作を完結できます[3][4]。臨床的には、設計・削り出しを行ったジルコニア製クラウンやフレームワークを最終強度と精度に到達させる最終工程として本焼成する場面で使われます。従来は金属鋳造や手作業の多かった工程をデジタル化できるため、歯科医院内ラボで即日補綴を行う場合や、外部技工所で多数のケースを一括焼結する場合に威力を発揮します。inLab
Profireは実証済みのプロセステクノロジーと便利な操作性を兼ね備え、高品質の発熱体と炉内の均一な温度分布によって焼結プロセス全体で正確な温度制御を実現し、再現性のある高品質な結果を提供します[1]。最大1,650℃まで加熱可能なため多様なジルコニア材料に対応し、1台で長期焼結・高速焼結の両方に対応できる点が特徴です。またオプション装備を追加することでアルゴン不活性雰囲気下での金属焼結にも対応でき、できる柔軟性も備えています。総じてinLab
Profireは、デジタル技工における信頼性・汎用性の高い焼結炉として、歯科技工所や院内ラボにおけるセラミック補綴物製作の中核を担う製品です。
酸化ジルコニウムとノンプレシャスメタルを1台で焼結
評価軸別レビュー
操作性(インターフェース・設定の簡便性・自動化機能)
操作インターフェース: inLab
Profireは本体前面にカラータッチスクリーンを搭載しており、直感的で分かりやすいユーザーガイダンスにより炉の全機能を操作できます[8]。画面上には現在のプログラムの進行状況や操作メニューが明確に表示され、初めてのユーザーでも戸惑いなく扱える設計です。メニューは日本語を含む多言語に対応しており、温度や時間の設定もタップ操作で簡便に行えます。プログラム設定:
あらかじめ各種材料に対応した焼結プログラムがプリインストールされており、材質とケースに応じた最適なプロファイルを選択するだけで焼結プロセスを開始できます[8]。例えばデンツプライシロナ社製のジルコニアディスク(セルコンなど)向けの検証済みプログラムが用意されており、ボタン一つで長時間焼結や高速焼結を開始可能です。またフリープログラミング機能も備え、ユーザーが任意の温度上昇率・保持時間・冷却速度などを設定したカスタム焼結スケジュールを作成・保存できます[9]。これは他社製材料や特殊ケースに対応する際に有用で、制約のない自由度が評価されています。自動化・便利機能:
最大120℃/分という高速昇温性能とプログラム自動開始(オートスタート)機能も搭載されています[10]。オートスタート機能では、例えば夜間に自動で焼結を完了させるよう予約設定し、朝に焼結済みの補綴物を取り出すことが可能です。さらにUSBポート経由でファームウェアや焼結プログラムのアップデートが簡単に行え、新しい材料プロファイルの追加にも対応します[9]。総じて操作性は極めて良好であり、タッチパネルによる直感操作と充実した自動化オプションによって、日常の焼結作業の手間を最小限に抑えつつ安定した結果が得られるよう工夫されています。
症例適応(対応素材・焼結可能な補綴物の種類)
対応素材の幅広さ: inLab
Profireは主に酸化ジルコニウム(ジルコニア)系セラミックの焼結に用いられます。単冠からブリッジ、インプラント上部構造まで、ジルコニア製のクラウン・フレームワーク全般に適応し、その長期焼成(通常焼結)プログラムでは所定の高温保持によりフルシンタリングが可能です[6]。また高速焼結モードでは、単冠修復物や小~中規模ブリッジを短時間で焼成することも可能で、急ぎの症例にも対応できます[7]。公式には単冠や3ユニット程度のブリッジであれば高速焼結の対象となり、症例に応じて最適なモードを選択できます。さらに大きな特長として、金属焼結にも対応可能な点が挙げられます。オプションの金属用焼結トレイと焼結ビーズ、アルゴンガス供給を備えた「Zirconia
+
Metal」バージョンでは、デンツプライシロナ社のコバルトクロム合金ディスク(inCoris
CCB)を焼結して金属フレームやバーを製作できます[2]。専用トレイへの交換だけでジルコニアから金属への切り替えが可能で、炉本体の改造は不要です[11]。このNPM(非貴金属)焼結対応により、従来は鋳造や金属3Dプリントで製作していた金属床やフレームの一部もデジタルフローで完結できるメリットがあります。焼結容量とサイズ:
炉内容積も十分大きく、一度に多数の補綴物を焼結できます。付属の焼結トレイは2段まで積み重ね可能で、最大60ユニットもの補綴物を同時に焼結できる設計です(※ジルコニアの場合。補綴物のサイズやサポートピン配置によります)[12]。例えば単冠サイズのジルコニアクラウンであれば、一段あたり20~30個程度を並べられ、2段併用で50~60個を一括焼成できます。大きなフルアーチブリッジなども物理的に収まる限り焼結可能で、長さ約10cm程度までのケースに対応します(焼結時の収縮を考慮)。なお複数ユニットを同時焼結する際も炉内温度の均一性が高く、全ての補綴物で均質な焼結が得られるよう配慮されています[13]。他社材料への適応:
inLab
Profireは特定メーカーの材料に限定されず、汎用炉として様々な市販ジルコニアディスクの焼結に使われています。デンツプライシロナ公式からもIvoclar社やクラレ社、Whitepeaks社など他社製ジルコニア用の推奨焼結プログラムが提供されており[14][15]、USB経由で炉に追加導入することでそれら材料にも最適な条件で対応可能です。ユーザー自身で各材料の指示どおりにフリープログラムを設定することもでき、実験的な新素材や特殊な焼成も含め幅広い症例に柔軟に適応できる焼結炉と言えます。
連携性(inLabシステムや他社CAD/CAMとの互換性)
inLabシステムとの連携: inLab
Profireは同社のCADソフトウェア(inLab
CAD/CAMソフト)やミリングマシンと緊密に連携するエコシステムの一部です。同シリーズ内では各機器が相補的に設計されており、例えばinLab
CADで設計した補綴物には適切な焼結収縮率が考慮され、inLab
CAMで加工データを生成する際に焼結後の正確な寸法になるようスケーリングされます。そのため、同社製ジルコニア(セルコンなど)をinLab
MC X5で削り出し→inLab
Profireで焼結する一連のワークフローにおいては、各段階が最適化され高精度な最終補綴物が得られます。またinLab
Profire本体のデザインも他のinLab機器と統一感のあるモダンでスリムな外観となっており、ラボ内で設置した際の調和も図られています[16]。一方で、機器間は物理的・電子的に接続されるわけではなく、焼結炉自体はスタンドアロンで動作します。焼結する際にはミリング後の焼成前ブロックを取り出し、トレイにセットして炉の画面上でプログラムを選択・開始する手順です。inLabソフト側から炉を遠隔操作したり自動起動するといった機能はありませんが、手順はシンプルなため特に煩雑さは感じられません。他社CAD/CAMとの互換性:
本製品はオープンな汎用焼結炉として位置付けられており、他社の設計・加工システムで製作したジルコニア補綴物の焼結にも問題なく利用できます。例えば3Shape社やexocadで設計し他社ミリングマシンで削り出したジルコニアであっても、そのディスクメーカーが推奨する温度プロファイルをプログラムすれば適切に焼結できます。前述の通り、Ivoclar社やクラレ社など他社材料向けの焼結プログラムも提供されているため材料互換性は高く、オープンシステムに近い運用が可能です[14][15]。他社製焼結炉からの乗り換えでも特定の制約はなく、STLデータや加工データの形式に依存しないため、inLab
Profire単体を既存ラボ設備に追加導入することも容易です。強いて言えば、デンツプライシロナ社製の金属焼結用ディスク(inCoris
CCB)は同社のCAMソフトで対応しているため、金属焼結機能を活かす場合はinLab
MC
X5など対応ミリング装置との組み合わせが望ましいでしょう(他社装置でも加工自体は可能ですが、焼結収縮補正などの点で調整が必要)。総合すると、本製品は特定システムに閉じず他社CAD/CAMワークフローとも十分互換性があるため、既存のデジタルラボ環境にも柔軟に組み込める連携性を備えています。
価格帯・コスト(導入費用・ランニングコスト)
導入価格: inLab
Profireの日本国内標準価格は約175万円(税別)と案内されています[17]。これは焼結炉単体の価格であり、金属焼結対応オプション(専用トレイやアルゴンガス接続等)を含む「Zirconia
+
Metal」バージョンではやや価格が上昇します(例:欧州ではジルコニア専用モデルが約13,000ユーロ前後[18][19])。競合製品と同程度の価格帯ですが、複数の材料に対応できる汎用性やDentsply
Sironaブランドの信頼性を考慮すると、妥当なレンジと言えます。ランニングコスト:
主な維持費用としては電気代と消耗品が挙げられます。本体の定格消費電力は3.5kWであり[20]、焼結中は連続して高温を維持するため電力を多く消費します。例えば長期焼結を毎晩行うような使用状況では月々数千円~1万円程度の電気代増加が見込まれます(電力単価にもよる)。ただし断熱構造が優れており外部への放熱ロスを抑えているため、炉のサイズから想像するより効率的に稼働します。また金属焼結を行う場合には高純度アルゴンガス(99.996%純度のアルゴン4.6等)が必要です[21]。アルゴンはシリンダーで供給し、1回の焼結ごとに一定量を使用します(焼結時間やチャンバー容積によりますが、数百~数千円相当のガスを消費)。大量生産で頻繁に金属焼結を行う場合はガス代も考慮する必要があります。消耗品:
ジルコニア焼結用の支持ビーズ(セラミックビーズ)は繰り返し使用できますが、長期間使うと汚染や摩耗で置換が必要になります。焼結トレイや炉内の断熱材・ヒーターエレメントも消耗品で、使用頻度によって数年ごとに交換が推奨されます。特にヒーター素子は高温環境下で劣化するため、長期的には数十万円規模の交換コストが発生し得ます。ただし高品質な発熱体が採用されており耐久性は高いとされています[13][22]。メンテナンス:
保証期間は標準で1年(12か月)となっており[23]、初期不良や早期の不具合はメーカーサポートで無償修理されます。長期保証を希望する場合は別途サービス契約が用意されている場合もあります(販売店経由での延長保証など)。定期点検やキャリブレーション用のサービスプログラムも搭載されており、正しくメンテナンスすることで安定した性能を維持できます。以上より、導入コストは約数百万円弱、ランニングコストも電気代+消耗品程度であり、同クラスの機器として特段高額ではないと言えます。大量生産するラボであれば生産性向上による利益で十分回収できる範囲でしょう。一方、少量生産の環境では投資回収に時間がかかるため、導入規模に見合った費用対効果の検討が必要です。
品質・耐久性(温度安定性・長寿命性・保証など)
焼結品質: inLab
Profire最大の特長の一つが、炉内温度の均一性と正確な制御による焼結品質の安定性です。高性能な発熱体と独自設計の炉内断熱構造により、チャンバー全体で温度ムラが極力排除されています[13][22]。そのためトレー上段・下段の端に置いた補綴物であっても、中央に置いたものと同等に焼結が進み、収縮率や焼結強度にバラつきが生じにくいメリットがあります。実際に多くのラボで複数ユニットを同時焼結しても寸法精度良く仕上がるとの評価があり、この再現性の高さが信頼性に直結しています[1]。温度制御はマイコン制御で細かく行われ、設定温度への到達精度も高いため、メーカー推奨の条件で焼成すれば材料本来の強度・透光性が引き出せます。耐久性・メンテナンス:
本製品は発売前に長期間の試行テストを経て設計されており、耐久性の高い構成部品が選定されています[24]。特に炉心部の加熱エレメント(ヒーター)は高温反復に耐える工業用セラミックス(MoSi<sub>2</sub>モリブデンシリサイド系等)製で、数千時間を超える使用にも耐える寿命が期待されています。また炉体断熱材も高品質セラミックファイバーで構成されており、頻繁な急加熱・冷却による劣化やクラック発生を抑制します。もっとも、高温機器ゆえ使用環境やメンテナンスによって寿命は左右されます。定期的に炉内清掃を行い、異物混入や汚染を防ぐことでヒーターや熱電対の寿命延長につながります。inLab
Profireにはサービスプログラムとして「温度チェック」や「クリーニング焼成」用のモードも用意されており、必要に応じて炉内の調整・校正が可能です[25]。現場での交換が必要な部品(ヒーター素子や熱電対など)は保守マニュアルに従って交換でき、販売代理店やメーカーの技術者によるサポート体制も整えられています。保証・信頼性:
前述の通りメーカー保証は通常1年間ですが、デンツプライシロナは大型機器に対して全国規模のサービスネットワークを持ち、万一の故障時も迅速な対応が期待できます。ユーザーからは「長時間の連続稼働でも温度が安定している」「焼結結果にムラがなく安心できる」といった声が聞かれ、導入後数年経過しても安定稼働しているとの報告があります(実際に初期モデルから数年使用した例でも、継続して良好な焼結精度が得られたとの評価あり)。総じて、品質・耐久性においてinLab
Profireは高い水準にあり、長期にわたりデジタル補綴製作を支える信頼できる設備と言えるでしょう。
ユーザーの声(導入施設やユーザーからの評価)
実際にinLab
Profireを導入したユーザーからは、その性能と利便性に対して概ね高い評価が寄せられています。例えば国内の歯科技工所では「最新設備の導入により歯科医院のスムーズな治療バックアップや患者のチェアタイム短縮に寄与している」とし、本焼結炉を含むデジタル機器の導入で技工物提供の迅速化と品質向上を図っているケースがあります[26]。また海外のラボユーザーの声として、実際にデンツプライシロナ製ジルコニア(Cercon
ht/xtシリーズ)を焼結した際に審美性が非常に良好であったとの報告があります[27]。他社製マルチレイヤージルコニアについても問題なく焼結でき、「有名なクラレ社のKatana<sup>TM</sup>ジルコニア(YML)でも特に焼結不良は起きず良好だった」といった声も聞かれます[28]。一部ユーザーからは、使用初期に特定メーカーの材料でわずかな色調の差異(層間の境目)が生じたため炉の温度キャリブレーションを検討した例も報告されています[29]。ただしその後、材料ロットの改善により問題は解消し、炉自体の性能には満足しているとのことです[30]。総じてユーザーの声からは、「操作が簡便で使いやすい」「焼結結果が安定して信頼できる」「他社製材料にも柔軟に対応できるので助かる」といった評価が多く聞かれます。一方で「価格は安くはないが投資する価値はある」との意見や、金属焼結に関して「アルゴンガスの取り扱いに少し手間がかかる」との指摘も散見されます。しかしこれらは大型機器全般に共通する課題とも言え、inLab
Profire固有のネガティブな評価は少数です。むしろ「デジタルラボには不可欠な信頼できる相棒」として高い満足度を持って受け入れられている印象です。
類似製品との違い・優位性
近年は各社から歯科技工用の高温焼結炉が発売されており、inLab
Profireもそれら競合製品と比較検討されます。代表的な類似製品としてIvoclar社のProgramat
S2やDekema社のAustromatシリーズなどが挙げられます。それぞれの特徴とinLab
Profireとの差異・優位性を以下にまとめます。
Ivoclar Programat S2: Ivoclar
Vivadent社製のコンパクトな焼結炉です。主にIPS e.max
ZirCADなどジルコニア用(非金属用)に設計され、最高温度は同様に1600℃程度まで対応します[31]。容量は最新モデルでシングルクラウン最大40個程度とされ、専用の二段トレイ(ドストトレイ)使用で従来比40%増の装填が可能です[32][33]。これはinLab
Profireの最大60個と比べると若干少ないですが、一般的な技工所の1日の出力量を考えれば十分実用範囲です。Programat
S2も高速焼結プログラムを内蔵し、一部のジルコニアでは約75分で焼結を完了できると報告されています[34]。操作面では従来型の物理ボタン+小型ディスプレイを備え、最新バージョンでUIが改良されましたが、直感的なカラータッチパネルを持つProfireの方が操作性で優れるでしょう。Programat
S2はIvoclar社のCAD/CAMシステム(PrograMillシリーズ等)との親和性が高く、Ivoclar材料を使うラボでは選択肢になります。ただ金属焼結機能は持たず、将来的にCoCr焼結を検討している場合には対応できません。この点、inLab
Profireは金属も焼結可能な2in1の汎用炉であることが大きな優位性です[35]。価格帯はProfireと同程度で、日本ではProgramat
S2も約150~180万円前後とされています。総合すると「Ivoclar材料中心で金属不要なラボにはS2、幅広い材料や金属対応を求めるならProfire」と住み分けられ、Profireはよりユーティリティに富む選択肢と言えます。
Dekema Austromat シリーズ:
ドイツ・Dekema社のAustromat焼結炉(例:Austromat 674
i)は、ハイエンド志向の多機能炉として知られます。特徴は多用途性で、ジルコニア焼結だけでなくポーセレン焼成(築盛陶材の焼成)やグレーズ・結晶化工程にも対応する点です[36]。炉内の雰囲気制御機能が優秀で、真空や不活性ガス下での処理が可能となっており、焼成中の着色変化や酸化を防ぐ技術を持ちます[36]。また将来的な超高速焼結にも対応すべく開発されており、1時間未満の超短時間焼結を実現するモデルも準備中とされています[36]。容量も大きく、最大80ユニットの同時焼結が可能と公称され[37][38]、Profireの60ユニットを上回ります。さらにインターネット接続によるクラウド/IoT機能を備え、リモートモニタリングやソフト更新ができる点も先進的です[36]。一方で、Dekema製品は非常に高性能な反面、価格が高額(数百万円台半ば〜)で、大規模ラボ向けと言えます。また日本国内でのユーザー数は限られ、サポート面では代理店経由となります。Profireの優位性は、Dekemaほど高価・多機能ではないものの扱いやすい価格とシンプルな操作で高性能を発揮するコストパフォーマンスにあります。金属焼結もProfireは可能ですが、Dekemaも不活性雰囲気で同様のことが可能なモデルがあるため、そこは互角です。むしろシステム統合性やサポートの面でDentsply
SironaブランドのProfireに安心感があるというユーザーも多いでしょう。総じて、Dekema炉は「ハイエンドで多機能」、Ivoclar炉は「自社材料に最適化されたコンパクト炉」、そしてinLab
Profireは「汎用性と生産性のバランスに優れた万能型炉」として位置付けられます。用途や重視点によって選択肢は異なりますが、Profireは特に「1台で何でもこなせる」点で差別化されており、幅広いラボから支持されています。
この製品が向いているユーザー像
ラボ規模別の適性: inLab
Profireは中~大規模の歯科技工所や、デジタル技工の案件数が多いラボに特に適しています。一度に60ユニットもの大量焼結が可能なため、日常的に多数のジルコニア補綴を製作するラボでは生産効率を飛躍的に向上させられます。大規模ラボであれば複数台導入して並行稼働するケースもあり、Profireの安定稼働性が大量生産現場で評価されています。一方、小規模ラボや取り扱い症例が限定的な場合、初期投資額が負担に感じられることもあるでしょう。しかしデジタル補綴への需要が高まりつつある現在、少数精鋭のラボでも高品質なジルコニア修復物を提供したい場合には、Profireのような信頼できる焼結炉が強い武器になります。特に他社製の低価格炉では温度管理や寿命に不安がある中、Profireは安心して長く使えるとの声があり、中小規模でも導入するメリットは十分あります。
院内ラボ・チェアサイドとの適性:
歯科医院に付設された院内ラボ(インハウスラボ)にもProfireは適した選択肢です。例えばインプラント専門クリニックや補綴に力を入れる歯科医院で、技工士が常駐してデジタル製作を行う場合、スキャナー~ミリング~焼結まで一貫して院内処理できます。ただし注意点として、日本の歯科医院では標準電源が100Vであり、本機は200V電源を要するため院内工事が必要になるケースがあります(後述)。また、院内で即日ジルコニアクラウンを提供する「即時補綴」用途には、同社の小型高速炉CEREC
SpeedFire(マイクロ波式炉)がよく用いられます。SpeedFireは小型で椅子横に置ける設計ですが、焼結能力は単冠のみです。一方Profireは大型ゆえ即日1本だけ焼くにはオーバースペックですが、複数症例をまとめて処理したり、ブリッジやフレームなど多彩なケースに対応したりできる強みがあります。そのため、院内で多くの補綴を自作して患者に迅速提供したいグループ診療施設や、補綴専門クリニックなどにはProfireの導入価値が高いでしょう。逆に1日数本程度しかジルコニアを扱わない一般開業医であれば、費用対効果の面で外注や小型炉で充分かもしれません。
ユーザーの技能・志向: inLab
Profireは基本的にオペレーターの技能に大きく依存せず使える設計ですが、デジタル技工への前向きな姿勢を持つユーザーに向いています。最新機能を活用し、多様な材料や症例にチャレンジする意欲的な技工士や歯科医にとって、本機の柔軟性や拡張性は頼もしい味方です。また、これからデジタルラボ事業を拡大しようとする企業や、大学・専門学校のデジタル研修用設備として導入する例も見られます。教育機関では複数人が同時に使うため、安定性と安全性の高いProfireは適しています。総じて、「高品質なデジタル補綴物を安定供給したい」というニーズを持つ全てのラボ/院内ラボが主なユーザー像となります。特に(1)症例数が多く大量生産志向、(2)金属補綴もデジタル化したい、(3)他社材料も含め幅広いケースを引き受けたい――といった要件を持つユーザーにとって、inLab
Profireは理想的な選択肢と言えるでしょう。
導入時の注意点(電源・設置条件・知識・連携要件など)
電源環境: inLab
Profireは単相200~240Vの電源が必要です[20]。日本国内の一般的な100V電源では動作しないため、導入の際は歯科技工室に200Vコンセントを新設するか、昇圧トランスの用意が必要です。また周波数は50/60Hz両対応ですが、一部初期ロットでは60Hz地域でドア開閉機構に不具合が出る可能性が指摘されており、メーカー推奨の「60Hz用ドアオペレータ変換キット」の適用が求められています[39](※国内西日本など60Hz地域で導入する場合、最新ソフトウェアとハード改良版になっているか事前に確認してください)。定格消費電力も3.5kWと大きいため、十分な許容量の電気配線・ブレーカーを準備しましょう[20]。
設置スペースと環境:
本体寸法は幅360×奥行534×高さ780mm、重量約64kgとかなりの大きさ・重量があります[20]。作業台や床がその重量に耐えられることを確認し、堅牢で耐熱性のある水平な設置面を用意します[40]。周囲には適度な空間(背後と側面に数十cm程度)を空け、通気を確保してください。焼結中は炉体が高温になりますが断熱はされています。それでも高温の排気(炉内の空気膨張による放出)が行われるため、換気の良い部屋に設置し、可燃物や温度に弱い機材を近くに置かないようにします。初回使用時にはマニュアルに従い、試運転(空炉で高温まで上げる)を行って不燃繊維臭等を飛ばすと良いでしょう。
操作・前提知識:
基本的な操作はタッチパネルで完結しますが、導入時にメーカーまたは販売店から操作説明と安全教育を受けることが望ましいです。高温機器ゆえ、焼結トレイの出し入れには耐熱手袋や専用トレイフォークを用い、火傷や落下に注意します。また各焼結プログラムの目的(長期焼結か高速か等)を理解し、材料ごとの推奨プログラムを遵守してください。フリープログラミング機能もありますが、不適切な温度プロファイル設定は材料破損を招くため、メーカー提供の値を参考にするか十分テストしてから使用します。金属焼結を行う場合、アルゴンガスのボンベ取扱いについても事前に習熟が必要です。ガスは高純度アルゴン4.6(99.996%)を用意し、所定の圧力・流量で接続します[21]。ボンベは倒れないよう固定し、減圧弁やガスホース(オプションの外部ガスホースを使用)を正しく接続してください[41]。焼結中はガス供給が自動モニターされ不足時はアラームが出ますが、ガス切れには注意を払いましょう。
他機器との連携要件: inLab
Profire自体はスタンドアロン稼働しますが、上流の設計・加工との組み合わせで性能を最大限発揮します。例えばジルコニアの場合、設計時に焼結収縮率を考慮しておく必要があります。デンツプライシロナのinLabソフトや他社CADでも、使用するディスクごとの収縮率パラメータを設定してデータをスケーリングします。正確な収縮率はディスクロットごとにメーカーが提供しているため、その値を設定してください。特に他社CAD/CAMシステムを使う場合、焼結温度や保持時間が異なると収縮率も変動し得るため、最初の数ケースでは実測検証すると安心です。金属焼結を行う場合は、対応するミリングマシンとツールが必要です。inCoris
CCBディスクは直径98mmの焼結補正済みCoCrプレフォームで、硬質ではありますがinLab
MC X5のような強力な装置であれば湿式モードで加工できます。他社の5軸ミリング装置でも加工可能ですが、刃物摩耗や加工精度の点でメーカー推奨条件を満たす必要があります。さらに、焼結後の仕上げ工程(支持部の切除や微調整研磨など)も想定しておきます。金属の場合、焼結後に表面酸化が少ないとはいえ軽くサンドブラストするなどの処理は必要でしょう。
法規・安全面:
本製品は医療機器ではなく歯科技工用機材として提供されますが、「歯科技工用ポーセレン焼成炉」という一般的名称でクラスI相当の管理医療機器に分類されています[42]。設置にあたり特別な許認可は不要ですが、ラボ内の安全管理者によりリスクアセスメントを行い、防火や防災計画に組み込んでください。長時間の無人運転をする際は万一の停電対策(再通電時に自動復帰しない設計ですが、停電通知システムなど)も検討すると良いでしょう。
以上の点に留意し適切に導入すれば、inLab
Profireは安心・安全にその性能を発揮してくれるでしょう。各種マニュアルやメーカーサポートも充実していますので、不明点は導入時に確認し、十分な準備を整えてから稼働を開始することが重要です。
[3]
[4]
[17]
[42]
inLabシステム -デンツプライシロナ株式会社- | Doctorbook academy
(ドクターブックアカデミー)
[10]
[11]
[35]
Dentsply Sirona inLab Profire - HSD Equipment
[18]
[19]
[23]
inLab Profire Sintering Furnace for Zirconia Sirona - Dentstore
[32]
Ivoclar Vivadent Launches Updated Programat S2 Sintering Furnace
[33]
Programat Sinter Furnace S2 - Ivoclar
[34]
Ivoclar Programat S2 - Patterson Dental Overstock
[39]
inLabダウンロード | デンツプライシロナ 日本
[40]
Inlab Profire Manual | PDF | Dust | Ceramics - Scribd