inLab CADソフトウェア
inLab CADソフトウェア デンツプライシロナ株式会社
評価なし
製品概要(用途・特徴・臨床シーン) Dentsply Sirona社のinLab CADソフトウェア は、歯科技工所向けのデジタルCADシステムです。スキャナーやミリングマシンなどとは独立したスタンドアローン型のCADソフトウェアであり、必要に応じて他社機器とも組み合わせ可能な柔軟性を備えています[1] 。inLab CADはクラウンやブリッジといった補綴物のデザインから、インプラント上部構造、部分床義歯や総義歯、サージカルガイドの設計まで、歯科補綴分野の幅広い症例に対応できるオールインワンの設計プラットフォームです[2] 。
ソフトウェアモジュール構成: inLab CADは基本モジュールに加え、用途別に追加購入できる3つのオプションモジュールで構成されています[3] [4] 。基本モジュールではインレー、オンレー、ラミネートベニア、クラウン、ブリッジ(フルアナトミーや解剖学的形態減少ブリッジ)、コーピング、マルチレイヤー構造、デジタル模型など一般的な補綴物設計に必要な機能を提供します[5] 。インプラントモジュールでは、カスタムアバットメントやスクリューリテインブリッジ・バーなどインプラント上部構造の設計、およびサージカルガイド(インプラント埋入用ガイド)のデザインが可能です[6] [7] 。可撤式補綴モジュールでは、局部床義歯の鋳造フレームや総義歯(フルデンチャー)、スプリント(マウスピース)や個人トレー、バーアタッチメント、テレスコープクラウンなどの設計に対応します[8] [9] 。さらにインターフェースモジュールを導入すれば、他社製スキャナーで取得したSTLデータのインポートや、設計データのSTLエクスポートによる外部機器での加工が可能となり、オープンなデータ連携が実現します 。このようにユーザーは必要な機能に応じてモジュールを組み合わせることで、自ラボの業務範囲に合ったシステム構築ができます。
利用シーンと特徴: inLab CADは主に歯科技工所でのデジタル補綴物製作に用いられますが、CERECシステムを導入して高度な自家技工に取り組む歯科医院にも適したソフトウェアです[11] 。例えば、小~中規模の歯科技工所では日常的なクラウン・ブリッジ設計からインプラント上部構造、さらにはデジタル総義歯まで、幅広い製作物を一つのソフトで完結できます。また最新バージョンであるinLab CAD 22以降 ではユーザーインターフェースが刷新され、設計から加工(CAM)まで統一された操作性を実現しています[12] 。特にデジタルデンチャー(総義歯)分野に力が入れられており、新たにDentsply Sirona社のDigital Portrait およびDigital Genios といった歯牙ライブラリが統合されました。これにより人工歯の形態選択肢が増え、咬合調整済みのポスターセットアップを利用できるため、総義歯設計の時間短縮と精度向上が図られています[13] 。さらに一方の顎だけ無歯顎の場合(片顎総義歯、Full-over-Natural)にもソフトが対応し、自動で適切な人工歯モールドを提案してくれる機能が追加されています[13] 。
評価軸に基づくレビュー(操作性/症例適応/連携性/価格/品質/ユーザーの声)
操作性(ユーザーインターフェースの使いやすさ) 直感的でガイド付きの操作性: inLab CADソフトウェアはシンプルかつプロセス指向のユーザーインターフェース を特長としており、操作画面にはケースに応じた必要な情報とメニューのみが表示されます[18] 。作業はワークフローに沿って段階的に進行するため、初心者でも迷わず設計プロセスを追うことができます[18] 。例えば、「スキャン → モデル作成 → デザイン → エクスポート(加工)」といった工程がタブで分かれており、それぞれの段階で必要なツールやオプションが画面右側にコンテキストメニューとして現れる構成です。ショートカットツールやビュー切替も用意されており、煩雑になりがちな補綴設計作業を効率よく行えるよう配慮されています[19] 。特にJaw-Oriented Biogeneric Setting (J.O.B.S.) と呼ばれる独自の自動設計アルゴリズムを搭載しており、患者の対合歯列や顎全体の形態を解析して最適な初期補綴案を即座に生成します[20] 。この機能により、一から形態を起こさなくても高精度な咬合調和の取れたクラウンやブリッジの形態提案が得られ、デザイン調整の手間が大幅に軽減されます[20] 。また1:1コピー機能 も搭載されており、テンポラリー(長期仮歯)等の形態をスキャンしてそのまま最終補綴に写し取ることも可能です[21] 。これらの自動化・支援機能のおかげで、設計作業が初めてのユーザーでも比較的短時間で操作に習熟できるでしょう。
他ソフトとの比較における操作性: ユーザーインターフェースの分かりやすさという点では、inLab CADは3Shape Dental Systemなど他社のラボ用CADと同様にガイド付きで親切な操作感 があると評価されます。一方でExocadのように高度なカスタマイズ性を求めるユーザーにとっては、inLabの画面構成やワークフローが逆に制約に感じられる可能性もあります[22] [23] 。実際、あるラボ技工士からは「3Shapeは操作が直感的で新人向きだがカスタマイズ性は低い。Exocadは強力だが習熟に時間がかかる」といった声も聞かれます[24] [23] 。inLabの操作体系はこの中間に位置し、CERECシステム出身のユーザーには馴染みやすく、初学者にも易しい 反面、ソフト自体の自由度はExocadほど高くはないと言えるでしょう。ただしv22ではUI刷新も行われているため、「旧バージョンより洗練され使いやすくなった」との声もあります(※ユーザーの具体的声については後述)。
症例適応範囲(対応可能な補綴・症例の広さ) 幅広い補綴物への対応: 前述の通り、inLab CADはモジュールの組み合わせにより一歯補綴からフルマウスリハビリまで 非常に広範な症例に対応可能です。基本モジュールだけでもインレー・クラウン・ブリッジ・ラミネートベニアといった一般補綴は一通りデザインでき[5] 、追加のインプラントモジュール では単独歯から多数歯欠損までのインプラント上部構造(チタンベースを用いたカスタムアバットメントやスクリュー固定式のブリッジ・バー)設計や、骨支持型のサージカルガイド設計に対応します[7] 。さらに可撤式補綴モジュール で総義歯・部分床義歯・スプリントなどの製作もデジタルで行えるため、クラウン・ブリッジ、インプラント、デンチャー、ガイド といった主要な歯科補綴領域をほぼ網羅しています。他社ソフトと比較しても、この適応範囲の広さは遜色なく、むしろ同社の蓄積した咬合解析技術(バーチャル咬合器や咬合接触シミュレーション等)や豊富な歯型ライブラリを活用できる点でアドバンテージがあります[25] 。例えばinLabには咬合運動を再現できるバーチャルアーティキュレータ 機能が含まれており、設計段階で動的な咬合干渉のチェックが可能です[25] 。さらにinLab Check という機能では、選択した補綴材料の物性に基づき応力のかかるリスク部位をFEA(有限要素解析)的にハイライト表示してくれるため、デザインの品質を客観的に検証できます[25] 。こうした機能は複雑な多数歯補綴やインプラントブリッジ等のケースで威力を発揮し、経験の浅い技工士でも高品質なデザインを効率良く行える よう支援しています。
考慮すべき制約事項: 一方で、いくつか注意すべき制約もあります。ライブラリやワークフローの制限: inLabはDentsply Sirona社の製品エコシステム内で完結する使い方を前提としているため、インプラントライブラリなどは基本的に同社および提携先のコンポーネントが中心です。他社製インプラントのサポートは限定的で、カスタムアバットメントのデザインについても、Sirona純正のTiBase(接着ベース)を用いるケースに限られます。また純粋な1からのフルカスタムアバットメント設計はinLab上ではなく、ATLANTIS (デンツプライシロナが提供する外注カスタムアバットメントサービス)に依頼する運用になる点は留意が必要です。(※例えば「inLabではインプラント症例の自由度が低く、自社TiBaseのみ使用可能。独自アバットメントはATLANTISに送る必要がある」との指摘あり。)このようにインプラント周りのオープン性はExocadや3Shapeに比べ低い ため、様々なインプラントシステムを自前でデザイン・製作したいラボには不向きな面もあります。一方、3Shapeが幅広いインプラントライブラリを公式に提供しているのと比べると[26] 、inLabは対応インプラントシステムが限られる代わりに自社インプラント(例: Astra Tech EVやPrimeTaperなど)との連携がシームレス である強みがあります[27] 。実際、inLab 22では新たにPrimeTaperインプラント のライブラリが統合され、同社インプラントのワンデジタルワークフローが完成されています[27] 。総じて、対応症例範囲そのものは非常に広いものの、特定の材料・システムに最適化された閉じた環境 で最大性能を発揮するソフトと言えるでしょう。多様なメーカーの材料・部品を自由に扱いたい場合には、オープンなExocadの方が適しているとのユーザー意見もあります(「高度なオールオンXケースなど複雑症例はExocadでスムーズに設計できた」等[28] )。
連携性(他機器・他システムとの統合) オープン/クローズドのバランス: inLab CADは半オープンなシステム と言えます。すなわち、基本的には同社製スキャナー(inEos X5など)やミリングマシン(inLab MC X5、CEREC Primemillなど)との組み合わせで最大の利便性を発揮しますが、追加のインターフェースモジュールを導入すればSTLデータの入出力による他社機器との連携も可能 です[10] 。例えば、他社製の口腔内スキャナーやラボスキャナーで取得したデータをSTLで取り込み、inLabで設計し、最終的に再びSTLを書き出して他社のCAMソフトや加工機に渡すことができます[29] 。逆に言えば、インターフェースモジュール無しでは外部とのデータ交換に制限があるため、購入時には将来的なワークフローを見据えてモジュール構成を選択する必要があります 。
Dentsply Sironaエコシステムとの統合: Dentsply Sironaの製品群(CERECシステムを含む)を使用しているユーザーにとって、inLab CADは非常にスムーズな連携環境を提供します。例えば、院内でPrimescan(同社の口腔内スキャナー)で採得した症例データをクラウド経由でラボのinLabに送り(Connect Case Center経由)、ラボ側で設計・製造して返送するといったクリニックとラボ間のデジタル連携 がシームレスに行えます[29] 。さらに最新バージョンではCEREC Primemill (チェアサイド用の高精度ミリングマシン)との接続性が拡張されており、ラボ用のinLabソフトからチェアサイド機器への加工指示も可能となりました[30] 。またPrimeprint (同社の3Dプリンター)ともデータ連携でき、inLabで設計したデータをボタン一つでPrimeprint用のジョブに変換するといったワークフローも用意されています[29] 。このように同社製品で固めた環境下では極めてスムーズなデータ連携 が実現する反面、前述の通り他社デバイスとの接続には追加ライセンスや手動でのデータ変換を要することに注意が必要です。
他社ソフトとの比較(オープン性): 一般的に、Exocadはあらゆるメーカーのスキャナー・ミリングマシンに対応できる完全オープン なCADソフトとして知られています[31] 。Exocadは単体販売もされ、ユーザーがハードを自由に選べるのに対し、inLabや3Shapeなどはハードと一体型のクローズドソリューション として提供されるのが通常です[32] 。実際「3Shape、Dental Wings、inLabはスキャナーとCADが深く結び付いたシステムである。一方Exocadはどのスキャナーとも独立に動作し、真にオープンなCADだ」という評価があります[32] 。また、データ形式の面でも、3Shapeなどはスキャンデータを自社専用フォーマット(.dcm等)で扱いがちなのに対し、Exocadは標準でSTL/Ply形式を出力できるため外部との互換性が高いとされています[33] 。inLabもインターフェースモジュールを通じてSTLエクスポートは可能ですが、そのライセンス取得に追加費用がかかる点は3Shapeの「オープンエクスポートに別途料金が必要」と同様のビジネスモデルと言えます[33] 。このように、inLabの連携性は”同社内では開放的・他社にはやや閉鎖的” という特徴であり、導入検討時には自ラボの運用範囲で問題ないかを確認することが重要です。
価格(導入コストとライセンス体系) 導入価格の目安: inLab CADソフトウェアの価格体系は基本ライセンス+追加モジュールライセンス という構成です。正確な価格は販売代理店経由での見積もりになりますが、ユーザー報告やオンライン情報によれば基本モジュール(ベースライセンス)で数十万円台後半~ 、各オプション(インプラント・可撤式・インターフェース)がそれぞれ数十万円前後といったレベル感になります。実際、欧州での販売価格例ではinLab CAD SW 19.0基本ライセンスが約3,560ユーロ (約50万円強)との記載もあります[34] 。モジュール込みフルセットでは初期導入費用が100万円を超えることも珍しくなく、加えてパソコンやスキャナー等ハードウェアも含めれば総額数百万円規模の投資 となるケースが多いでしょう[35] 。
保守費用とアップデート: また年間使用料(保守契約) についても考慮が必要です[36] 。inLabの場合、基本的には買い切りライセンス ですが、新バージョンへのアップグレードは有償提供となります。例えばinLab 18から20、20から22へのメジャーアップデート時にはアップグレード費用が発生し、最新機能を使い続けるには定期的な投資が求められます[37] 。一方、3Shape Dental Systemは完全サブスクリプション制 (初年度以降は毎年ライセンス更新料が必要)であり、exocadは基本は買い切り+年間サポート契約(更新は任意)というモデルです。3Shapeはモジュール追加ごとに年額費用も増加する ため、長期的にはコストがかさみがちとの指摘があります[38] 。Exocadは必要な機能だけ購入できる一方、すべてのモジュールを揃えると高額になるケースもあります[39] 。そうした中でinLabは初期費用は高いが、更新はユーザーの裁量 で行える中間的な位置付けです。ユーザーからは「導入価格とランニングコストのハードルが高い」という声があり[36] 、歯科医師ユーザーの場合「数百万円のソフトを本当に使いこなせるのか、不安だった」という意見も見られます[35] 。このため、購入前にデモ版やトライアルを試して、本当に必要な機能か見極めることが推奨されます[40] 。
ライセンス形態: inLab CADはUSBドングルやライセンスキーによる認証方式を採用しており、一台のPCにつきライセンスが必要です[41] 。インストール後にライセンスをアクティベートしないと製品版として動作しない点に注意してください(未ライセンス時は閲覧・テスト用のデモモード)。またCAMソフト(inLab CAM)についても別途ライセンスがあり、CADとCAMを連携させて使う場合はそれぞれのバージョンに対応したキーが必要です[42][41] 。大規模ラボで複数端末で同時に設計したい場合は台数分のライセンス購入が必要になるため、コスト計画時には留意しましょう。
品質(設計精度・仕上がり・ソフトの信頼性) 設計精度と臨床品質: Dentsply SironaのinLabは、前身であるCERECシステムから30年以上にわたって蓄積されたCAD/CAM技術をラボ向けに展開したものです。そのため、設計アルゴリズムの精度や補綴物の適合精度 については臨床的にも定評があります。例えば、ジルコニアクラウンの適合精度を複数CADシステムで比較した研究では、CEREC inLabシステムで設計・製作したクラウンの辺縁適合が他社システムより良好(平均マージンギャップが小さい)だったと報告されています[43] 。具体的には、ある比較でinLab MC XLで作製したジルコニアフレームの辺縁隙は平均68µmで、他社CAD(Ceramillによるもの)の83µmより有意に小さかったとされています[43] 。また別の試験では、inLabで設計したジルコニアクラウンの平均マージン隙は約37µmと4システム中で最も小さかったとの結果もあります[43] [44] 。これらはいずれも理想環境下の研究結果ではありますが、inLabで設計・加工した補綴物が臨床許容範囲内の高い適合精度を示す ことを裏付けています(120µm以下が一般的な臨床許容値[45] [46] )。さらに前述のバーチャルアーティキュレータ機能やFEM解析機能により、咬合調整や強度リスク評価をデジタル上で完結できるため、最終補綴物の品質管理にも寄与します。総じて、inLab CADは精度面・臨床性能面で信頼できるプラットフォーム と言えるでしょう。
ソフトウェアの安定性: ソフトの動作安定性やサポート面も品質の一部です。inLab CAD 22では大幅なUI変更が行われたものの、Dentsply Sironaによるテストと改良が重ねられています。同社はグローバルにサポート体制を持ち、日本国内でも正規代理店や技術サービスによるサポートが提供されています。ユーザーからのフィードバックでは、「大型アップデート直後には多少の不具合もあったが、サービスパック適用で安定してきた」との声もあります(v22.2やv22.5へのアップデートがリリース済)。一方で、他社ソフトと比べアップデート頻度が少ないため、新機能の提供ペースはやや緩やかです。例えばExocadは年1回以上メジャーアップデートがありますが、inLabは2~3年に一度大幅改訂版が出る印象です。その分、リリースごとの完成度は高く、既存機能の熟成度も十分 と言えるでしょう。総合的に、inLab CADの品質は「大手メーカー製ならではの信頼性」が感じられるものです。実機テストを経て検証されたワークフローと、各材料メーカー(Ivoclar社のIPS e.maxやクラレのKATANAディスク等)の公式サポートも受けており[47] [48] 、ソフトから指定できる材料プロファイルも豊富です。これにより、材料ごとの加工パラメータを適切に反映した設計が行えるなど、デザインから製造まで一貫した品質管理 が可能となっています。
ユーザーの声(評価): 最後にユーザーから寄せられている評価を紹介します。ラボ技工士の間では、「inLabは単冠などシンプルなケースではスピーディで使いやすい が、複雑なケースはExocadの方が自由度が高く設計しやすい」という声がしばしば聞かれます[28] 。実際、ある技工士は「デジタルワークフローをinLabから始めたが、結局3Shapeを経てExocadに落ち着いた。inLab(22)はExocadほどの機能性には及ばないだろう。3Shapeは操作が親切だが年間費用が痛い。」 と述べています[28] 。一方、inLabユーザーからは「CERECとの連携でワンデイトリートメントが実現できている」「バイオジェネリック提案で噛み合わせ調整の時間が減った」といったポジティブな意見 もあります。また、とあるラボでは「18歳の新人を6か月で戦力化できた。直観的なソフトのおかげだ」 との声も上がっており[49] 、操作習熟の速さや教育コストの低さを評価する意見もあります。歯科医師ユーザーからは「CERECと操作感が似ているのでとっつきやすい」「ただしソフト更新費用が高い点は悩ましい」との声が聞かれました[37] 。総合すると、inLab CADソフトウェアのユーザー満足度は概ね高く 、「使いやすさ(UI)」「一貫したワークフロー」「補綴物の精度」で高評価を得る一方、「導入コスト」「オープン性(連携の自由度)」の面では改善を望む声がある、という状況です。
類似製品との比較と差別化ポイント デジタル歯科技工用CADソフトの主要な選択肢として、Exocad DentalCAD (エグゾキャド)や3Shape Dental System (3シェイプ)などが挙げられます。それぞれに特徴があり、inLab CADとの違いを理解することが導入判断の助けになります。以下では、それぞれのソフトとの比較と差別化ポイントを整理します。
Exocadとの比較 市場シェアと位置付け: Exocadは現在業界標準とも言われるCADソフトで、特にデジタルミリングを導入している歯科技工所では導入率ほぼ100%に近い とも報告されています[50] 。一方inLabはDentsply Sironaのエコシステム内ソフトであるため、主に同社機器ユーザーやCERECドクター層に利用されています[11] 。市場シェア的にはExocad優位ですが、inLabは特定ユーザー層で堅実な採用があります。
オープン性: 最大の違いはシステムのオープン性 です。Exocadはソフト単体でも購入可能で、世界中の様々なスキャナー・3Dプリンター・CAMと組み合わせて使えます[31] 。そのため、ラボ機材の入れ替えや複数メーカー混在環境でも柔軟に対応できます[31] 。逆にinLabは前述の通り基本的にSirona製機器とセット運用されるため、単体での自由度はExocadに劣ります[32] 。例えば「スキャナーを新調してもソフトはExocadそのまま使える」等、機器変更への対応力はExocadの大きな強みです[31] 。
機能とカスタマイズ: 機能面では、両者ともクラウン・ブリッジからインプラント、デンチャーまで設計可能ですが、Exocadは高度なカスタマイズ性 で知られます[51] 。ユーザー自身がワークフローを省略したり、マニアックな設定(例えば支台歯のマージン検出の細かな調整等)まで弄ることも容易です。一方inLabは定型的なワークフローで安定した結果を出す ことに重きがおかれており、ユーザーが細部の挙動を調整する余地は限定的です[22] 。このため、経験豊富なデザイナーがより自由に細部までこだわりたいならExocad、有る程度ソフト任せでシンプルに進めたいならinLab という住み分けがあります。
操作性と学習コスト: UIの分かりやすさでは、inLabはExocadよりガイドが多く取っ付きやすいと言えます。Exocadは強力な分、「習熟にやや時間がかかる」という指摘 もあります[23] 。もっとも最近ではExocadの操作も洗練されており、「新人でも半年で一通りの設計をこなせるようになった」という事例もあるため[49] 、学習コストは絶対的には大差ないかもしれません。むしろソフトの思想の違い (ブラックボックスでも自動化されたinLab vs 自由度高いが手動調整も多いExocad)を理解し、自分に合った操作体系を選ぶことが重要でしょう。
価格モデル: 価格面では、Exocadはモジュール単位の買い切り制 で必要な機能のみ導入できる反面、フル構成にすると総額は高額になる可能性があります[52] 。またソフトウェア保守契約を毎年更新しないと最新版を使えない点はinLabと似ています。ただExocadは保守切れでも既存バージョンは使い続けられるため、ランニングコストはコントロールしやすい と言われます。一方inLabは基本的に大規模アップデート時のみ費用が発生する形で、結果的な費用感は両者で大きな差は無い場合もあります。ユーザーの体感では「Exocadも結局モジュール全部載せ+保守だと相応のコスト(必要機能次第ではExocadの方が高くつく場合も )」との声もあります[39] 。したがって価格で単純比較は難しいものの、初期導入費用はinLabの方が高め、運用コストは双方ともそれなりに掛かる というのが実情でしょう。
ユーザー評価: ユーザー評価では、「Exocadは機能最強だが上級者向き」「inLabはCERECユーザーには便利だが汎用性で劣る」といった意見が見られます[28] [53] 。reddit上のあるコメントでは「Exocadは別格。inLab(22でも)では機能が及ばないだろう。3Shapeは閉鎖的だが初心者には良い」 とも言われており[28] 、高度なケース(オールオン4/6のフルアーチ即時負荷ブリッジ等)ではExocadを推す技工士が多い印象です。一方、日常的なクラウンやインレー設計ではinLabでも全く問題なく、高速に設計できるため、「シンプルケース専用ならinLabで十分」と割り切って使うユーザーもいます[54] (※「単冠はinLabが速いが、複雑ケースはExocadで」とのラボ意見あり)。こうした評価は最終的にラボの求めるスタイルによって使い分けられている と言えるでしょう。
3Shape Dental Systemとの比較 提供形態とターゲット: 3Shape社のDental System(Dental Designer)は、北欧発のCAD/CAM統合ソリューションで、同社のTrios口腔内スキャナーやEシリーズラボスキャナーとともに提供されます。位置付けとしてはinLabと同じくハードとソフトの一体型 で、特にラボ用スキャナー市場で強い存在感を持ちます。導入規模も大~中規模ラボを中心に多く、inLabより広範なユーザーに使われています。特に、デンマーク3Shape社のブランド力と世界的普及 により、3Shape Dental Systemを採用するラボは非常に多いです。
操作性・ワークフロー:3Shapeはその洗練されたユーザーインターフェースとワークフローガイド で知られています[55] 。画面のデザインや動作レスポンスなど、細部まで作り込まれており、初めてデジタル技工に移行するラボでも受け入れやすいソフトです[56] 。特に「ウィザード形式で手順を順番に追わせる」デザインになっており、各ステップでの入力漏れやエラーを防ぎやすくなっています[57] 。inLabのUIも直感的ですが、3Shapeの方がさらにビジュアルや操作ガイドが丁寧 との声もあります。ただし、その分「ソフト任せ」で上級者には物足りない という意見もあり[38] 、自由度ではExocad>inLab>3Shapeの順と言われることがあります。
機能と適応範囲: 3Shapeもまたモジュール構成で、クラウン・ブリッジ用、インプラント用、デンチャー用、矯正モデル用、スプリント用…と細かく分かれています。inLabと比べ大きな違いは、インプラントライブラリの豊富さ です[26] 。世界中の主要インプラントメーカーのアバットメント・アナログ形状が網羅されており、3Shape上でそのまま多様なインプラント補綴設計が可能です。inLabが自社TiBase主体なのに対し、3ShapeはStraumannやNobel Biocare等を含む幅広いシステムをサポートします(追加ライブラリ費用が必要な場合もあります)。また最近の3ShapeはAIによる自動設計提案 (Auto Crown機能など)にも注力しており、inLabのBiogenericと同様に自動補綴提案が可能です。総じて機能面での差は小さいですが、他社との連携や最新技術導入スピードで3Shapeが先行する傾向 があります。ただし、inLabも22以降デジタル義歯やガイドで巻き返しを図っており[12] 、基本機能セットに大差はありません。
オープン性: 3Shapeはシステムとしてはクローズド ですが、一応STLエクスポートオプション等を契約すれば外部出力も可能です[33] 。Triosスキャナーで取得したデータも、標準では専用フォーマットですが、追加費用でSTL出力するライセンスを付与できます。inLabのインターフェースモジュールと似た考え方です。この点、3Shapeユーザーも社外とのデータ連携には別途コスト がかかるため、オープンさを求めるならExocadという構図は同じです[33] 。
価格モデル: 3Shape Dental Systemはサブスクリプション制 が基本で、毎年のライセンス更新料が必要です[38] 。初年度はスキャナー購入費にソフト料金が含まれますが、2年目以降はソフト維持費用を払い続ける必要があります。さらにモジュールを追加すると年額費用も上がるため、長期的なランニングコストは高め です[38] 。対してinLabは前述の通り買い切り+有償アップグレード形式なので、短期的には3Shapeより高コスト、長期的には場合により逆転も という状況です。例えば5年間運用した場合、3Shapeは毎年の費用累計でそれなりの額になりますが、inLabは途中アップデートしなければ追加費用ゼロです。しかしソフト老朽化を考えると何らかの更新費用は避けられないため、実質的にはどちらも継続費用込みで予算計画を立てる必要 があります。
ユーザー評価: 3Shape vs inLabの評価は、一概には言えませんが、「3Shapeは初心者に優しい反面カスタマイズ性に欠け、費用が高い」「inLabはSironaユーザーには◎だがマイナーで情報量が少ない」といった声があります[38] [37] 。ある比較記事では、「経験の浅い技工士やインプラント症例中心なら3Shape、他ツールとの連携や上級者主体ならExocad」 とまとめられており[53] 、inLabはその中間選択肢として明示的には言及されないものの、「CERECユーザーならinLab」 という暗黙の位置付けになっています[11] 。実際、日本国内でもCERECを導入して院内技工を強化したい歯科医院がinLabを採用するケースが増えています。その場合の比較対象は3Shapeよりむしろ「院内に技工を取り込むか、外注のままか」という判断になりますが、少なくともチェアサイドとラボサイドを一社で統合できるのはinLab唯一の強み です。他社ではチェアサイドCAD(院内即日補綴用)とラボ用CADが別製品になるため、この点でのシームレスさは大きな差別化ポイントでしょう。
その他の類似ソフト: なお、他にもDental Wings (DWOS)やMedit Link(コネクト用CADモジュール)、Planmeca Romexis CADなどいくつか選択肢はありますが、主要3製品(Exocad・3Shape・inLab)ほどの普及や汎用性はありません。Dental Wingsはかつて3Shapeと並ぶ存在でしたが近年シェア後退しており、Meditや他社は基本的にExocad OEMやクラウドCADなどinLabとは方向性が異なります。現時点で包括的なラボ用CADとして比較すべきはExocadと3Shape であり、inLabはその中で「メーカー純正統合型CAD」として差別化 されていると言えます。
製品inLab CAD(Dentsply Sirona)Exocad DentalCAD3Shape Dental Systemシステム形態 メーカー純正エコシステム内CAD。スキャナー・ミリング一体の統合型[32] 。独立型CADソフト。ハードと分離して導入可能[31] 。メーカー純正エコシステム内CAD。スキャナー購入時に付属(統合型)[32] 。適応症例 インレー~クラウン、ブリッジ、インプラント上部構造、ガイド、総義歯・部分床義歯、スプリント等(モジュール追加で網羅)[2] [8] 。クラウン・架工義歯、インプラント、バー、総義歯、矯正モデルなど広範。モジュール追加で対応領域拡張。クラウン・ブリッジ、インプラント、義歯、矯正モデル、スプリント等。各機能モジュールをラインナップ。操作性 直感的UIでガイド付き。CEREC由来の自動設計機能(バイオジェネリック)で手早くデザイン可能[18] [20] 。カスタマイズ性・制御性が高い。高度機能あり熟練者向きだが近年UIも改善、習熟すれば効率良[51] [49] 。非常にユーザーフレンドリーでガイド豊富[56] 。初心者に優しい反面、自由度や細部調整は限定的[38] 。オープン連携 STLインポート/エクスポートには別途モジュール必要[10] 。Sirona機器との連携最適化。標準でオープンフォーマット対応。多様なスキャナー・機器とシームレス連携[31] 。標準はクローズドだが追加ライセンスでSTL等エクスポート可[33] 。3Shape機器との連携最適化。価格モデル 買い切りライセンス+有償アップグレード。基本・各モジュール個別購入。初期費用高め[35] 。保守契約任意。買い切りライセンス(モジュール毎)。必要機能のみ導入可[52] 。保守契約任意だが最新版利用は契約必要。初期~追加費用は構成次第。年間サブスクリプション制[38] 。スキャナー等ハード費用に初年度ソフト込み。モジュール追加で年額増加。長期的ランニングコスト高い。強み同社チェアサイド機器との統合◎ (院内外ワークフロー統一)。UIが直感的。補綴提案アルゴリズム優秀[20] 。義歯設計機能も強化[13] 。オープン性◎ (ハード選択自由、データ交換自在)。機能の幅と奥行きが深く、複雑症例対応力が高い[28] 。カスタムワークフロー構築可能。ユーザビリティ◎ (誰でも使いやすい洗練UI[56] )。世界的ユーザーベースの広さ。インプラント含む豊富なライブラリ[26] 。サポート体制・情報量も最大規模。弱み エコシステム外への閉鎖性 (追加費用無しでの外部連携が乏しい)[10] 。対応インプラントの狭さ。導入コスト高[58] 。市場シェア小さめゆえ情報量少。習熟コスト (機能が多彩なぶん学習必要[23] )。公式サポートは代理店頼り。必要モジュール揃えると費用大。UIは他よりやや無骨との声も。コスト (年間費用が割高[38] )。システム閉鎖性 (Trios等3Shape環境中心、エクスポートに制限[33] )。上級者には物足りない面[38] 。
*上記は一般的な比較であり、具体的な運用条件によって評価は変わり得ます。いずれのソフトも一長一短あるため、自ラボのニーズに合わせた選択が重要です。
この製品が向いているユーザー像 Dentsply Sirona inLab CAD は以下のようなユーザー・施設に特に適していると考えられます。
① CERECシステム導入医院・Sironaエコシステム利用者: すでにチェアサイドCAD/CAM(CEREC)を導入しており、院内技工のデジタル化をさらに拡大したい歯科医院には最適です。inLab CADはCERECと操作体系が似ており、Connectケース送信などクリニック~ラボ間のデータ連携がスムーズ なため、院内で補綴設計を行い技工物を自作する「デンタルクリニック内ラボ 」運用を実現しやすくなります[11] 。例えば、補綴物の一部(簡単なインレーやTEK)は院内で即日製作しつつ、大きなケースやデンチャーはinLab+3Dプリンターで院内製作、難症例は外注、といったハイブリッド運用も可能です。
② Dentsply Sirona製CAD/CAM機器を保有する歯科技工所: inEosスキャナーやinLab MC X5ミリングマシンなどSirona製機器を導入済み、もしくは導入予定のラボには、純正CADとしてのinLabがベストマッチします。ハード・ソフトが同一メーカーで統合されている安心感に加え、サポート窓口が一元化 されトラブル対応もスムーズです。Sirona製機器の性能を最大限引き出すには純正ソフトが理想であり、例えばinLabならスキャン精度に応じた最適な設計パラメータ (マージン補正量やミリングバー半径設定など)が初期設定されています。社内標準ワークフローの確立を重視するラボや、Sironaと長年取引のあるラボには特に向いているでしょう。
③ デジタル義歯やガイド製作に取り組むラボ: 最近のinLabは総義歯やサージカルガイド設計機能が充実 しており、これらに取り組みたいラボにも良い選択肢です。Exocadや3Shapeでもデンチャーモジュールは提供されていますが、inLab 22では新ライブラリやワークフロー改良で義歯設計が大幅に効率化されています[13] 。また、CBCT連携によるインプラントガイド設計がソフト内で完結する点も利点です[14] [17] 。デジタルデンチャーやデジタルガイドを内製化して差別化を図りたい中小規模ラボ にとって、inLab導入はトータルにワークフローを整える手段となります。
④ 操作性を重視するユーザー・小規模ラボ: 人員規模が小さく、多くのスタッフを高度研修に出せないようなラボや、デジタル初心者が主導する現場では、習得が容易でサポートも手厚いinLabが適しています。UIがわかりやすく自動機能も多いため、少人数でも回せるデジタル技工 が実現できます。「とにかく簡単に導入してみたい」というユーザーには、最初の一台としてinLabは安心感があるでしょう。
逆に、あらゆるメーカーの材料・装置を組み合わせて高度なカスタムケースに挑戦したい大型ラボ や、既にオープンシステム中心で運用しているラボ では、inLabはやや物足りない可能性があります。そのような場合はExocadや3Shapeをメインに据えつつ、一部ワークフローでinLabを併用するといった使い分けも考えられます(実際に大手ラボでは顧客の要望に応じ、3ShapeとExocad両方を導入している例もあります[53] )。inLabは特定の強みを活かして導入することで真価を発揮するソフト であり、自社の治療スタイル・業務範囲にその強みが合致するかを見極めることが大切です。
導入時の注意点(前提知識、導入コスト、運用条件など) 1. システム要件とハードウェア準備: inLab CADを快適に動作させるには、高性能なワークステーションPC が必要です。Dentsply Sirona推奨環境では、Windows 10(64bit)OS、Intel Core i5-9600クラス以上のCPU、32GB以上のRAM、大容量SSD/HDD、そしてOpenGL対応の高性能グラフィックスカード(例: AMD Radeon RX570 8GB相当)が挙げられています[59] 。特に3Dレンダリング処理が多いためGPU性能とメモリ容量は重要です。導入時にはPCスペックの見直しや、新調を検討しましょう。また3Dマウス(スペースマウス)への対応も記載されており、あると操作効率が向上します[60] 。ソフト単体購入の場合、PCや周辺機器はユーザー自身で用意 する必要があります(代理店によってはinLab推奨PCのセット販売もあります)。
2. 前提知識・トレーニング: いきなり高度なケースを扱うのではなく、基本的なデジタル補綴設計の知識 を身につけてから運用を開始することを推奨します。幸い、inLabは操作ガイドが充実していますが、咬合や補綴設計そのものの知識が無いと使いこなせません。導入時にはメーカーや代理店が提供するトレーニングコース やオンラインセミナーを活用しましょう。Dentsply Sironaの公式トレーニングやユーザーマニュアル(日本語版も提供[61] )は有益です。また、日本国内にはinLabユーザーコミュニティがまだ大きくないため、技工士ネットワークや情報交換 にも積極的に参加すると良いでしょう。例えばDoctorbook academy等で公開されているinLabシステム紹介資料[62] やユーザー発信のブログなどから実践的なヒントを得ることができます。
3. 導入コストの内訳把握: 前述したように、ソフトウェア本体以外にも追加モジュール費用、保守費用、ハード費用 が発生します。見積り段階で以下を確認してください: ①基本ライセンス費 (CADソフト本体)②必要モジュール費 (インプラント・可撤式・インターフェースなど)③年間アップデート(保守)費 の有無と金額④ハードウェア費 (PC、スキャナー、ミリングマシン、3Dプリンター等)⑤トレーニング費用 (初期講習が有償の場合)⑥今後のアップグレード費用 の概算。特に代理店経由の場合、キャンペーンやセット割引 が適用されることもあるので、各種プランを比較しましょう。また、医療機関向けリース制度を利用できることもあります。初期費用が高額な場合はリースや分割払いも検討 し、キャッシュフローへの影響を平準化すると安心です。
4. 運用環境と前提条件: inLabを最大限活用するには、自施設の環境整備も重要です。例えば高精度スキャンの前提 として、模型の扱いやスキャナーキャリブレーションなどアナログ工程の精度管理が必要です。また、inLabで設計したデータを製作するにはCAM工程が不可欠なため、外注せず内製するならミリングマシン(もしくは3Dプリンター)の準備とそのオペレーション知識も求められます。inLab導入前に、自施設でどこまで製作するか (設計のみで製作は外注か、全て内製か)を明確に決めておき、それに沿った設備計画を立てましょう。例えば「スキャンと設計は院内で行い、加工は信頼できる外部ラボに依頼する」という選択も一つです。その場合、inLabからSTLを書き出して外部に送るフローになりますので、インターフェースモジュールが必要になります[29] 。反対に「全て内製」であれば、自施設内でのデジタル加工フローの構築 (材料管理、切削粉やレジンの取扱規則など含む)まで準備しましょう。
5. ソフトウェア管理: inLabは頻繁にアップデートが出るソフトではありませんが、リリース情報のチェックと必要に応じた更新 は怠らないようにします。特に新バージョンへのアップグレード時は旧バージョンとのデータ互換性に注意が必要です。公式情報によれば、inLab 22へアップデートした際には旧バージョン(inLab 20以前)のCAMデータが新データベースに移行され、一度アップデートすると以前のバージョンではそのデータは読めなくなる とのことです[63] 。このような互換性の問題に備え、アップグレード前には必ずデータのバックアップを取り、また可能なら並行期間を設けて検証 すると安全です。加えて、ライセンスキーの更新手続き(ファームウェアアップデートなど)が必要な場合があるので、代理店の指示に従いましょう[64] 。ネットワーク環境については、ライセンス認証時や一部クラウドサービス利用時にインターネット接続が必要ですが、基本設計作業自体はオフラインでも可能です。ただし症例データ送受信(Connectケースなど)には通信環境が前提となります。
6. 事前検証と他システム比較: 最後になりますが、導入判断にあたって可能な限り事前検証を行うこと をお勧めします。幸いDentsply SironaではinLabソフトの体験版やデモ を提供している場合があります。また販売代理店に問い合わせれば実機デモンストレーションやトライアル利用をアレンジしてくれるでしょう。さらに、もし迷いがあるならExocadや3Shapeについても並行してデモを受け、実際の操作感やデザイン結果を比較検討する ことが有益です[40] 。例えば実際に自施設のケースデータで補綴設計し、その仕上がりや所要時間を各ソフトで比べてみると違いが明確になります。こうしたトライアルを経て、自分達のワークフローに一番合致するソリューション を選択してください。
以上、Dentsply SironaのinLab CADソフトウェアについて、製品概要から特徴、他製品比較、導入のポイントまで詳細にレビューしました。inLab CADは確かに初期投資こそ大きいものの、統合環境ならではの使い勝手と信頼性、歯科デジタルワークフロー全体を包含できる懐の深さが魅力のソフトです。他社CADとの特性差も踏まえて、ぜひ本稿をユーザーの導入判断材料としてご活用ください。
[28] [49] Exocad is the best software hands down. : r/dentallab
[34] Cerec Inlab Software | Dental CAD CAM Shop
[43] [44] [45] [46] An in vitro evaluation of marginal fit zirconia crowns fabricated by a CAD-CAM dental laboratory and a milling center | BMC Oral Health | Full Text
[54] 3 Shape vs InLab | Dental Lab Network
[61] [PDF] inLab CAD SW - Dentsply Sirona
[62] inLabシステム -デンツプライシロナ株式会社 - Doctorbook academy
[64] Install CEREC/InLab Software on Non-Dentsply Sirona Hardware or ...